家具の配置

障子と襖だけで仕切られていただけの日本の住まいは、その空間の無性格さをもって一つの特徴と数えられていましたが、そこに空間秩序がなかったわけではありません。一つは、排泄、入浴など、他の行動に影響を与えやすいものについては、これを外便所、外風呂として解決するような空間構成によって、一つは、小笠原流礼法にみられるような住み手の厳しい躾、格式身分による空間の使用区分、動作の抑制による動作、感覚領域の縮小、物の片づけによる空間転用などによって、日本の住まいは明確な空間秩序を形成していました。茶室という極小空間における茶礼の形成は、日本の住まいにおける空間秩序の象徴化、芸術化に他なりません。現在、多くの住み手は、その要求をみたせるだけの十分な広さの住まいと、また住まいの状況に応じて、これを十分に住みこなしていけるだけの住み方を確立していません。このような段階における家具配置は、一体どのような考え方の下におしすすめられるべきでしょうか。ごく基本的な考え方を主として間仕切りとの関連でのべると、それは次のようなことになります。まず第1に、極小住宅といわれる最小規模に属する住まいでは、家具配置を空間の秩序づけに用いるといったゆとりはありません。そこでは、家具と人との競合、つまり様々な家具そのものの占有領域が狭い空間をより狭くし、動作領域ですら物理的に圧迫されるという現象がひきおこされます。身体を動かすたびにどこかで家具にぶつかり、そのためにスムーズに動けないといったことがひきおこされるのです。この段階の住まいは、いわば人や家具そのものの入れ物ではあっても、それらが有機的に結合された生活の入れ物ではありえないといえます。

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間取り

極小住宅における家具配置の方法は,原則として成立しないと考えた方が適切です。基本的には、住まいの拡大によって解決する以外に方法がありません。ただ現在考えられることとしては、器具や収納家具は必要最小限のものにとどめること、動作器具は持ちこまないという程度のことです。つまり、配置の段階よりは、それ以前の家具を入れるか入れないかが、この場合の重要な選択の別れ道となります。
小住宅では、第1次の空間秩序として、食事や炊事と就寝の各行動間の分離、あるいは夫婦と子供、異性の子供間の就寝の分離がやっと達成されます。このような小住宅における家具配置は、当然間仕切りと協同して、食寝分離、就寝分離という空間秩序をよりつよめなければなりませんが、全体の空間量が小さいことから、必ずしも間仕切りで空間を細分化することだけが最良の方法とは限りません。それは家族構成にもよるでしょうが、むしろ住み手のエチケットの確立と家具の配置によって、かえって柔軟な空間秩序が求められる場合もあります。
例えば食事と就寝の間に起こる熱や臭気は換気扇で取り除いても、音や光は間仕切りがないと難しい。しかし食事や就寝が家族の各人によって時間的なズレがないとき、そして後片づけがきちんと行なわれるならば、間仕切りを絶対的に必要とする理由はありません。また家族のなかに成長した子供、あるいは夫婦以外の大人がいるときは、夫婦就寝が性行動をともなう以上音や光をさえぎる間仕切りが必要となり、同時に音を立てない動作の抑制、エチケットが要求されます。
具体的な方法としては、子供がまだ小さくて、食事に団らん的要素をもたせた食寝分離が優先されるような行動様式の下では、食事の場を広くとること、設備器具、動作家具、それらに関連する収納家具を集中して、食事室に就寝を除く様々な行動の共同空間としての性格をもたせること、就寝はせいぜい収納家具、場合によっては、動作家具を持ち込んで専用空間化することなどが考えられます。また子供も大きく、就寝分離が要求されるような行動様式の下では、就寝の場が当然大きく求められる結果、食事の場はいきおい小さくならざるをえません。専用空間としての食事の場には、必要最小限の設備器具、取納家具がおかれるだけで、大きな動作家具は難しくなり、就寝の場は、部分的には他の行動のために転用化を迫られることから、そこでは収納家具以外は持ちこめないことになります。

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