住宅地計画と定着性

住宅地計画は、その基本原理の中に人間、家族の移動性や定着性の問題をどのように組み込むかの態度によって、解答としての姿は様々な意味で変わってくると考えられます。人間をとりまく諸条件が激動している現下の大都市にあっても、人々に土地を与え家を持たせることが住宅地計画の基本原理として何の疑念もなくまかり通っているかに見えます。限りなく拡がる大都市のスプロール現象も。こうした持家主義の基本原理の上に立つ放慢な住宅政策の所産にほかならないとみることもできます。住宅を、所有すべきものとし、恒心のよりどころである恒産と考えることは、少なくともこれだけ激しい人口集中の波に洗われている日本の大都市にあっては、住民全体に幸福をもたらす住宅政策の基本原理たりうるかどうか、かなり疑問だといわねばなりません。それは、人々が家を求めれば求めるほど地価の果てしない高騰を通じて人々に住宅取得の道を遠ざける結果をもたらすという悪循環を生むだけのことに終わるようにも思われます。様々な意味でモビリティの高い都市の生活にあっては、住宅はもっと手軽なものとされ、家族の成長に応じまたは職業上の事由によって次々に居を変え得る可能性の強い形態こそが計画の基本的な原理に握えられるべきではないでしょうか。

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私達はそのような基本原理を組み立てるに先立って、人々が移り住み居をかまえていく過程や動機を客観的な立場からとらえ、分析してみる必要があるように思われます。そして、その分析の中から、居住という行為についてパターンをひき出し、それぞれの型に適合した住宅の供給原理を新たにつくり出していくというプロセスを考えてみる必要があります。
定着性の問題を論じるについては、まず住民の定着の構造ともいうべき問題、つまり人は何によっていつどこに居を定めたのか、住まいを変えたり定めたりする要因は何なのかという問題を掘り下げて考えてみることが必要です。
高売をするのに良い場所だから。来住したものおよび、近くに良い学校があり子供の教育によいから。周囲の環境がよいから。自分と似かよった人々が周囲に住んでいるから。来住したものには定着性が強くみられますが、抽選に当たったからという消極的な理由とか、職場が近くて通うのに便利だからという実利的理由で来住したものには定着性が少なく出ていいます。人々が居を変えたり居を定めて住みつく状況を類型的にとらえてみると、次のようなことになるのではないでしょうか。単身者の場合は、職場との関係が決定的な要因となります。雇主に住居を与えられた場合も、自分で選ぶ場合も、職場に近いことを重要に考えてきめます。そして、結婚、転職などで居を変え、実際的にも精神的にも定着性はありません。世帯持ちでも、若い問は職場の近さなど機能的な面を重視し、家を持つ余裕もないので公団、公営を含む借家に入りますが、精神的にも定着性を持ちません。しかし、中年になり子供の教育を考える頃から、中級から高級ホワイトカラー層の場合はなによりも良い環境を求めて居を探し、経済力の上昇とともに持家を得てそこに定着します。また、中小企業主になって店を持つものは、環境よりも商売上の立地を最重要に考えて居を求め定着します。しかし、中級から下級のホワイトカラー層、ブルーカラー層は、そのいずれも思うにまかせず環境なども不満足のまま結果的に定着気味になります。いずれの場合も住宅は広い方へと指向し、経済力の上昇に応じてさらに広い住宅を求めて移り住み定着しようとします。
以上はいささか乱暴なとらえ方かもしれないが、住宅供給の姿を考えていく場合、その基礎となる住要求を人間のライフサイクルや社会を構成する各種階層との関連の下に総合的に把握してみることは、混乱に陥っている都市の住宅問題の解決を見いだしていくうえで、遠回りのようにみえても実は一番近道としての方策につながるものと思われます。このへんをはっきりさせることができれば、徒らに定着性のない若い世代のために郊外に田園的ニュータウン開発をしている結果になっている現在の愚も反省されるように思われます。郊外の土地つきの戸建住宅、都心の再開発による機能的な高層住宅などの役割も、そのへんの事情を十分に知ることによっておのずから明らかになってくるようにも思われるのです。

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