住まいの物の保有量

住まいの中での整理、片づけのシステムは、大きくいってどれぐらいものがあったらよいかという物の保有量のコントロールと、どこにおいたらよいかという物の収納の二つに分かれます。物の保有量については、すでにこれまで膨大な研究が重ねられ、多くの基準が提案されています。生活が歴史的に発展し、ある一定の生活水準を維持しようとすれば、一定のものが必要とされることは当然であるからです。しかしながら、物の保有量は、ある水準の生活様式を設定してそこから抽象的に導きだされるものではありません。それは物の入れ物、住まいと密接に関連しているからです。むしろこれらの保有量は、住み手がある種の住み方を実現しようとする時、与えられた住まいのなかでどれほどのものを持つことが許されるかということ、言い換えれば、物の導入によるプラスと、そこからひきおこされる居住空間の圧迫、および整理、片づけの必要にともなうマイナスとのバランスによって決定されます。物の保有量は、住まいと住み方を考慮せずには決められません。

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したがって物の保有量は、具体的には住まいに付随した収納空間と、家具配置から決定される収納家具量によって規定され、その枠内でどのような種類の物を選ぶかということで決まってきます。例えば食器ひとつにしたところで、食事を楽しいものにするためには様々なデザインの食器がたくさんあるにこしたことはありません。しかしそれらが食器棚からあふれて、足の踏み場もなくなってしまったとしたら、食事は果たして楽しいものになりうるかどうかわりません。このような意味から、陶器の販売戦術には、くれぐれも用心しなければならず、流行の激しい衣料品など、特にこの観点が重要です。物の保有量は住まいとの関連で考えるこれがまず第1の要点です。
しかし、それでも物は増えつづけていきます。生活の変化が、また家族の変化が、絶えず新しいものを要求しつづけるからです。こんな物の増大に対する第2の方法は、捨てることです。つまり現在使ってもいないし、またこれからも必要にはならないと思われるものは、思いきって捨てる必要があります。特に収納スペースに限界があり、それを超えると居住空間の圧迫がはじまるような段階では、このことは相当きびしく実行されなければなりません。
すでに社会的な寿命はとっくの昔に尽きてはいても、その物理的な寿命がまだ残されているとき、あるいはそれが懐かしい昔の思い出と結びついているときには、捨てる基準の引きかたや気持のふんぎりをつけるタイミングが非常に難しい。これを思い切りよく実行するためには、他人に譲渡する、こちらの必要なものと交換する、売る、捨てる、など様々な方法を考え、できるところからものを減らしていかねばなりません。
さらに減らすことの難しいものに、本、書類などの記録類があります。これらは特定の人にとってはかけがえのないものになるので、一概に捨てることはできません。しかし最近のものすごい出版物の増加に対しては、このような生やさしい態度ではとうてい対処し得ない以上、一定期間の保存の後捨てる、切り抜きでスクラップをつくる、デジタルデータで複写する等々の方法が実行され、しかもそれらがいつでもとりだせるようなかたちで分類されていなければなりません。
しかし捨てるといっても、現在のような廃棄システムには多くの問題があることもまた指摘しておかなければなりません。それは個々の住まいで廃物利用といったことが行なわれず、しかもそこから廃棄されるものがプラスチックを始めとして、様々な金属製品、ガラス製品等々の混合物であることから、そのしわよせが全く公共事業におしつけられ、各地で種々の清掃公害がひきおこされていることです。このことは、物の浪費のうえに立脚する資本主義判度の必然的な矛盾の反映ではありますが、空間を高密に利用しなければならない日本にとっては、居住環境の破壊、浸蝕という特殊な矛盾となってはねかえります。このため拾てるということも、単に住まいの外へ物を出すだけではなく、住まいのなかでも、近燐においても、私的、公的の結合した廃棄システム、再利用システムが確立されていく必要があります。

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