住宅の配置計画

住宅地に建つ住宅の形式、形態は住宅地計面の当初から策定されなければなりません。住宅地の開発着手から住宅のビルトアップにいたる長い期間中に事業主体の開発経営の条件が変化した場合、まず変更を余儀なくされるのが、量的にも多い住宅建設に関する計画です。住宅計画は、一貫した開発を進める場合でも、組織上分けられていることが多く、個人が与えられた宅地に自己資金で建築する場合には、その住宅地独自の計画というものを建て主に強制することができないため、結局は個人の宅地における住宅の配置計画は精密なものとして描くことはできません。このような事情から、住宅計画そのものをも含めて、その住宅計画にしたがった建物配置計画もまた等閑に付されやすいのです。ところが、ヨーロッパにおける住宅地計画では、むしろ事情は逆であって、ほとんどが集合住宅として計画されることもあり、かなり厳密に建物の配置の計画をたてています。建物の配置計画予定から住宅地構成手法がまとめられているとさえいえます。それぞれの住区における土地利用の効率、形態、用途は、そこに建てられる住宅計画とそれら住宅の配置計画とによって具体的に示されるからです。特に配置計画は、個々の住戸と住区環境形成の仲だちの役目をもつものと考えて進めていく必要があります。住区としての計自案件にのみとらわれたときは,個々の住戸のおかれた環境が望ましいものとならない場合も考えられます。

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そこで、住宅の配置計画は、住区における住宅の外部空間としてのオープンスペースの計画として考えられるものだということが知られます。オープンスペースは、住区全体として共有するオープンスペースと、もっと住戸に近いいわゆる庭といった性格のものとが考えられます。住宅などの建物によって区切られる庭は、公園として設置されるようなスペースとは異なっています。住宅の建物すなわち住棟で囲まれる庭は、その囲み方によって性格的にも形態的にも様々なものがあります。このような空間を積極的につくり出すために、住宅の配置計画が考えられるのです。平面的にみて並行型をなした住棟配置は、並行型の庭を形成します。庭を囲むように建物が配置された場合でも、方形に囲む方法もあればまるく囲む方法もあります。建物の形式も、箱型のものと板状のものとの巧みな組合せによってほとんど囲んだ感じを出さないようにするといった手法もあります。また、立体的に低層な住宅によって狭く囲む方法もあり高層な住宅によって広く囲む方法もあります。このような様々に囲まれた空間は、様々な住宅の形態を特徴的に利用して配置することによってつくられます。このような空間をつくり出す努力は住区構成と住宅地景観の創造のためですが、その空間はまたきわめて住居的な意味のあるものでもあります。
日本における住宅の配置計画は、各住戸の内部環境のためにのみ考えられてきた場合が多く、その内部環境も居住者の生理的条件としての日照や日射の確保を目的としていました。例えば並行する建物が南面してならぶ場合、2棟間の距離は1階における冬至日照時間4時間とか2時間とかを規準にします。東京などで土地が平坦ならば、その寸法は4時間日照でおよそ建物の高さの1.5倍です。しかし、この決め方は、最小限度の尺度でしかありません。集合住宅が計画的に建設される場合には、住生活は集合化した生活集団として生かされるべき利点をもっています。住棟によって囲まれた空間は、実際に子供たちや主婦にとっては生活空間としての意味を持ちます。この点に着目すれば、住宅地の配置計画には、その中心に子供たちや主婦を据えていくことが大切となります。その広さやその庭を利用するに適した住戸数を求めて、住宅の配置についてのあるまとまりの単位を考えることができます。このようなまとまりをグルーピングとよんでいます。グルーピングに住宅地施設の社会化、共同化の糸口を求めてゆけば、これを子供、主婦、近隣関係の問題としてとらえることができるはずです。グルーピングの手法も理論的に考えられ、住棟の配列に子供の遊び場を中心とした生活空間を意味づけ、それをとりまく道路や通路の計画が行なわれるようになってきています。千里ニュータウンの住宅配置計画には、日本における大胆な囲み型配置が提案されました。囲み型の住宅配置は、各住戸における他住戸からの見通しが心配されるために、いわゆるプライバシー確保の努カが必要とされます。一般に同質な住戸の型で住棟が計画されている日本の集合住宅では、そのプランの変更と相まって考えれば、解決が困難なものではありません。むしろ、住宅の建設とこのような住宅の外部生活空間の建設とが別々に考えられ進められている点に問題があるといえます。
住宅の配置計画は、住戸建築用の土地以外の残余の空間をいかにして生活にくみ入れるべきかという問題に出発点をおくべきものなのです。それらの空間は、個人の1戸建住宅の場合のように分割された庭として、そのような住宅地のイメージとしてではなく、住宅地が住宅の集合の計画として意識され計画された場合にこそその意味がみとめられてくるものと考えられます。この場合、囲まれた庭をもつということは、グルーピングの集団が共同的な生活空間をもつはじまりともいえます。集合化され共同化された空間に果敢な計画を盛りこむことは、他の具体的な施設の共同利用の計画への第一歩にもなるはずです。

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