権利金の算定方法

権利金については、いろいろ学説がありますが、賃料の鑑定評価基準では、大別して次の三つの見方があるとしています。
(1) 賃料の前払に相当するもの
(2) 賃貸借等の権利の設定対価または譲渡対価に相当するもの
(3) 営業権の対価または暖簾代、造作代に相当するもの
いわゆる毎月の賃料のほかに一時金として貸主が取りっきりにして借主に返さない金銭のことをいいます。(1)の賃料の前払に相当するものは、沿革的には地代家賃統制令を潜脱するためにうまれたものともいわれますが、最近では、統制令適用物件と否とにかかわらず、いわゆる名目賃料を安くみせかけようという意図や、名目賃料を補充しようという目的で授受されるものが多いようです。アパートなどの賃貸借に当たって授受される礼金や権利金などが、この部類に入るものといえましょう。
同じく一時金といわれるものに、敷金や 保証金または協力金などの預り金がありますが、これらは原則として賃貸借等の終了に伴い借主に返還されるもので、このような一時金は権利金ではありません。しかし、敷金、保証金等のうちいろいろの名目、例えば修繕費にあてるとか、建物の償却費にあてるとかいう名目でその一部を返さないで貸主が取りっきりにしてしまう場合があります。このような場合の、その取りっきりにしてしまう金銭は、(1)の権利金の部類に入ります。貸家の場合の更新料もこの部類に属するものといえましょう。
これら(1)に属する権利金の額は、地域的にその慣行がまちまちで一概にはいえませんが、アパートの場合は毎月の家賃の一、二カ月相当分とする例が多く、まれには三カ月分などという例もあり、店舗の場合は六カ月以上の額になる例もあります。預金から控除されるほうの権利金は預り金の二〇パーセント、または毎月の家賃の一、ニカ月分とする例が多いようです。
(2)の賃貸借等の権利の設定または譲渡に当たって授受されるものは、多くの場合、いわゆる借地権価格、借家権価格が基準となるようです。

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上述のうち、賃料の鑑定評価基準では、(3)以外のものは、すべて実質賃料を構成するものとして取り扱うことにしています。(2)については、個々の契約で譲渡性が与えられているもの、すなわち権利の譲渡につきあらかじめ地主、家主の承諾を取りつけてあるものがあったりして、借地の場合などは、いわゆる上土分の譲渡代金などとみられるものもありますが、これらについて賃料の鑑定評価基準は、(1)に準ずるもの、すなわち賃料の前払に相当するものであるとする立場をとっています。したがってこれらの権利金は、その償却額および運用益が実質賃料を構成する、いいかえればこれらの権利金は、実質賃料の一部であるという考え方をしているわけです。そして鑑定評価によって求めるべき賃料は、まず先に借主の負担する経済的対価のすべて、すなわち実質賃料を求めなければならないことになっています。しかもこの段階での実賃料は、権利金や預り金などいわゆる一時金の授受のない場合の賃料のことを指しています。そして次の段階で権利金等が授受される場合に、それらの償却額および運用益を控除して支払賃料いわゆる毎月支払われる地代、家賃を求めることになっています。すなわち鑑定評価では、先に顔を出してくる賃料は全体的な実質賃料で、権利金とか支払賃料は次の段階で顔を出してくる、つまり権利金とか支払賃料というのは、実質賃料の内訳的なものなのです。したがって権利金等の額が支払賃料の額を左右することになります。権利金等が多ければそれだけ支払賃料は安くなるのです。
以上は権利金が、一カ月とかニカ月とか、その地域の慣行に従って授受される場合における、その授受される権利金の額と支払賃料との相関関係を試算したものですが、店舗などを新規に賃貸するような場合は、前述(2)の借家権設定対価的な権利金が授受されることがあり、この場合は、権利金としていくらとれるか、いいかえれば権利金そのものの額を、まず求めてほしいということがあります。これは借家権価格の鑑定評価の問題ですが、新規に賃貸する場合の、いわゆる創設的借家権価格についてだけいえば、当該建物およびその敷地価格に近隣における試行的な借家権価格を乗じたものがまずその目安となるものといえましょう。
東京都の公有財産規則では、部有地上に新たに借家権を民間に設定させる場合には、建物価格の四割と借地権価格の四割とを合計したものを借家権の権利金の額としています。民間の場合は、建物価格の五割と、借地権価格の二割〜六割、住宅地の場合は低く、商某地の場合は高く、を加えたものが鑑定評価の先例となっています。このような借家権利金が授受された場合の支払家賃については、実質賃料から、この権利金の償却額および還用益を控除して求めることになりますが、それについては、アパートの家賃の場合と同じ計算になります。

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