材料生産の技術

住居や居住空間の状況は利用できる材料で大きく変化します。最近まではその材料の大半は木材、石材など天然、自然のものをただ採取したままに近く、いわば加工度の低いものでしたが、近年では社会の発展、工学的技術の発展と、住居に対する要求水準の向上とともに、それらは逐次より高度な工業生産材料に代替されつつあります。また自然採取材料についてもその採取、輸送、選別などの処理、一次的ないしは単純な加工の方法などについては一変したものも少なくうりません。建築生産に最初に大きな変革をもたらした工業生産材料は鉄、コンクリート、ガラスであるとされていますが、日本ではこれまで豊富な木材と安価な労働力に恵まれていたために、少なくとも住宅に関するかぎりガラスが多少用いられてきたのを除いてはさほどの普及をみとめられませんでした。しかし、今日ではその様相は労務の払底、工業化工法の普及とともに一変しつつあります。つまり、技術の名に値する住宅材料の生産技術とは、とりもなおさず工業生産材料の生産技術以後のものであるといえます。そしてそれは大きくは鉄、ガラス、セメント、アルミニウム、プラスチックなどの素材の生産技術と、それらをうまく有効な建築材料に仕立てあげる建材技術と、それからそれを有効な部材のかたちにする部品生産技術に分けられます

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住宅生産に関しその材料についての最近の技術を考えるにあたって、生産のシステムや生産物の構造、形態に一つの区切りをつけるようなという意味で見逃してはならない技術が三つあります。そしてそれらはすべて、建築生産工業化の問題と密接に関連しているのです。その第一はまず板状材料の発展、殊に木質、繊維質系ならびにプラスチック、セメント板系などについてのそれです。これらは木材を薄く切って幾重かに接着剤で張合わせたベニア板や、木材を一旦繊維にほぐして接着剤をまぜて平に固めた繊維板などの木質系や、プラスチック板を中心に、そのほか鉄板のうえにプラスチックのフィルムをはりつけたり、コーティングをほどこしたものも含めたプラスチック系、セメント系板などの板状材料で、それを直接素材として現場に持ち込んで取り付けます。もしくは在来の木材やそれにかわる小断面の鉄やアルミニウムのフレームと組み合わせたパネルとすることによって、従来、事実上左官、現場施工に頓るほかなかった大きな継ぎ目なしの連続面を現場でなくて決める、つくりだすこと、いわばプレハブ化することを可能としました。戦前はこの種の材料としては、トタンを除いてはベニア板が唯一であったかと思われますが、後者は,そのバラエティ、力学的性能、とりわけその耐水性においては今日のものの比ではありません。
もちろんこの工業化された面、板状材料ないしは、その種の部材の大きさには様々な点で限度があるのは当然ですが、この面材料の発展と車の両輪の関係をなしてそれを支えている点を見逃してはならないのが、ここでの第二の技術領域である接合技術です。つまり、さきの面をはじめとして各種の部材、部品を様々な意味で、例えば強度的に、また場合によっては防水的に、またあるときは透間風や埃などが侵入してこないように接合するための材料に関する分野がそれです。各種接着剤は多くの場合、各種の接合機能を兼ね備えているのが通常ですが、ツール材、パッキング材の類は、力学的接合だけは別な方法、例えばボルトなどで行なわれている場合の防水や空気の流通防止など比較的単純な機能を満たす目的に用いられることが多なっています。
現在ではこれら接合材料はその容積当りの価格が比較的高価なものが多くなっていますが、それが多少でも用いやすいのは単位、1枚当りの面積の大きい面材料、つまり板状材料が登場したことによるものであり、こちらの側からみても板状材料と接合材料は車の両輸をなすものということができます。
住宅生産をめぐる第三の技術は板状材料その他を用いて実際に建設現場での労務量を大幅に節減しうるようなかたちの住宅の部品をつくりだす技術です。この技術はさらに、個々単体のパネルや部品などに必要な強度、性能、耐久度などをある許容の範囲内の価格であたえることのほかに、なるべく少ない種類でより多くの組み合わせを得るとか、組み合わせた時の全般的性能をいかに高めるかとかいった、いわば設計面でのシステム的技術、それから、それが常に他のパネル、部品とうまく組み合わせるための品質管理的技術、それから、量産一般に共通の生産管理技術などに分かれます。
なかでも、比較的大型部品同士の問で、しかも木質材料や薄鉄板を加工した程度の材料をまとめて単体の部品をつくり、それを組み立てて一つの家屋とした場合に、音響的に、また透間風や防水などについて十分な接合性能を得ることは接着剤やシール材料の助けをかりるとはいうものの必ずしも易いとはいえません。このあたりの技術は高次元のものとはいえないかもしれませんが、その帰属としては建築固有のものということができます。
これらの諸技術を検討してみると、ことに素材の段階では従来は建築と関係なく開発され何とか建築分野に販路を開拓するといった場合も少なくありませんでしたが、近年はむしろその市場としての将来性やスケールが認識されてきたためか、はじめから建築向けとして開発がすすめられているものも多いようです。また、工業生産材料の増大は必然的に材料の品質や寸法、性能などの安定、標準化を意味し、それが建築生産の工業化に有利に作用していることも見逃してはなりません。

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