住宅地計画と社会的課題

住宅地計画は、従来は単に住宅需要に対応する建築的計画と考えられてきましたが、産業化、都市化の急激な進行に伴い、今日では社会的課題にこたえる社会的計画と考えられるようになりました。戦後の経過をみると、そこに2段階が区分されます。まず産業構造近代化と経済成長による人口の大都市集中、拡張家族型から核家族型への推移に伴う世帯数の増加などの状況が顕著となり、大都市における住宅難の解消と人口の大都市への過度集中に伴う郊外地における大量の住宅提供が当面の緊急問題でした。こういう社会的要請をふまえて、日本住宅公団や都道府県および民間企業によって団地と呼ばれる集合住宅が続々と建設されました。この段階では、いまだ国土計画、地域計画、都市計画との関連が確立されていないままに、もっぱら建築学的住宅地計画が単独に先行し、そのコミュニティ計画についての社会学的立場は無視されてきました。

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団地計画そのものについても統一的ビジョンは確立されておらず、このため大小様々の団地が不統一のまま続々と建設され、団地計画にいかにも一貫性がないような印象を与えてきました。しかし、経済の高度成長、巨大都市化の進行につれ、大都市人口は急速に激増しました。それまでは中小規模の団地建設が主であったが、この段階では激増する都市人口に対応する大量の住宅提供という社会的要請に押されて一足飛びに大規模団地の建設を開始したのでした。このため、規模についても近隣住区以下の小団地から中小都市に近い大団地に至るまであり、また郊外地団地、市街地団地、単純な並列配置のもの、近隣住区的なもの、ニュータウン的なものなど種々雑多なものになりました。こういう経過をみて最も奇異に感じられるのは、日本においては住宅地計画を貫く基本的理念が確立されていないということです。20世紀後半において、世界各国の大都市周辺には様々の形態と内容をもった新しい集合住宅地が誕生しました。そこには、ある基本的理念に立った住宅地計画を策定することによって社会の近代化に対応しようとする各国それぞれの姿勢が反映されています。したがって、日本においても、次第にいかなる基本理念に立って住宅地計画を策定すべきかという反省の気連がうまれてきました。大団地、ニュータウンの建設が開始される段階において、イギリスのニュータウン方式、アメリカの近隣住区方式などの基本理念やそれにもとづく住宅地計画が様々のバリエーションをもって導入されはじめました。この時期以後を、住宅地計画の第2の段階だといえます。
こういう社会的要請に呼応して、住宅地計画の基本理念を探ろううとする多数の調査研究が現われました。そこでは、主として現代の大衆社会化状況や急速な都市化などのマイナス面が住宅地という地域社会の次元においてどのように典型的に現われているか、またそれはどういう方向に向かいつつあるかを模索しようという問題意識がもたれてきました。例えば公団委託研究としてなされたアパート団地居住者の社会心理学由研究では、研究のねらいは、団地という新しい地域社会が単に現代大衆社会化状況を克服する一つの場となりうるか、否かといったことにあったと述べています。団地コミュニティの再検討でも、コミュニティ解体から継起する大衆化の中に、なおそれを追求することの無意味さを主張するのは,、コミュニティを歴央的過程の中でとらえず、類型的に郷愁的にそれを求めようとするからであり、われわれはコミュニティを動態的なものとしてとらえ、大衆社会化状混の混乱の中にも、これからの支柱となるたくましい萌芽を見出すことである。と同じ意図を述べています。また、文部省科学研究費によってなされた大阪市立大学団地研完会の団地コミュニティの研究では、団地という新しいコミュニティのビジョンとその社会的意義を発明することを目的とした団地計画に関する社会学的並びに建築学的研究、社会学評論。これらの諸研究から引き出された共通の結論は、団地では近隣における人間関係が弱化し、住民の団地という地域社会への帰属意識が稀薄なことでした。したがって、第2の段階における住宅地計画の社会的課題は団地などの住宅地にいかにしてコミュニティとしての地縁性、共同性をつくりあげるかに向けられることになりました。

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