公害

都市化は産業化であるといわれるとおり、都市にはある程度の公害は不可避であるということもできます。しかしながら、それが、市民の健康や生命まで蝕むということになれば、受忍にも限度があります。市民の集団生活と公害とをどのような形で解決するかは、現代都市の当面する深刻な悩みです。公害とは、原因が何であれ、広く公衆に精神的、物質的損害を及ぽすものを意味するのですが、公害の範囲は文明の高度化に伴って拡大され複雑化されるにいたっています。広義には水飢饉、交通戦争、黄金禍といったものまでふくめることができるのですが、狭義には産業公害、都市公害、基地公害などがその主要なものとして取り上げられます。外国語のニューサンスはもっと広い概念であると思われますが、日本で公害という場合はおおむね以上の三つです。産業公害は産業活動に伴う公害であるため、工場から排出される煤煙、粉塵、亜硫酸ガスによる大気汚染、建築現場の矢板打ちの騒音、工場廃液による水質汚濁、化学工場の悪臭など多様です。都市公害とよばれるものも、近年は増大する自動車の排気ガス、冷暖房用地下水汲上げによる地盤沈下、交通騒音など複雑です。国際空港などの騒音も都市周辺のものは都市公害といえます。基地公害も、放射能汚染、航空機騒音、伝染病菌汚染など、これまた多様です。しかし、公害の中心はなんといっても産業公害です。

スポンサード リンク
間取り

公害と称されるものが現実にどれだけの被害を市民生活に与えているかは、因果関係が必ずしも明確でないのと、損失計算の基礎が同様に明確でないことも関係して、まだその実態についての科学的と称 するに足るデータは集められていません。僅かに植物の成長に対する影響調査、金属腐蝕度を指標とする調査、家庭経済に及ぽす影響調査などが存する程度であり、人体に対する影響についてもまだ十分の資料解折はなされていません。
従来、公害対策が前進しなかった理由には様々のものがありますが、企業がマイナス投資をできるだけ社会に転換しようとしていたこと、世論もまた高度成長に目を奪われあえて責任を追及する態度をとらなかったことに、根本の原因があります。被害は局地的に取り扱われ、社会の問題として解決しようとする態度に欠けるものがありました。したがって、規制の責任ある行政体の側でも、行政の裏づけとなるべき科学的調査もせず、しかも官庁権限は多岐に分散し、水質保全は経企庁、工場排水は通産省、下永は建設省・厚生省といった縦割行政だけで、横の連絡は全く存しないという有様でした。この問隙に乗じて、公害はますますのさばってきたのです。
各省権限が細分されているために、公害法制も各省の系列にしたがって細分され、その結果、行政責任が分散していることから、何人も公害に対して責任を負わない無責任体制が生まれてきました。行政体制の無責任化だけでなく、対象たる公害そのものが因果の系列における把握を困難にする不明確なものであり、加えて、零細企業、中小企業が圧倒的多数を占めるという事情もあって、公害規制はますます困難となっています。無計画な都市形成や無理な企業誘致が公害の加重要因となっている点も否定できません。公害問題は地方財方の問題という前に、中央、地方の行政体制の問題であり、さらには市民の自覚、企業の社会的責任の問題です。したがって、公害実態の科学的調査やモニタリングステーションの設置、公害規制体制の整備、公害防止施設への融資など、なするべき事業は多種多様ですが、地方自治体の財政支出にはみるべきものを存しません。公害対策費とよばれるものの実態は、防潮堤の築造や工業用水道事業の経費であり、公害源を直接対象とする経費は微々たるものであって、特定の市を除いては公害対策費という費目の存しないことが地方財政における公害の比重を示すものです。

間取り
住宅地計画と社会的課題/ コミュニティの分離と異質化/ 物理的都市化とコミュニティ/ 住宅地計画と人口構成/ 公共機関による住宅地計画/ 住宅地計画と定着性/ 居住環境/ 上下水道/ 公害/ 住宅地計画と実情/ 住宅地の形態/ 田園都市をめぐる思想/ 近隣住区理論による宅地計画/ 住宅地の空間構成と土地利用/ サーキュレーション/ 住宅の配置計画/ 生活環境施設の配置/ 生活環境施設の住宅他構成手法/ 景観の構成/ プログラムと住宅地経営/ 地域自治会と団地自治会/ 公営住宅自治会の日常活動/ 住宅団地の管理/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサード リンク

プライバシーポリシー