借家人の敷地利用

借家人には家屋を貸したがその敷地までも貸したのではない、と一応いえますが、敷地を利用せずに家屋に住むことは不可能ですので、一般には「住宅に使用するための家屋の賃貸借において、その家屋に居住し、これを利用するため必要な限度で、その敷地の通常の方法による使用が随伴することは当然である」と考えられています。ですから、借家人が庭に草花を植えたりすることは一向にさしつかえないわけです。しかし、庭に池を掘ったり、敷地の空いた部分に建物を建てこれを他人に貸したりするときは、不法に敷地を利用したことになり、結局、借家人の保管義務ないし用法違反を理由に、家主は借家契約を解除することができるでしょう。
ところで、どの程度の敷地利用が、建物使用に必要な敷地の通常の使用といいうるかは、一概にいえず、契約の趣旨、借家人側と家主側の事情、利用方法など、あらゆる事情を考慮して、決定されなければなりません。そして、かりに敷地の利用が通常の方法によるとは認められない場合でも、それが信頼関係を破壊するにいたらないときは、契約を解除できないことに注意してください。

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借家人が、家主に無断で、初め裏の庭に小さい物置を建てました。そのときは家主は黙認していましたが、表のほうの空地に小店舗を造り小間物を売り始めましたので、契約を解除したいと思いますができるでしょうか。
はじめ裏の庭に小さい物流を建てた際に、黙認されたとのことですが、物置がなくては日常の生活に不使でしょうし、小さな物流を建てたくらいでは、家主としてもべつに困るわけでもなく、かえって家主もそんなことは覚悟していたともいえますから、敷地の通常の利用方法であって、黙認されたのも当然といえるでしょう。判例にも、製本業者の借家人が、トタン屋根、古材のガラス戸入りの、幅約三・六メートル、奥行約七メートル、高さ約二・一メートルぐらいの物置を設置した事例につき、建物使用に必要な範囲に含まれる、としたものがあります。かりに、物流の設置でも保管義務、用法の違反になるとしても、素人仕事の仮建築で奥行約一・三一メートル、幅約二・〇一メートル、高さ約二・二五メートル、ビニール波板の屋根をもつ物流を、無断増改築禁止の約束に反して増築した件について、信頼関係の破壊ありと認めるに足りない特段の事情があるとして、家主からの解除を無効とした判例がみられます。
ところが、表のほうの空地に小店舗を造り小間物屋を開店したことは、かなり問題です。建物を居住用に貸し、それに随伴するかぎりで敷地を利用させた家主にとっては、店舗を無断で増築され、そこへ多くの人々が出入りすることは、場合によっては耐えられないでしょう。表のほうの空地について利用方法を考えていたとか、住宅街なので小売店にするのなら絶対貸さなかったであろうと認められるような場合は、特にそうだといえます。空地を利用しなくても、借家人の居住に支障がないときは、この行為は土地の不法占拠にさえなるでしょう。したがって、例えば権利金を相場をこえて借家人が支払ったとかいうような、よほどの事情のないかぎり、家主は契約を解除できると思います。ただ、小店舗ですから、それを取りのけることはそう困難でもないと思われるので、まず、一〇日か二週間くらいの期限を切って取りのけるよう催告し、それに従わないときに解除する、という段階をふまれるほうが安全です。最高裁判所は、建物の一部の借家人が他の部分について家主から賃貸の交渉を受けたのに、諾否を明らかにしないまま、五ヵ月あまりの間この部分を不法に占拠しているケースについて、家主の無催告解除を認めています。
家族が多いので子供の勉強室用に三畳ほどの組立ハウスをつくりたい、とした場合、結論をいいますと、家主の承諾をえなくても、借家契約を解除されることはない、と考えます。厳格にいえば、庭は庭として使用すべきであって、そこに建物を建てるのは用法違反だといえますが、庭を借りたときより子供も増え、あるいは、増えなくてもそれぞれ成長して、より広い住居を必要とするようにたったときは、借家人がその居住の安定をはかるため、庭(建物の敷地)を利用して、取りのけることが容易な組立ハウスを建てても、借家人がよそへ移るときは取り除くべきでしょうが、これを理由に解除できるほど信頼関係を破壊したとみるのは、社会常識に反すると考えられるからです。

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