住宅生産技術

生産技術とは、簡単にいうと紙の上に設計が形にされたものを実際の物体としての住居に作り上げる技術であって、これまでは施工技術といわれましたが近年のように、現場に自然採取的な材料をあつめて単純な加工を行なって組み立てるだけではすまなくなってくると、むしろ敷地外で、部品、部材をつくることから、敷地内での組み立てまでを通じて生産技術といった方がふさわしくなってきたのです。つまり、その範囲は技術論的には、広義には設計から現場施工までを、狭義には部品生産から現場施工までを、そしてより狭義には現場施工のみを指すとされます。こうした生産自体は社会全般のより高度な工業化ならびに建築生産自体の工業化に伴って逐次現場から工場に移動する傾向にあり、設計も現場での一品生産を対象としたものから工場での大量生産を前提とした密度の高い部品設計と、その個々の建物への適用のための設計に分化します。このことは、昨今は当然のようになっているステンレスの流しにしても、それはかっては現場で木の台にタイルやトタンをはりつけてつくっていたものであることをみても明らかであり、したがって建築生産についての主要な技術も、基礎に関するものは別としても大半は現場を離れる方向にあります。

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建築生産における現場の施工技術は大まかにいって、直接的な施工技術、運搬、管理技術の三つに区分されます。第一の施工技術はこれまでは日本の伝統的な建築様式である木造に対応するものが主流でしたが、そこにある技術は、例えば設計技術寄りの三尺モデュールを中心としたグリッドの設定に対応する各部材寸法の標準化や構造的、意匠的な各種部材の接合法など、その段階としては優れたものもあります。しかし住宅の大半の生産を支えて来た技術はどちらかといえば技能、属人的な熱練などに近く、歴史上住宅そのものならびに材料の発展の停滞とともに停滞していたともいえるもので、これからの出発点、ことに現在の多数の大工に属人的に残されている既成事実という意味では軽視できないとしても、今後の住宅生産の大半を支えるという面ではさほどの今日的意義はないかと思われます。今後、労働力の不足とともに一戸建の注文生産住宅は急速に衰退し、工場生産住宅にとって替わられることは明らかですが、その一戸建の注文生産住宅の生産技術も労働力不足、新材料の流入により大きく変わろうとしています。極論するならば在来的な技術、技能をより要しなくなりつつあることも否定できません。
例えば木造の基本的技術である木工技術にしても、かってのそれは技術的には釘その他の金物、補助材料をなるべく使わないで丈夫な建物をつくることが中心であったかと思われますが、工業の発展とともに釘、金物は安く手に入るようになり、さらに近年は新材料、主として仕上用の板状材料や接着材料も豊富に登場したのに加えて労務不足、耐震設計思想の音及、できた建物についての評価の規準の変化などもあって、工業化とは若干別な角度から変革されつつあります。
また、木工、構造技術とならんで重要な地位を占める左官にしてもそれは最終的には仕切りとしての、また生活空間を構成する要素としての面を形成する技術の一つといってよいかと思われますが、その材料は単に水を加えて練って面を成形したのちに水分の蒸発による固結を待つにすぎない土から、自身が水と化学反応を起こして硬化するセメントやプラスタがより多く用いられるに至り、近年は合成樹脂もその材料の仲間に加わっており、さらにその面を決める仕事自体が板状材料の取付中心へと変化しつつあるのが現状です。左官の労働には材料の運搬をはじめとして肉体労働的側面が多いうえに汚れやすい、技術の修得に長年月を要するなどの理由でもそれは行き詰まりつつあります。
その他、屋根における瓦から金属板への転換、建具におけるアルミニウムサッシの登場など、住宅の施工技術にもかなりの変化が生じつつあります。運搬では建築の場合のように比較的加工度の低い、自然採取に近い材料をつかう場合、その中に占める輸送の比重は決して小さくはありませんが、そのことは現場内でも同様です。しかし、住宅の場合は後出の工業化工法の場合をのぞいては技術的にはみるべきものは少ない。
これまでのべた種々の技術、したがって関連する諸工事はいってみればどんな小さな住宅についても小さいなりに少量ずつながら一通りいるといった性格をもっています。そして、それらの問の順序もまたかなり決まっているのです。つまり、そうした面で有効なコントロールが行なわれないと、その住宅は大変高いものについたりします。この種の管理に関する技術は大工事ほど高度なものが必要ではありますが、住宅の場合でも無視することはできません。以前はこの管理の機能、技術は大工の棟梁のものでしたが、住宅生産における材料、技術その他の面に生じつつある諸変化がそれにどのような変化をあたえるかは興味深い問題というべきです。部品化の進行はそうしたこまごまとした工程のいくつかを工場段階で各々ひとつの部品の中に凝集させ部品数を滅らすことにより、管埋を単純化し、管理上の不手際からくるロスをも防ぐ意味を持っています。

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