住宅生産技術の体系

住宅はまずなにより人間の外界、自然に対する避難所であり、生活の容器です。その意味で住宅というものはいずれにしても、なにがしかの外部と隔離された空間をもたなくてはならず、また、その空間はまずなにより人間の生物学的案件にみあう温度湿度その他の条件をそなえる必要があり、さらに加えてその空間は人間を本質的に他の動物と区別する精神的な活動ないしは体息の場でなくてはならず、そして場合によっては労働の場としての条件をも併せもたなくてはならないということです。これを技術的側面からみると、諸々の外力に耐えうる外部と隔離された空間でなくてはならず、したがって、それはなんらかのかたちで内と外を区分する面を安定したかたちで構成し、維持するものでなくてはならず、その内部は人間の動物的な生存条件を満たし、その精神生活上の欲望、必要、場合によっては労働上のそれらをもみたすための物的な設備、手段が講じられているものでなくてはならないということです。つまり、これを手短かにいえば、人間の住居を技術的にみると、それは人間の動物的生活条件と、欲望を含む精神的生活条件をみたす、丈夫に外部から隔離された空間ということになります。

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生産技術的に、またその発生ないしは歴史的にみれば、なにより外部からの隔離をはかる避難所的空間であり、その他のものはその空間の内部になにかを付加し、あるいはその隔離の直の性能、機能を向上することによりその空間そのものの質を必要な水準にもってゆく努力がたえず続けられて今日に至り、それは今も続いているということになります。このように考えてゆくと、住宅生産技術については次ぎのような四つの側面が存在することになります。
空間をつくりだす技術
居住性をつくりだす技術
設計されたものを実際に建物として実現する技術
その材料、部品をつくりだす技術
これらは必ずしもこのように明確に区分されうるものでもなければ、また各々が完全に独立したものでもなく、例えば空間をつくりだす設計技術にしても当然材料や施工技術を条件とするものであることはいうまでもありません。
人の住む空間をつくりだすには大まかにいって四つの方法があります。その第一は、丸太、角材、鋼管などを主材とし、これを骨組みとしてそれに必要な付加的な性能をも併せもった外界との隔離のための面を背負わせる方式です。この方法は天然に長い棒、つまり真直ぐな木や竹が多く産出する地域で生まれ、日本ではひとつの洗練されたパターンをつくりだしました。木造がそれになります。この構法の特色は、壁に煩わされることなく自由に建物の平面を決定できるとともに、壁に大小自由に開口部をつくりうることにあり、工業生産により殆ど自然条件に関係なく、長い棒、つまり鋼材や鉄筋コンクリートが得られるようになるとともに世界中で広く行なわれるにいたりました。その第二は比較的小さな丈夫な塊を寄せ集め、積み重ね、つなぎ合わせた壁を、また場合によっては床をもつくりだします。現在のレンガブロック造のような方法で、かたち、つくり方の面では組積造とよばれ、歴史的には石造もしくは日乾レンガ造などに源を発しています。この方法では屋根、床をはじめ上部の荷重はすべて壁体でうけるので構造上は壁構造の一種です。また材料が小さな塊状でもあるので、大きな開口、窓、入口などがとりにくくなります。この方法はヨーロッパなどで古くから発達し、開口や平面の問題もアーチ積などの方法によりある程度解決されて、教会建築をはじめ極めて大規模なものもつくられてきましたが、いずれにしても平面形や開口などについてはさきの軸組構造ほどの自由度はありません。
空間を構成する第三の方法は、ボール箱のように板を集めて組み合わせる方法で、できるものは先の組積造とほぽ同様ですが、その本格的な実現は土石系では大きさ、かたちが自由に成型できる構造材料である鉄筋コンクリートと、その板の揚重手段であるクレーンの出現をまたなくてはなりませんでした。現場でコククリートを成型して同様なかたちをつくりだすことは、もちろんもっと以前から行なわれていました。
第四の方法は貝殻や割った竹や卵のからのような一連なりの曲面によって空間をつくりだすもので、これを一枚の曲面板で構成することが理想的であるが生産上の都合でこれを適当に分割してつくり、あとで組み合わせることもできますこれをシェル構造といい、現在はどちらかというと、体育館のドームなどコンクリート造で大型のものに用いられていますが、いずれはプラスチックや金属で小型のものが工場で量産され、住宅に多く用いられることになります。
ここで注目すべきことは、後二者の場合であきらかなように、こうすればしかじかの空間が得られるはずであるということ、設計上の基礎概念や着想は比較的簡単にもつことができたとしても、それが実現するには必要な材料、施工、生産設備、生産から施工技術の実現、達成の裏付けがないとそれは実現できないということです。いずれにしてもこれらはすべて人間生活の容器の外構を構築する技術であり、これら構造物が当然風、地震、雪といった地域的にかなり差のある外力に耐えなくてはならず、そのような意味で、少なくとも今日までは、この技術の発展の過程、様式は先に触れたような材料の問題とともにそれぞれの地域の自然条件と無関係ではありえなかったのです。

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