住まいの物の共有化

住まいの中にある様々な物の流れの第1のプロセスとして、住まいの中へどんなものを買い入れるのか、あるいは借りるのかということが問題になります。整理が実に大変な仕事であることは誰でも知っています。そうなると整理しなくてもよいような方法が考えられねばならず、そのためには、できるだけ物を少なくすることが当然求められますが、一方では、生活の変化が絶えず新しいものを要求しつづける以上、この矛盾をどのような方法で阻止するかが、重要な意味をもってきます。物を減らすには、どのような方法があるのでしょうか。それは、できるだけものを取り入れないこと、取り入れた場合は、できるだけ早く住まいから出してしまうことが一つの方法です。しかし取り入れないといっても、それは戦時中のような耐乏主義を意味しているものではなく、また捨てるといっても、現在のメーカーのようにただただ浪費を吹聴しているものでもありません。その意味するところは、物を取りこむ必要のない状態を住まいの中でつくりだし、たとえ取りこんでも、今度はそれを何時でも取り出しやすい状態に住まいをおくことです。

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このことは、個々の住まいをとりまく環境条件と深い関係にあります。つまり生活の共同化、設備の共同化の問題です。例えば冷暖房一つをみても、次のようなことがいえます。もし私達の住まいにエアコンが行なわれているとしたら、ストーブや扇風機といった部屋のなかでは往来の邪魔になり、子供にとっては危険きわまりない代物であり、しかも、シーズンオフには少ない収納スペースのなかの大きな部分を占めるといったものはたちどころに不必要になります。
しかしエアコンによって少なくなるのは、冷暖房用具だげではありません。寒い冬のためにどうしても必要だった冬の衣料品、冬の肌着、室内着、それに重い夜具等々も、ずいぶん少なくて済むことになります。洗濯にしても同様です。もし共同の洗濯、乾燥、プレスなどの設備があるなら、洗濯機,脱水機、アイロン、物干竿等々、それら一連のものはいまから不必要な存在となります。加えてエアコンの普及によって衣料品が減るなら、なおさら洗濯関係のものが少なくなるにちがいありません。
収納スペースの共同化も大きな変化をもたらします。1年中である特定の季節にしかいらない季節物は、1年の3/4は住まいの中にある必要はないのです。これらが共同の収納スペースに移管され、次々と必要なものを出し入れすることができるなら、住まいのなかのものはそれほど残らなくなります。
また一生に1回とか、あるいはそのなかで特定の時期にしか使わないようなものは、自分で所有するよりも借りた方が賢明です。なぜなら、それが高価なものであればあるほど捨てることは難しくなり、いつまでも貯め込んでおくことになるからです。レンタルシステムやリースシステムは、驚くほど物を住まいから取り出すことを容易にします。
さらに推し進めていうならば、炊事、食事、育児の共同化ということも考えられます。これらは今すぐに実現することは不可能であり、またそのまとめ方についても、様々な方法が実験的に試みられている段階ではありますが、ものが少なくなるという点では、それらが共同化された住まいに勝るものはありません。それらはもはや現在的な意味での住まいというよりも、すべてが共同化されているホテルの一室のような観を呈するかもしれません。このように考えてくると、私達は住まいをとりまく環境の不備のために、そのしわよせとしてどれほど多くのものを抱えこんでいるか、持たされているかということに気づきます。こうなるとものを使うこととそれを持つ、所有することの関係が、今一度真剣に考え直されてみなくてはなりません。

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