住宅地計画と実情

住民の生活を安定させ定着的に住まわせる根拠地を計画する技術といった意味で住宅地計画を考えてみると、大昔から追求されてきた技術であることがわかります。人類が集落を形成して生活を営むようになって以来、人々は集落を自然の災害から守り外敵を防御して安泰な生産をつづけたいと願ってきました。技術の進歩は、今日に至るまでの長い歴史の中で積み上げられてきました。しかし、未来永劫につづく安住の地というような理想境は、技術の進歩にもかかわらず、むしろ遠ざかっている感さえあります。生産と労働の流動が、安息をうるべき住居を定着し終生の地とすべき所には与えてくれないからです。特に18世紀における産業革命以後、近代的な都市内に形成された住宅地は、都市こそ自らの拠点と考えたブルジョアジーにおいてさえもあえなく投げ出してしまうほどのものとなりました。以来、現代に至るまで住宅地計画の技術は、住民の住環境を形成する空間の具体的構築手法、構成方法、機能表現を目的とする技術として展開されてきました。

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間取り

住宅地計画の対象主体は住民ですが、開発の企画や実施の主体は必ずしも住民自体ではなく、国家的組織体や巨大な産業体です。開発の主体からみれば、計画の対象たる住民の住生活の空間は、直接計画すべき対象として把握されるよりも、都市を中心とした社会や都市自身の計画の中で間接的に把握されるものです。これは、いわゆる都市に対する計画や事業のすすめられ方をみればよくわかります。特に日本においては、都市開発、地域計画の策定から実施までが主として行政権力の中で推進されてきたので、住宅地の計画においても、法定しやすい部分、道路、公園、用途地域地区制といった計画の部分の施行をもって実際的な計画実施とされてきました。都市計画における住宅地計画とは、このような意味で考えられていました。しかし、このような計画が実際に進められた場合でも、住環境のための諸施設や設備が最小限度にせよ考慮されなければ、開発主体の経営は居住者、需要者との関係において維持できなくなってきています。
住宅地の居住者または来住者は個々であり、その要求も多種多様です。一方で住宅地の計画から実施完了までは長い時間が必要です。複雑な利害関係や囚果関係が入り組んでいる中で、計画の主対象である住民の住生活を客観的により正確に把握して開発事業の主体との調整をはかる必要があります。住民の住生活についてみれば、消費のパターン、勤労のパターン、交通のパターンなどが激しく変化しつつあります。生活の仕組みの変化は、住生活とくに住居をとりまく住宅地環境へのイメージを変えていきます。個々の住宅に対する要求は住宅をとりまく地域社会への要求と重ね合わせられています。この意味で住宅地の計画は都市計画、地域計画と切り離しては考えられません。しかも、住宅地の計画は個々の住宅の群を問題とするのです。個々の住宅の問題は、当然なことですが、これを抜きにして考えられません。住宅を建てる用地を提供するにとどまって、土地の上の上物は別途に考慮していくといったものではありません。住宅地計画は住宅計画の延長に立って進める必要があります。日本における実際計画には、住宅計画から出発した提案が出されてもよいとさえいえます。住宅地とひとくちにいっても、大都市郊外に新たに開発される巨大なスケールの住宅地もあれば、都市内部の再開発によって計画されるものもあります。農村にモデル的計画を行なう場合は、農民のための住宅地計画があります。難民の収容地のようなものも、特殊な住宅地といえます。アメリカの一部に出現しているトレーラーハウスが集まってできあがる住宅地もあります。この場合などは、債極的に土地に対して定着しない住宅地として、きわめて現代的であるとする意見すらあります。

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