コミュニティの分離と異質化

今日では急速な都市化、都市の広域化、メガロポリス化が進行するにつれて大都市におけるコミュニティの構造と機能は大きな変化をきたし、社会学の領域で従来用いられてきたコミュニティの概念も再構成されるべき段階にきています。これらの変化の中で最も注目すべき点は、夫や父の生活単位としての大都市圏コミュニティと妻や子供たちの生活単位としての居住地区コミュニティの性格的な分離と異質化の傾向です。前者を社会関係としてのコミュニティまたは、夫・父コミュニティ、異心円的コミュニティと呼び、後者を居住場所としてのコミュニティまたは、妻・子どもコミュニティ、同心円的コミュニティと呼ばれます。古典的コミュニティ概念の構成原埋はコミュニティという一定の地理的範囲に地域性と共同性が存在すること、その地域性と共同性の地理的範囲は、コミュニティの範囲が拡大するにつれて、ともに順相関関係的に拡大することです。コミュニティの古典的定義の代表者といわれるマッキーバーによれば、コミュニティとは共同生活の地域を意味するものであり、集落、町、郡、地方やさらに広い地域もコミュニティです。一つのコミュニティはより広いコミュニティの部分であり、したがってすべてのコミュニティは程度の問題であると定義されています。

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ところが、今日の大都市におけるコミュニティを検討してみると、古典的コミュニティ像との差異がそこに見られます。その第1は、マッキンバーが指摘したような明確な意味の地域性と共同性が失われていること、第2は、コミュニティの地理的範囲が拡大するにつれて地域性と共同性の範囲が必ずしも順相関関係的には拡大しないことです。換言すれば、現在の大都市生活では、コミュニティの地域性と共同性は希薄化するとともに、コミュニティの社会学的性格は、社会関係としてのコミュニティと居住場所としてのコミュニティの二つに分離し異質化していること、大都市になるほど、社会関係としてのコミュニティの地理的範囲は拡大し、逆に居住場所としてのコミュニティの範区は縮小します。反対に、小都市、農村になるほど社会関係としてのコミュニティの地理的範囲は大都市に比べて縮小し、他方では居住場所としてのコミュニティの範囲は大都市にくらべて拡大することを特徴としています。したがって今日の大都市コミュニティの最も大きな変化は、社会関係としての大都市圏コミュニティと居住場所としての居住地区コミュニティの分離、異質化の傾向であるといえます。
日本における急激な社会変動は、地域社会の中に前近代性、近代性、現代性を重層的に素積させてきました。このため、コミュニティは制度的、価値的、権力構造的には重層構造になっています。急速な都市化により地域横造も大きな変動を経過し、広域化、拡散化の傾向がみられます。例えば農村においては、理念的概念としてコミュニティが残存していますが、大都市においては、それは稀薄化し消滅の傾向を示しています。具体的にいえば、都市化につれて居住場所としてのコミュニティにおける地域性と共同性の地理的範囲は縮小してきており、反対に、社会関係としてのコミュニティにおける地域性と共同性の地理的範囲は拡大してきています。つまり生活行動、人間関係の地元社会依存率は低くなっているのです。特にこの傾向は、男性、夫、父において顕著です。つまり、居住地としてみた社会生活の地理的範囲は、その共同性、地域性の両局面において縮小化の傾向を示しています。現実的にみると、それは女性、妻、母、子供たち中心のコミュニティになっています。その結果、大都市においては日々の居住地生活の範囲は広く見積もっても歩行圏、校区圏に限定されています。反対に農村では、今日でもその範囲は広く、男性、女性、夫、妻、父、母、子どもたちの共同の生活場面です。この居住場所の地理的範囲を居住地区コミュニティと呼びます。
他方、生活行動、人間関係の地元外の社会への依存率は、交通、通信機関の発達によって急速に高くなり、また共同活動、集団的連帯は大衆組織運動へと拡大し、地元社会への帰属意識は薄れてコスモポリタニズムへと変質してゆき、地元外の社会へと拡散化しつつあります。これは、今日、地域社会において発生する社会福祉的、住民自己防衛的問題などのすべての問題がすでに地元地域社会的次元では解決されない性質のものとなり、国家的、大都市圏的、地方自治体的次元の問題へと変質しているためです。こうして社会関係のグルーピングの範囲は、その地域性、共同性の両局面において拡大化の傾向を示し、その結果、その地理的範囲は用途別地域圏、核都市圏、メガロポリス圏、国家圏の範囲にまで拡大しているのが現実です。したがって、現状では、居注地区コミュニティと大都市圏コミュニティとの二重構造として新しいコミュニティ概念を再構成する必要があります。

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