借家契約書の形式

借家契約をする場合には、通常は契約書を作りますが、それは、家主と借家人の間で、約束の内容を、はっきりさせておくためです。契約書を作ることは、借家契約の要件ではありませんから、口約束だけでもよいわけです。
契約書を作っていないと、まだ契約をしていないということがよく、いわれておりますが、そういうものではありません。賃貸借の要素について、家主と借家人との間に合意があれば、それで契約が成立したことになります。もっとも、期間は決めないで貸すこともできます。
なお、契約書は作らないが、家賃の領収帳を使って、家賃を授受している例も多いのですが、それによっても、契約の内容が分かることになります。
契約の内容をはっきりさせるため、契約書を作る場合でも、その書式に一定の様式があるわけではありません。書店、文房具店などで市販している印刷した契約書の用紙を利用してもよく家主と借家人が話し合って、契約書の文案を作って書いてもさしつかえありません。ただこれらの場合には、法律の専門家の意見を聴いたほうが無難であるといえましょう。

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公正証書とは、法律関係の内容を、公式の文書によって明確にするために、公証人が作成する証書をいいます。
公正証書が有効なためには、法律に定められた厳格な方式にしたがわなければならず、特にこれを作成するについては、その作成を依願する人またはその代理人が、公証人の面前で、どのような内容の借家契約にするかを陳述し、公証人がこれを聴いて証書を作成することになっています。したがって、公正証書は、一般私人の作る契約書に比べますと、その証書が、家主と借家人の真意に基づいて、しかもその内容を了解して作られたものであることが、はっきり証明されることになります。すなわち、私人の作成した契約書ですと、特に立会人がいないような場合には、その契約書が本当に本人の意思に基づいて作成されたものであるかどうかが争われることがあります。例えば契約者のまったく知らないうちに、印鑑を盗捺して、その契約書を作ったものであるとか、自分は、その契約の内容が自分の意思に反するので契約書を作るつもりはなかったが、相手に脅かされてやむをえず契約書に署名したといわれることがあるのです。これに対し、公正証書は、公証人が本人の意思をたしかめて作成しますから、まずこのような争いけないことになります。
また、私人の作成した契約書ですと、よく、自分は契約書に判を押したけれども、契約書の内容は読まなかったので、そこにどういうことが書いてあったのかわからず、したがって、契約書どおりの約束をしたことはない、といって争われることがあります。しかし、公正証書の場合には、公証人が作成した文書を列席した家主と借家人に読み聞かせるか閲覧させ、その承認をえたうえ、これらの人に署名、捺印させることになっていますので、契約の内容を知らなかったといわれる心配はまずありません。次に公正証書で、特に金銭の支払については、債務者が、その支払をしないときは強制執行を受けてもやむをえない、ということを記載しておきますと、約束の金銭の支払を怠ったときは、裁判所に訴えないでも、その公正証書によって弛制執行をすることができることになっています。
公正証書で強制執行ができるのは、金銭の支払に限られますから、土地の明渡しの強制執行をするには、必ず裁判所で判決をもらうか、和解や調停で、明渡しの取決めをしなければなりません。和解や調停のしかたについては、一定の日時がきたとき、もしくは、家賃を何カ月分か支払わないなど、一定の条杵がみたされたときは、家を明け渡すということを決めておくと、それによって、強制執行できるという利点があります。
公正証書を作成する手続は、家主と借家人またはこれらのものの代理人が公証人の面前に行って、どのような内容の契約にするかということを述べ、公証人がこれを聴いたうえでこれを書面に 作成します。そのさい、公証人は、出頭した人が本人に開違いないかどうかを催かめなければなりませんが、本人と面識がない場合には、通常、区役所、市町村役場で発行する印鑑証明によって本人であることを証明させることになっています。
公正証書を作成するのに、特に注意しなければならないのは、代理人によってこれを作る場合です。本人が出頭すれば、先に述べたような契約の内容を了解させる手続はその本人に対してするわけですから、自分の知らない契約書が作られるおそれはまずありません。しかし、代理人による場合の手続は、代理人に対して行なわれるわけですから、代理人にどういう内容の契約にするかを明らかにして公正証書の作成をまかせる必要があります。公正証書を作成するために、白紙委任状を作り、だれを代理人とするかをはっきり決めず、また、公正証書の内容とする契約条項を明確にしないまま、その委任状を他人に渡すと、思いがけないような内容の公正証書が作られ、しかも、それはまったく知らなかったものであるといって、争うことが困難となりますから、そういうことのないように十分注意をしなければなりません。そうして、公正証書を作成した湯合には、その謄本をもらっておいて、それにどういうことが書かれているかを確かめ、これを忘れないようにしておくことが肝要です。
公証人は、決まった場所に役場を設けて、そこで執務をしていますから、公正証書を作るには、そこにいかなければなりません。

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