新築前の権利金の前払い

地下鉄の新訳が六ヵ月後竣工する予定ですので、不動産会社がその近くに名店街をつくって、賃貸するといっています。今月末までに権利金一五〇万円の前払が条件です。敷金は店舗の引渡時に払うことになっています。場所的には、権利金、敷金、家賃はそれ相応で、高くはありません。権利金を払って契約する前に、どういうことを調べたらよいでしょうか。
営業用の店舗を新たに借りる場合には、場所的利益の対価として相当多額の権利金ないしはそれに類する金銭の授受がなされています。とりわけ、店舗が名店街にあるような場合には、場所的利益すなわちその場所で営業することによる利益は大きく、したがって賃料はもちろんのこと権利金も高いようです。
そうした名店街をつくる場合、不動産会社はまずすべて自分で工事をして、そのあとで入居者を募集してもよいわけですが、場所的利益が大きく、営業上有利な場合には、それだけ需要も多くなると考えられるわけですから、あらかじめ入居希望者を募集し、その人々から権利金をとって、その金を使って工事をすれば、それだけよそから工事代金を借りる必要もなく、金繰りの面で助かるというわけで、本問の場合のように権利金を先にとることが行なわれるわけです。

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当該場所の場所的条件を考えて、権利金の額が、家賃や敷金を考慮に入れても、決して高くないとしても、心配なのはあらかじめ権利金を支払って、本当に約束どおり当該店舗に入ることができるだろうかということです。それはその不動産会社の信用いかんです。その際、調査すべきことは次の二つです。
第一には、当の不動産会社が、本当に当該場所に名店街をつくる権利を持っているかどうかという点です。その会社が、店舗をつくる土地の所有権を取得していれば問題はないわけですが、他人の土地を借りてそのうえに名店街をつくる場合ですと、まず所有者が誰であるかをたしかめ、その所有者に対し、不動産会社に対して店舗をつくる権利、地上権か賃借権を与えたかどうかそ確認することです。店舗を賃借する者は、その土地も利用することになり、土地を転借したかたちになりますが、この場合にはあくまで店舗を借りているのであって土地のほうはいわば反射的に利用することになるわけですから、転貸にはなりません。
第二に、不動産会社自体の信用を調べることです。いやしくも相当の建設費用を要する大規模な名店街の工事をするくらいのところなら相当大会社のはずですし、そのことだけで信用できるといってもよさそうに思えますが、そうでないこともありうるわけです。同業者や興信所など確実な筋から情報を得て判断されるはかないでしょう。こうした調査には少なからぬ費用がかかることがありますが、一五〇万円もの権利金を前払するからには、少々費用がかかっても調査しておいたほうが安全でしょう。
土地の所有権あるいは利用権もあり、一応信頼できる不動産会社であると判断できる場合、次には具体的に権利金の前払をしたあと、もし相手方に違約があった場合の措置を考えておくことです。おそらく、名店街の店舗の賃貸借については、統一的な契約約款が用意され、権利金の支払にかんする項目を含めて、種々の契約条件が定められていて、個別的な交渉の余地が少ないかもしれませんが、前払した権利金の返還と、それを担保する手段に関する点をよく検討することです。その際特に注意すべきことは、契約条項を自分のほうにだけ都合よく読まないで、相手方が責任をのがれられるようになっていないかどうかを検討することです。もし、心配な点があれば相手方にききただし、単なる口約束だけではなく、できれば覚書的なものをとっておくとよいでしょう。なお、相手方の義務不履行の場合のことにのみ気をとられ、自分のほうの不履行の場合のこと、例えば権利金を支払ったが急な事情でそこへ入ることが出来なくなってやめた場合に、前払した権利金の返還を受けられるかどうか、それ以外に損害賠償をとられないかどうかなども検対しておくべきことはいうまでもないことでしょう。

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