居住性の技術

空間構成技術が、いわば外界から人間を守る物理的避難所としての、また人間の生活の容器としての住居の骨格を形成するものであるとすれば、それが人間の住居となるためには、さらに、それと同じ重要さをもってそれを人間の生物的、精神的条件や欲望などに合致したものにすることもまた必要です。もちろん、そのなかでもまず第一に、なによりも必要なことは住居本来の使命である雨露をしのぐ、風雨をしのぎ外からの敵を防ぐことであり、第二にはそれに窓、出入口など生活の容器としての機能をあたえることが必要です。第三に必要なことはその空間が住むものに肉体的快適さと精神的な安定、安らぎをあたえることなどであり、第四のそれはその中での生活、労働に利便をあたえることです。しかし、工学的側面から後二者をみたときの特色の一つはそのみたさるべき水準、欲求は他の場合と異なって殆どの場合それは固定したものでなく、常にみたされることにより再び増大するというかたちで増大を続ける点にあります。

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間取り

ここでの技術の第一のものは外部空間との関係にあります。それは居住空間と外界とを物体、光、熱、風などの流通面で遮断し、また場合によっては必要に応じて自由に開くことに関するものであって、そのための遮断面の役割を果たしているのが屋根、壁、床などでありその調整の役割を果たしているのが入口、窓などである。第二はその内部空間の、客観的には物理的、人間の側からすれば生物学的条件、つまり換気や温度、湿度、明るさなどの調整に関するものです。その初歩的段階ではそれは外の自然界と内部との間のそれら空気や諸エネルギーの流出入を調整するかたちで行なわれ、高度の段階ではエネルギーは別な形態でまとめて受け入れられ、必要な内部、外界の状況などに関する情況はまた別な方法で検出され、居住空間内部においた人工の熱源、光源などにより必要な条件をつくりだすこととなります。この段階では外界と居住空間とを避断します。住居の本質的な構成要素である面は絶縁的な性格が極めて強くなり開口は必要悪とさえなり、内部空間と自然界における各種変化、季節などとの関係は殆ど消失するに至ります。ことの当否はともかく、現実にはより快適な空間を得る、より多く欲望を充足させるという技術的努力、進歩は自然のサイクルを無視する方向に弛みなく行なわれているといえます。
第三の技術的側面は、その空間を人間と他の動物とを区別するゆえんであるようなその精神的、心理的な条件に対応させることであって、その一つは本人と住居との関連において存在するもので、内部の装飾やカラーコンデショニングなど視覚に関するものとともに床材のように触感に関するものもあります。またこれについてのもう一つの面は、住居である以上当然にといってよいほどおこりうる問題です。同一住居内での人間対人間の関係に関するものであって、プライバシーの確保についてのものなどもその一つです。
第四の技術的側面はその容器の中で営まれる生活の利便ないしは労働の軽減に関するものであって、たとえば内部における家事労働や生活に必要な品物の収納、それから近年では家事のための機械や、そのためのエネルギーなどの供給に関するものがそれになります。ことにこれらのうちの後者は、物理的条件の調整に関する装置関係の技術とともに建築設備技術といわれて、他のものと区別されるのが通常ですが、その比重は近来ことに増大する傾向にあります。

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