サーキュレーション

住宅地においては、物的施設の合理的な計画設置をはかることによって住民は通切なサービスをうけることができます。サービスの流れを誘導させるように住居と施設を流通させるパターンの各種を総称して、サーキュレーションと呼びます。居住者の立場にたってみれば、例えば近所とのつきあい、サークル活動への参加といった地域社会での交流活動もまた住環境の形成に欠くことのできないものです。これを住生活の空間でみれば、住居と住居の間のサーキュレーションのパターンとしてみることができます。住民間のコミュニケーションのサーキュレーションは、その住宅地形成の社会的構成に深くかかわる問題ですが、フィジカルな形態とも関係があることが知られています。例えばテラスハウスの長い棟や階段室を中心にしたアパートは、1戸建の住宅の場合とは趣を異にします。現在では種々の調査が行なわれたり、あるいは空間のひろがりの認識を広さとしてそれを調査したりする方法によって資料化がすすめられています。いずれにせよ、住宅の型と住宅と住宅をむすぶアクセスの設計の手段により、サーキュレーションのパターンが得られます。

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間取り

住宅と施設のむすびつきは、生活における生理的側面を支える供給処理の設備に関するものと、生活における社会的活動を支える施設利用に関するものとがあります。供給処理に関するサービスは、各住戸に直接パイプの敷設をもって行なわれます。これらは、供給源施設からまず各サービスエリアに送られ、さらにそれらのエリア内における各戸に分配されます。また、その逆のルートをとって処理施設に返されてきます。このサーキュレーションのパターンは、社会的なサーキュレーションのパターンとは無関係なものとみられます。特殊な熱源、給湯、冷却水などの設備については、明らかに居住者の経済的な階層と関係し、場合によっては住宅地の経営上の理由で上水、下水、ガスなどの設備さえ与えられないことがあるため、広域な計画についてみれば、これらのサーキュレーションもまた社会的な側面にかかわり合ってくるといえます。
これらの配管は、おおむね道路に埋設されるので、道路のパターンを規制する一つの要因としてあげておくことができます。
住宅と施設間のサーキュレーションは主として徒歩によって行なわれるものですが、道路自体は通勤や通学あるいは商品の搬出入という輸送のサーキュレーションの一部をなしています。したがって、交通手段ごとに、通交目的ごとに、それぞれのルートを形成します。例えば人間のルートと車のルート、買物のルートと通学のルート、大人のルートと子供のルートといったように、多種なルートからなるサーキュレーションが形成されます。
サーキュレーションをこれらのルートに分解し住宅地の機能の認識の表現として直接設計する試みは、比較的古くから行なわれてきました。1929年、アメリカのニュージャージーにあるラドバーンという住宅地において計画された道路のパターンは、ラドバーンシステムとしてよく知られています。C・スタインとH・ライトによって設計されたこのパターンは、住宅のクラスターの裏側に露地をつらねて循環できるルートを設定したものでした。コミュニティ形成をねらう住区をまとめた多核的な構成において、そのコミュニティの単位内におけるサーキュレーションを形成する手法といえます。また、人と車のルートを分離して車を住宅地内に入れないように努力した計画案に、イギリスのフックのニュータウン計画があげられます。さらに、人のルートを建物と建物を結ぶデッキとして構築するペデストリアンデッキの建設が考えられました。しかし、住宅地計画の実際にあたっては、これらのルートのパターンとそのパターンのデザインを総括したサーキュレーションの模式を設定することからはじめねばなりません。
これまでに考えられているサーキュレーションのパターンは、次のようになります。
閉じたサーキュレーション、住宅地にコミュニティ近隣住区の存在を強調または回復せしめるために、コミュニティ単位内でのサーキュレーションを強調し、ついでコミュニティ間もしくは中心地区とのサーキュレーションを考える手法で、もちろん、住環境施設としての小学校や日常店舖等はコミュニティ単位内に充足します。
開放したサーキュレーション、例えば単核的な住宅地構成でみられるように、住宅をその中心へいかにしてスムーズにむすびつけうるかを考える手法です。あたかも供給処理の設備配管図のごとく、流速の損失なく中心部と末端の住居とがジョイントされていきます。中心は幹であり、末端は枝あるいは梢です。幹と技、枝と梢は、接点をもっていても、コミュニティ単位といった閉じたサーキュレーションはありません。
均一なサーキュレーション、住宅地全体に均一なサーキュレーションを形式的に設定することにより画一的な宅地を形成せしめて、その一部を中心とみなすような手法。通常、格子状のルートのパターンとなります。従来の住宅地計画、特に日本のそれにおいては、サーキュレーションの形成意図が稀薄で、単に道路計画としてしか受けとめられず、その道路計画も画地割りのために便宜的に設計されるものが多かったため、道路の無計画なスプロールが宅地の無計画なスプロールを助長せしめていたといえます。

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