家賃の算定方法

家賃の算定といっても、新規に賃貸借をする場合と、永年賃貸借が継続しているときにこれを改訂する揚合とでは、その考え方に大きな差異があります。したがって場合を分けて考えてみましょう。
例えば、アパートを新築して賃貸する場合とか、使わなくなった離れを改造して新規に賃貸するようた場合がその例となります。
このような新規賃貸の場合の家賃の適正額については、積算式評価法による積算賃料と、賃料事例比較法による比率賃料の二つを関連させ鑑定評価することになります。
積算式評価法とは建物およびその敷地の復成現価を求めて、これを元本とし、これに適正な期待利回りを乗じ、税金や、管理費や減価償却費など、貸主の負担となる諸経費を加えて求める方法で、このようにして求められた賃料を積算賃料とよびます。積算賃料を求めるには、まず元本たる「建物およびその敷地」の復成現価を鑑定評価しなければなりませんが、建物が新築直後のものであれば、その新築価格、工事請負額等が一応目安となるものと考えていいわけです。ただ借入金の利息は原価に計上されないことに注意すべきです。新築直後でない場合は、経年による物理的損耗その他いろいろな減価要因が考えられますので、これを新築価格から控除して、いわゆる現在価格をだします。敷地については、建ぺい率等を考え、その建物の機能上必要とされる範囲の面積について、建物がある状態での土地の時価を評価します。以上の方法で求めた建物およびその敷地の価格が元本となるわけです。

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賃料事例比較法とは、近隣に同じような物件がどのような賃料で貸されているかを調べ、似たような物件の賃貸条件に比較して、当該物件なら、これぐらいが妥当たりうという賃料を求める方法のことで、このような方法で求められた賃料が比準賃料とよばれます。
この賃料事例と比較する場合注意しなければならないことは、毎月の家賃のほかに、敷金や権利金が授受されているのが通例でしょうから、そのような一時金については、その運用益や償却額を計算して、それを毎月の家賃に加算した、いわゆる実質賃料に比率しなければならないことです。例えば、毎月の家賃が六万円で敷金がその三ヵ月分、そのほか二年間で償却される権利金が六万円ということであれば、実質賃料は、巡用益を年七分として計算すると合計約六万三、八〇〇円となりますので、比率賃料を求める場合は、これと比較してきめることになります。
この二つの積算賃料と比準賃料を関連づけて、新規賃料の適正額を定めるわけです。
以上のほか、当該不動産が収益用不動産であれば、収益分析法による収益賃料というものを求めて、前の二つの賃料とともに三つの賃料を関連づけて最終評価額を決定することになります。
一戸建の住宅や、併用住宅などで、長い間賃貸されているものについて、従来の家賃を改訂する場合ですと、その適正額の鑑定評価は、なかなかむずかしいものとされています。古い一戸建の貸家などですと、借家法を援用する借主がふえ、したがって契約は長期間継続することになり、長い年月のうちに家賃は、新規に賃貸する場合の家賃にくらべ非常に安くなっているのが実態です。経済的家賃と実際家貸の差額の資本還元化されたものが借家権価格などともいかれますが、古い貸家の揚合には、このような借家権価格が自然に発生している場合が多いのです。
さて、継続中の賃料を改訂する場合の適正額の鑑定評価についても、原則的には、前に述べた方法で、適正額にアプローチしなければならないわけですが、建物およびその敷地の完全所有権価格を元本として求めた積算賃料は、継続中の事例賃料とくらべると、その半分、ひどいものになると二〇分の一以上の開きとなってその格差をどう調整するか、関連づけが非常に困難となる場合が多いので、実務的には、次のような考え方でその目安を得るのが一案ではないかと考えます。
前述のような借家権価格がはっきり認められるような場合には、積算賃料を求める場合の元本価格を、建物およびその敷地の完全所有権価格から借家人に帰属しているとみられる借家権価格を控除したものに置きかえてみる方法や、現在の家賃が改訂された一番近い時点まで遡って、その時点における純収益率と実質国民所得等の上昇率をアジャストしたものおよび当該地域における一般継続賃料の改訂の推移動向等を考慮した変動率等を用いて、改訂額を考える方法などを試みることです。そして継続中の賃料事例と関連づけ、次のようなもろもろの事項を総合的に比較考量して最終評価額を決定することが実務的でしょう。
地価の値上がりというものは、必ずしも地主側だけの要因によってその土地の効用が増大したために起こった現象ではないということ、したがって地価の値上がり益の全部を地主に帰属させる必要はないということ。
店舗のような営業用物件については、前述した客観的な経済賃料との接近を思い切って考慮してもよいということ。
賃貸借開始の時点が古ければ古いほど、客観的な経済賃料にくらべ、実際家賃が低率になってもやむを得ないこと。
過去の家賃改訂の推移および改訂率に準じて改訂されることが適当であること。
賃貸借開始当時の経緯、例えば特別な事情で安く貸したような場合は、その特別な事情がなくなっても、安く貸したという事実は無視できないこと。
現在の家賃はいつ改訂されたものか、改訂された時点から現在まで経済情勢はどう変化しているか、その経済情勢の変化に対応して借主の支払能力、負担能力が上昇しているかどうか。など。

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