景観の構成

住宅地の計画にあたっては、その機能的側面の充足と同様た比重で、空間そのものの価値を追求することが大切です。特に現代の計画の理論と技術の急速な発展の中では、とかく機能的な側面が重視される側向がありますが、実際に存在する住宅地のすばらしさは、むしろその空間の視覚的構成に負うところが大きいのです。このことはまた、機能的に考えつくされて建設される新しい計画住宅が、ともすると単調で退屈で非人間的であるとされていることからもうかがい知ることができます。住宅地がそこに住む人やそこを訪れる人々から優れたものであると認められ愛着が感じられるようにするためには、その地域ならではの個性および他の地域と明瞭に識別される特色をもつことがきわめて大切です。この個性を育てるのに、景観の計画は非常に大きな役割を果たすことができます。その地域が自然的環境の中に計画されているのか人工的空間を主体としているのか、大きな空間で楕成されているのか個々の小さなスペースに意義を見いたそうとしているのか、自動車族を歓迎しているのか排除したがっているのか、静かな周囲か賑やかな界隈か、といったことは、いずれも景観の大きな側面です。まず最初にこれが確認されて、計画の隅々まで理論の通ったデザインポリシーがたてられることになります。

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間取り

既成市街地の中であれ無人の郊外新開発住宅地の場合であれ、一つのまとまった地域を計画する際には、遠方からのその地域の存在の確認なり推定なりのための景観を用意することが有効です。それは、木立の深い緑の森であったり、高層建築の林立する眺望であったり、丘陵にそびえ立つモニュメンタルな建築であったり、斜面をうめる段々畑のような住宅であったり、峠を越して突如視界にとびこむコミュニティであったりします。
景観をつくり出すのに、敷地の地形の特色を生かし土地造成をその目的にそわせて行なうことは、最も一般的な方法です。高い場所に高い建物を、急斜面は土地の現状をそのままに、小川や池沼のまわりに公園や緑地をという内容です。しかし、きわめて低密度な住宅地の場合を除いて、通常は土地の利用効率を高めるために土木的造成工事を行なうことが多く、その場合、景観構成の方針にそった造成計画をたてることが必要です。
道路からの景観は、視点の移動に伴う景観の変化、展開にその特色があります。同時に、治道の景観や遠望される対象によって移動の速度は明瞭な影響を受けます。道路沿いの幅広いオープンスペースや樹林帯、ある程度セットバックされた建物群の統一された配置、走行方向に遠望される自然や建築物、道路そのものの美しいカーブや適当な勾配の度化といったことが重要です。
多くの場合、植物は景観形成の主役であり、建築物のどちらかというと堅いテクスチャーに対して、柔く深みのある景観要素です。空間に方向を与え、空間を限定し、空間の明暗を左石するために、建築物と組み合わせて、既存の樹林帯を利用したり必要な植栽を行なうのですが、小庭園の場合と異なり、住宅地の計画にとっては、多様な樹体の混合やこまごまとしたその配置構成よりも、その土地に適合した樹種による横成が効果的です。
建築による空間形成については、生活の拡がりやその住宅地の性格と対応して様々なシステムが考えられ使われていますが、これはまた居住者にとって最も身近な視覚空間でもあります。そして、建築物は他の景観要素に比べて最も選択の幅の広いものであるため、住宅地や住宅都市の空間に秩序を与えその構成を明瞭に描き出すために配慮されるべきです。町のどの方向にセンターがあるのか、学校はどこか、公園やスポーツ施設は、駅やバスの乗場は、といった方向性と建物配置との間に何の関係もない計画は、魅力のないものです。
景観というと、とかく自然的景観、田園的風景が思い起こされるのですが、住宅地計画、特に最近指摘されるようになった町らしさをもつ住宅地の計画にとっては、人工的景観の計画がきわめて重要です。町らしさとは、人間の集積の魅力、変化や多様さや偶然性や意外性、賑やかさや多少の混雑などであり、それらの中には計画的に意図しても必ずしも得られないものも多いのですが、やはり空間の演じる役割は大です。

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