住宅地の形態

ある地域が住宅地となって最終的には住宅が建ちならび住宅街の景観を示すに至るまでには、時間的に相当長い過程を必要とします。建築としての住宅のビルトアップそのものは、コンクリート建ての高層アパートであっても、現在の技術をもってすればたがだか一カ年を要するにすぎませんが、何らかの方法で地域の用途が変えられ、住宅地としての開発に着手されて、ついに一応の景観をなす住宅街に形成されるまでの期間は、10年を単位とした年月がかけられねばなりません。しかし、開発が計画的で強力な資本をもってすすめられた場合は市街化は早く、一応の市街化が済んで以後の進展速度はほとんど止まったかにみえるようになっても、目的を達したと思われた住宅地としての性格はさらに徐々に変化していきます。社会的な変革や自然の災害に遭遇するときは、それが一つの転機となってしまうことも多い。住宅地として開発着手された時期やその立地によって様々な住宅街があり、実際にその例をいくらでも見ることができます。住宅地を計画する場合、最終的な形態といったものは、歴史的には考えられても、静止的に模型として描くことはあまり意味がありません。しかし、計画が着手された時点で可能なかぎりの事態を予測して設計する必要はあります。そこで、現在の多彩な住宅指を住宅地の典型としてみるならば、これからの住宅地計画に対する示唆もまた深いものがあります。実際に様々な景観をなしている日本の住宅地の実態は、その中で営まれており住生活の様々な実態でもあるわけです。

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間取り

下町混合住宅地は住宅地としての開発着手は1世紀以上も前であり、幾多の変化が重ねられて現在では商業、倉庫業、軽工業の用途目的を併用した住宅で占められる混合した性格の住宅地となっています。大部分が2階建で、その2階が住居、空地は、地域全体として少なく、道路、公園、学校以外にほとんどありません。学校と公園の組合せが、オープンなスペースの唯一の中心となっています。そして、このパターンでつながって下町は拡がっています。蜂の巣のようにつながれた1戸建の住宅や長屋建の住宅には、1世帯以上が居住していることも多く、住込みの労働者の寮のように使われているものもあります。日照、日射、通風が悪く、火災などの危険を伴い、自動車の置場もない状況にあっても、集中して居住する必要がここにはあります。
山の手独立住宅地は、明治の後半に近代都市住宅地として開かれたところで、主として大学教授や企業の幹部などの独立住宅が建てられました。下町に対して、いわゆる山の手風の住生活のパターンがここに展開されたのです。お屋敷町としての風格は第2次大戦まで保持され、小説などの背景としてもよく登場しました。一画地は300坪ぐらいです。商店街をなしている部分を除いた専用住宅によって知られるように、現在では一つの囲まれた敷地の中に戦後の住宅が割りこみ、しかも昔の本邸は老朽化の状況を呈しています。住戸の密度も人口の密度も、昔よりははるかに高くなってしまいましたが、不動産としての土地別の用途利用を求めているようにみえます。その結果として、一定の画地を確保することにより住宅地の性格を示していたこの山の手独立住宅地は、一部は寮、下宿、商業、事務所などに転換され、山の手混合住宅地に変わりつつあります。
低密計画住宅地は明治以後の住宅地の開発は私鉄の治線開発によって進められたので、その分譲地計画から特徴をつかむことができます。分譲地は、当時としては地価の安い郊外に造成されました。分譲地の画地が過少すぎて問題となったものもありますが、イギリスにおける田園都市思想をたくみに利用して住宅地のイメージアップをはかり、それをセールスポイントとする開発が行なわれました。すべて独立住宅で、画地は100坪から300坪とされ、全体として低密で静かなマイホームの雰囲気をねらったものです。
高密計画住宅地では戦後の中層耐火造集合住宅地は、計画的に高密化された住宅地であり、1戸当りの用地面積は30坪以下であると考えられます。大多数は公的企業体の賃貸住宅です。住戸密度の比較的低いのが公営住宅で、密度も家賃も高いのが住宅公団の団地です。
再開発計画住宅地は住宅地としての再開発を目的に計画建設された集合住宅の例は、東京においては震災後の同潤会のアパート団地が最も古い例です。近年は新たな住宅地の可能性を都心部に近いところで取得するために、工場跡地などを利用して計画的に高層高密な住宅地の開発が進められています。住戸の型式や住宅地の土地利用などについては郊外団地と同様な考え方で高層高密化され、建設がすすめられました。隣接する周辺の住宅地または混合住宅地によい影響力を与えるように考えられてこそ、はじめて再開発の核としての意味があるのですが、これから追求されねばならない問題を提供したにとどまっています。再開発計画住宅地とは、来住者をふくめた住民にとって何であるのか、住生活の実際からどんな住宅地のイメージアップが加えられたらよいのか、といった問題が提供されていると考えられます。

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