借家のための事前調査と注意事項

家を借りるということは、借家人が、そこを生活の根拠として、家庭生活や営業活動を営むということです。したがって、借家人は、長期にわたって、借家を使用することを期待するものであり、借家法は、これを認めて、借家人が安定した立場で、借家を使用しうるような規定を設けております。
そうしますと、家主も借家人も、相当長期にわたって、契約の当事者となるのが原則ですから、このことを十分考慮にいれて、家を借りたり、貸したりすることを決めないと、思わぬ不利益を招いたり、損害をこうむったりすることがあります。特に、家を借りようとする人は、不安なく確実に家を使えるかどうかを確認する必要がありますし、家を貸そうとする人は、その人に貸しても大丈夫であるかということ、いいかえれば、約束を必ず守って、義務を履行してもらえるかを調べてみなければなりません。
家を借りる場合に借家人が一番関心をもつことは、その家を間違いなく完全に使えるかどうかということです。そうして、次に、どのような条件でその家が借りられるか、また契約をするにはどういうことが問題となるかを注意する必要もあります。
ところで、家を完全に使えるという意昧には、二つあります。その一つは、物理的にみて、その家を、自分が期待しているとおりの用途のために、完全に使えるということであり、他の一つは、法律上、他人の権利に妨げられることなく、家を使えるということです。したがって、家を借りる場合には、まず、その家の現場について、現況を調べるとともに、その家中その敷地の法律関係を調べる必要があるということになりますが、家中敷地の法律関係は、登記に現わされることになっているので、いちおう家や敷地の登記簿をみれば、ある程度の目的を達することになります。

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家を借りようとするならば、その家の所在地、構造、面積などを調べる必要があることは、いうまでもありません。というのは、その家の現況いかんによって、これを借りるかどうか、また借りるとすれば、どのような家賃、期間その他の条件で借りるか、ということが決まるからです。そこで、まず、借りようとする家を現実にみて、その現況を確認する必要があるわけですが、特に次の事柄に注意してください。
家を一軒借りる場合には、特に問題はありませんが、数戸建のアパートの一戸を借りるとか、貸ビルの一室を借りるというような場合には、自分だけが使える部分のほかに、他の借家人、借室人と共同して使用する部分があるのが通常ですから、どの範囲が専用部分で、どの範囲が共用部分であるかを、明確にしておく必要があります。
いかに気にいった貸家もしくは貸室であっても、約束どおり、完全に使えるるのでなければ、これを借りる意味がありません。その家の現況が空家もしくは空室であれば、一応完全に使えるものと考えてよいでしょう。
しかし、借りようとする家や部屋に他人が住んでいる場合には、その人に、自分が借りることになっている日までに、その家や部屋を明けるかどうかを確かめる必要があります。
たとえ、家主が、何日までに明けることになっているとか、いま使っている人は、なんの権利もないのにその家に入っているのだから、簡単に立ち退かせることができるとかいっても、実際には、なかなか明けてもらえなかったり、不当な立退料を払わされる羽目に追い込まれることがありますから、いつ立ち退くかを念を入れて確かめなければなりません。なるべく、完全な空家、空室にしてもらってから借りるようにしましょう。
もし、他人が往んでいる家中部屋を借りるというのでめれば、何日までにそこを明けるということを確約した書類を、そこに住んでいる人からもらうか、さらには、強制執行によって明け渡してもらえるように、明渡しの日を決めて、裁判所で和解調書を作っておけば、もっとも確実になります。
これまでに述べたように、借りようとする家の現況を確かめたならば、次に登記簿や家屋台帳をみて、その家の所有者がだれであるか、その家が抵当に入っていないかなどを訓べて、支障なく使えるかどうかを確かめる必要があります。
借りようとする家の所有者がだれであるかということは、登記簿の甲区欄に表示されています。家主は、必ずしも家の所有者でなくてもよいのです。例えば家の所有者から借りている借家人が、その家をまた貸(転貸)することもありますし、所有者から一切をまかされて、家主となることもあります。ただ、この場合は、家の所有者が転貸を承諾しなかったり貸す権限まで与えていなかったりしますと、せっかく家を借りても、家の所有者から明渡しを求められたりして、面倒になることがあります。
それですから、登記簿をみて、だれが所有者であるかを調べ、家主が家の所有者であれば、特に問題はありませんが、もしそうでなかったならば、所有者に会って、その家を貸すことを認めているかどうか、また転貸することを承諾しているかどうかを聞きただすことが必要です。
登記簿の甲区欄には、所有者が賃貸借をすることを制限する事項が記載されていることかあります。
例えば甲区欄に、差押の登記や競売開始決定の登記がありますと、その後は、家の所有者は、有効に家を貸すことができず、その家を借りても、その後に他人が競売によって家を買ったとしますと、結局、その人に家を明け渡さなければならなくなります。したがって、そういう家は、借りないようにするのがよいわけです。また、仮差押や処分禁止の仮処分の登記があるときも、同様の危険がありますから、十分往意しなければなりません。
なお、家の所有者が、他人(債権者)から金を借りていて、それを払えないときは、その支払にかえて、家の所有権を優先的に譲渡するという代物弁済の仮登記があるときも、同じような危険があります。
借りようとする家が抵当にはいっていて、そのことが登記簿の乙区欄に書かれていても、それだけでは、すぐに立退きを求められるというものではありません。しかし、家主が借金を払わないため、抵当に入っている家が競売され、他人がこれを買うということになりますと、三年以上は使えないという結果になったりすることがありますから、このことも注意してください。
家主が家の所有者であっても、その敷地の所有者が他人であるときは、家主が借地権をもっていること、その借地権について登記がされているか、もしくは家について所有権の登記がされているかを確かめておく必要があります。というのは、借地権がなかったり、登記がなかったりすると、家主が土地の明渡しを求められ、その結果、借家から立ち退かなければならなくなることが起こりうるからです。
家を借りるかどうかを決めるときには、どのような条件でその家を使えるかを確かめる必要があります。特に借家を自分の都合のよいように改築したり、造作をつけ加えたりするには家主の了解をえなければならず、また、借家の権利を他人に譲ったり、また貸(転貸)をしたりするにも、家主の承諾をえなければならないのですが、場合によっては事前にこの了鮮や承諾をもらっておく必要もあるでしょう。特に多額の権利金を払うようなときは、その回収をはかるために、事前の了解や承諾をとっておくことが有利です。なお、店舗として借りるときには、それに必要な改造をどの程度できるかをはっきりさせておくことが望ましいといえます。
家主がもっとも関心をもつことは、借家人がどのような目的で、どのように家を使うか、また家賃を確実に支払うかなど、誠実に義務を履行してもらえるか、ということでしょう。それですから、家主としてあらかじめ調査したり確かめておく必要があるのは、これらの事項であるということになります。

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