一戸建住宅の理想

理想の住宅の調査結果は、日本人の住宅の理想をたずねたというよりも、その願望を集積したものにほかなりません。これをもってして、住宅の将来像と考えるとしたらどうなるのでしょうか。国土の上にそのような住宅地を沢山建築したばあい、いったいどうなるのでしょうか。庶民の理想と考える庭つきの郊外一戸建住宅には,少なくとも330平米(100坪)ぐらいの敷地が必要です。さらに、住宅の敷地のほかに、道路、学校、公園、マーケット等の公共公益的な施設の敷地が、平均して、ほぼ住宅の敷地と同じぐらい必要になります。そうすると一戸の庭つき住宅のために、総計約660平米(200坪)の土地が市街地として準備されなければなりません。日本国民全部がいまかりにこのような庭つき住宅を望むとすると、世帯数を3000万とすれば、合計約60億坪(200万ha)の市街地が必要となります。現在の都市の面積は約13億坪(45万ha)であるため、これはその5倍近い数字となります。このような市街地をどこにどうとるか。郊外という以上は山奥の土地ではしょうがありません。都市の周辺であることを必要としますが、日本の都市の周辺は、どこもかしこも田や畑などの農地でとり囲まれています。したがって,そこを市街地に開発すると、その分だけ農地がつぶされることになります。

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大都市周辺の農地はほとんどつぶれることになります。それではこのつぶされた農地を、どこか也の地に代替させることができないのでしょうか。日本は古来から農業が発達していて、山奥の隅々にいたるまで、平坦なところはすべて開拓しつくされていて、あますところはもうほとんどないといえます。よってこれほど大量につぶされる農地のかわりは、もう他にとりようがないといえます。
そうなると60億坪(200万ha)ぐらいの農地は、国民の一戸建住宅に対する理想の達成のために犠牲にしてしまってはどうかということも考えられます。しかし、日本の総農地面積は180億坪(600万ha)そこそこです。そこから60億坪とると、農地は2/3に減るということになります。しかも、それは面積のうえでの話であって、農業生産額となると、都市近郊の農業が圧倒的なウエイトを占めるため、その場合は2/3どころではなくて、おそらく1/3以下に激減すると思われます。これは日本の農業の消滅といえるくらいです。これをアメリカとくらべてみると。アメリカの農地は1億8500万ha(約5600億坪)あります。これは日本の農地の約30倍です。一方で人口は2倍弱であるため、郊外一戸建住宅のために60億坪が600億坪とったとしても、こたえません。そのうえ農地以外に、未利用の平地原野が農地面積の3倍ぐらいあります。彼我の国土条件の差を、まざまざとみせつけられます。
したがって、国民すべてに郊外一戸建住宅を捉供するという願望が、国民の理想つまり、一つの社会の将来像となるためには、一体日本の農業をどうするか、政治、経済から貿易、日本人の食生活にいたるまで将来これらをどうするか、というところまで問いつめられなければ、容易に応えのでるものではありません。願望をもってそのまま軽々しく理想などということは、とうていできないことです。

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