適正家賃の算定

経済や経営の立場から純理論的に考えれば、ある建物のある時点における適正な家賃類は一つの計算式で定まるものだとも考えられます。例えば建物の取引価格に、住宅なら年五分、営業用建物なら年六分の利子率を乗じた類に、それぞれの耐用年数に応じた減価償却分を加えたものが純家賃類で、これに地代相当額を加えたものが適正家賃の原型だとする学者もあります。建物の客観的な利用価値といわれるのも、これに類したものを考えておられるでしょうが、家賃の増減額請求の制度は、従前の家賃が不相当なものになったときに、公平の原則に従って相当と考えられる類に改訂するためのものですから、そこでいわれる家賃の適正類あるいは相当額というのも、当事者間の公平という立場から判定したものであって、必ずしも理論的な適正類と一致するものではありません。また、地代家賃統制令の適用されない場合でも、やはり借家人の居住権の保護という借家法の基本的な趣旨を尊重して、特に増額請求のケースでは借家人の立場を十分に考慮しなければなりません。したがって、適正家賃の算定に当たっては、地価や建物価格の高低、水利の便、改良工事、権利金授受の有無、近所の家賃、修繕費、諸税金、火災保険料、付近道路の良否、騒音、貸借関係の継続期間、建物の経過年数と耐用年数、家賃協定当時の諸事情、当時の経済状態その他、それぞれのケースにおける様々な具体的事情が斟酌されなければならないのです。

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建物にかかる租税のうちで都市計画税や水利他益税は建物の利用に対して課せられるのですから、家主と借家人とがそれぞれの受ける実質的利益の割合に応じて分担すべきで、したがって、これらが上がったときは当然に家賃もその分だけ上がることになります。これに対して、固定資産税は建物の所有に課せられるものですから本来家主が負担すべきもので、これが上がってもそのまま家賃にひびかせるべきではない、との主張があります。しかし、実際には固定資産税を家賃におりこんでいることが多く、少なくと家賃額決定の際の一つの要素とされていますから、その増額をまったく無視することはできません。ことに、家賃類そのものが通常の相揚よりかなり低い場合には、固定資産税の増額がそのまま家賃額に反映することを認めなければならないとも考えられます。地代家賃統制令では、原則として固定資産税と都市計画税とを全額家賃に含ませていることも一つの参考になるでしょう。しかし、実際の裁判では、固定資産税の増額は、家賃の値上率などの算定の一資料として利用されることが多く、税の増額分がそのまま家賃の家賃分に算入されることはあまりないようです。
土地に対する租税などの増額は、地代の増額を引き起こすかぎりにおいて家賃の値上げ分に算入されることになります。
建物の価格があがった場合、これを基準に増額家賃を算定する方法として、次の二つが考えられています。
建物の現在価格を投下資本額とみて、これに利率を乗じて得た利息相当額に、税金、管理費用などの諸経費を加えた額が家賃具類となるという、いねば利回採算方式ともいうべきもの。この場合の利率については、住宅は年五分営業用建物は年六分の法定利率を用いる学説もあり、併用住宅のケースで適正利潤率五・五パーセントとして計算している判例もあります。
従前の家賃額にその後の物価や建物価格の上昇率を乗ずるという、いわばスライド式算定方式とでもいうべきもの。
判例には、前者の方式によるもの後者の方式をとるようにみえるもの両者を併せて勘案すべきだとするものの三者があるようです。いずれの場合も、地価の値上がりはそれぞれの方式に従って算定されたものが加算されるわけです。実際には、このような方式で算定された額がそのまま家具類とされるのではなく、この類を一応の基準として、さらに様々な事情が考慮されるわけですから、算定方式の違いがそのまま相当家具類の違いに現われるのではありません。
家主と借家人との間に縁故、友人関係などがあったために当初に定めた家賃が付近の建物にくらべて低いという場合に、この特殊事情が消滅すれば直ちに付近のそれと同じ類まで増額できるかについては、認めた判例と、当初からの差はうめることはできないとした判例とがあります。家賃を特に低くした友好関係がなくなった場合、相当家賃額に改訂することは必要でしょうが、借家人の立場も考え、少しずつあげてゆくべきだ、とも主張されています。

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