家賃の供託手続き

家主が家賃の大幅値上げを要求してきました。私も一割くらいの値上げならやむをえないと考えて、一割増の家賃を持っていったのですが、受け取ってくれません。家主のいうとおりの値上げには、とても応じられませんので、一割増の金額を供託しておこうと思います。どこの供託所で、どういう手続をすればよいのでしょうか。
供託手続としては、供託所へ供託者が供託物を提出し、供託所がその供託物を管理し、供託所から被供託者がその物の交付を受ける、という三つの段階がありますが、ここではこの第一の段階における手続、問題点について説明します。
供託はまず、供託をしようとする者の供託の申請によって開始されるわけですが、供託者またはその代理人は、供託所から供託申請に必要な用紙の交付を受け、供託書に必要事項を記載したうえ記名押印し、それに供託規則に定める書類を添付し、供託物とともに供託所に提出しなければなりません。
債務者その他供託のできる者が、供託をなすべき供託所というのは、例えば、持参払を約束している借家人が家賃を供託するような場合は、債務の履行地すなわち家主の住所地を含む最小行政区画内にあたる市町村あるいは特別区内の供託所のことです。そしてこのような供託所そのものは、法務局、地方法務局またはその支局、ならびに法務大臣の定めるそれぞれの出張所です。しかし法律や命令で、供託すべき供託所が定められていない場合には、供託者は、債務履行地にある簡易裁判所に対して、供託所の指定や、供託物保管者の選任を求めることができます。その際裁判所は、裁判前に債務者および弁清者を尋問いたしますが、そのための手続費用は債権者が負担することになっています。

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供託法一条は、金銭および有価証券の供託は供託所にこれをなすよう定めていますので、判例によりますと、出張所が廃止された場合には、供託所は、その本局にあたる供託局になると解しています。したがって、供託者としてはこの場合、裁判所の指定を求めることはできませんし、このように履行地界にある相当な供託所に供託すればよいのです。しかし、債務履行地内に数個の供託所があるときは、供託者は、裁判所に対して、供託原因その他各種の供託の性質に応じて、供託すべき供託所を選定してもらうことができます。
ところで、このような、法令により、あるいは裁判所の選定、指定により、相当と認められる供託所以外の供託所に供託した場合、その供託は無効とならざるをえません。なお、弁済の提供時から二年九カ月という長期間を経たのちになされた供託でも有効とする判例があります。
供託者は、供託の申請にあたり、つぎのものを提出しなければなりません。
供託書二通
供託通知書一通
供託通知書を家主に送付するための封筒一袋
供託金その他供託物件
供託言にはいろいろの書式がありますが、本問の場合には、地代、家賃弁済供託の供託書を使用する必要があります。
供託書には、供託者の氏名、住所、供託金額、供託の原因である事実、供託金を受け取りうべき者の氏名、住所などを記載します。
供託の申請がなされますと、供託所は、提出された書類に関し、その記載が適式であるか、添付書面が皆揃っているか、供託原因があるか、その供託所に管轄権があるかなどについて一応審査し、受理すべきか否かを定めます。しかし、供託書には、形式的審査権はありますが、実質的審査権はありません。
判例は、借家人が、供託書に、供託金を受けるべき家主の現住所でなく旧住所を記載している場合には、その弁済供託は無効であるとしていますが、その理由は、借家人が訴訟の相手方である家主に法廷でも十分出会う機会があり、容易にその住所を知りえたにもかかわらず新住所を確かめなかったところにあります。
一般には供託者の住所記載に誤りがあっても、供託が無効となったり、取り消されたりしませんし、供託物を受け取るべき者の表示の誤りは、供託物の取戻しの理由にならないとされています。
ところで、供託通知書は、供託所によって、一通だけでなく二通提出させるところもありますが、それは、一通を債権者に送付し、他の一通を供託所に保管して、供託通知書発送簿にかえるためです。
法務局、地方法務局でなく、その支局、出張所に供託する場合には、供託者 は、供託所から、供託受理と記載した供託書一通と保管金払込書の交付を受け、これに供託金を添えて日本銀行もしくはその代理店に納入しますと、日本銀行では供託書に供託金受領の記入をして、それを供託者に返してくれます。ただし、供託者が、供託書の指定する納入期日までに供託物を納入しない場合には、その供託受理は効力を失い供託がなかったことになります。実務上、納入期日は、受理の日をいれて八日目とされています。
供託者は、供託をしたときは遅滞なく債権者に供託の通知をしなければならないことになっていますが、一方今日では、供託者から提出された供託通知書は、供託が成立したのちに供託所の手をへて、被供託者に送付され、供託通知が確実に行なわれるような仕組になっています。
その結果、被供託者は、供託所に対し、供託者から交付された供託書の正本を提出するか、あるいはこの供託通知書を提出して、自己の供託物還付請求権を証明するのに役立てるわけです。

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