住まいの理想

現在、都市に住む人で、多かれ少なかれ、住宅についての悩みをもたない人はいないといえます。もちろん人間の欲望にはかぎりがないため、何ごとも、もうこれでいいと満足している人はいないでしょうが、住宅の場合には、何しろ選択の範囲が非常にかぎられています。大部分のものは、ピンからキリまで品物が豊富にあって、その中から人々は、自分の好みにあったものを選択することができますが、住宅はそういうわけにはいきません。住宅は、その人の職業、家族、給料、勤務地、財産等によって、その選択の範囲は極度に限定されます。そしてその場合に、選択の対象として与えられる住宅というものは、個々人の好みとは別に大部分社会的な諸条件からわりだされてきた結果のものです。それが嫌であってもほかに選択の余地がないというのが普通です。このように住宅には様々な制約条件がある結果、多くの人々は、いろいろ文句はあっても、しかたなしにいまの住宅に住んでいるというのが実情のようです。

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間取り

大部分の民間借家住宅はもちろんのこと、公営住宅や公団住宅などについてもそういうことはいえます。それらの住宅に満足している人は割合に少なく、そこからの脱出の機会を狙っているという人々が意外と多いのです。そこに、ほかのものとは違った住宅問題の悩みの根深さがあります。いってみれば、今日、都市、特に大都市に住む多くの人々は、こと住宅については慢性的なフラストレーションの状態にある、といえるのではないでしょうか。
そこで多くの人々はどういう住宅を求めているのでしょうか。もし、いま住宅選択における制約条件となっている多くのものがなくなったとしたら、人々はどういう住宅に住むことを欲するのでしょうか。
京浜、中京、京阪神、北九州の4大都市圏に住む人々を対象に行なった都市世論調査では、その中で住宅の理想について、住むところとしては都心がよいか、郊外がよいか、高層アパートと1戸建はどちらがよいかという二つの設問を用意しました。その結果は、2倍以上の人々が、住む場所として、都心よりも郊外を望んでいることがわかります。しかし、それよりもさらに驚くべきことは、高層アパートと郊外住宅の選択の中で、90%以上の人々が郊外住宅を選んだことです。この結果に、さらに庭つきかどうかの答えを組みあわせてみると、住宅の型としては庭つきの郊外1戸建住宅というパターンに各地区とも希望の大部分が集中しました。このアンケート結果でみるかぎり、大都市まだはその周辺に住む日本人の住宅の理想は、郊外庭つき1戸建住宅ということになりそうです。
この調査結果から、直ちに次のような二つの反応がみられました。一つは、政府や公共団体、建築家たちは、高層住宅の時代だといいますが、日本人はやはり庭つきの1戸建住宅を理想と考えているではないかという、この調査結果を単純に信用してしまう意見と、もう一つは、こんな他愛ない調査で住宅の理想など論じることはできないという、この調査そのものを全然信用しない意見です。このような相対立するとみられる二つの見解、つきつめていえば1戸建住宅か都市アパートか、という問題に対して、第3の立場がないというところに、住宅の理想に関する一つの問題点があるように思われます。

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