建築技術一般での住宅生産技術

在来的な住宅生産技術を考えるとすれば、若干極論するならば建築生産の先端技術と住宅生産技術とは全く異質なものででした。それはこれら両者が異質の生産対象と生産構造をもち末端の労務に至るまで共通ではない以上当然といえますが、一方住宅生産が金額にして国民総生産の1割近く、建築工事量の約半分を占めるにもかかわらず、また産業技術、量産技術一般の目覚ましい発展にもかかわらず、地域性はあるとしても、類似のものが多いのに極めて個別的に行なわれ技術らしい技術をもちえていないという事実にこそ注目する必要があります。一般に住宅だけではなく、設計、施工とも大工に頼っているような大半は木造の小建築と大きな請負業者が施工に携わっているようなコンクリートや鉄骨を使った大建築とでは技術体系が連続しておらず、どこに境界を求めるかその指標に問題はあるとしても、一種の技術の二重構造が存在すると考えるのが妥当のようです。

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まず第1には後者では地震力をはじめ風力、積雪などについて構造計算が行なわれるのに対し、前者では経験、慣習、感に頼るだけです。まして他の分野について計算が行なわれることは普通の住宅の場合ではまずないといえます。第2に後者に関与する技術者については、大学、高校をはじめとする近代化された専門教育機関や研究機関があって、まがりなりにも技術の進歩に密着した教育も行なわれていますが、後者を支える職人については組織だった教育は殆ど行なわれておらず、むしろ技術の進歩から取り残される傾向にすらあります。
第3に、一般に建築材料、関連機器には必ずしも建築生産を一義的な目的として開発されるのではなく、かなり応用的付随的に開発される場合も多いのですが、それでも後者については現場施工をはじめ材料や機器などかなり建築技術の分野が成立していて、専門家もおり、それなりの技術開発も行なわれています。しかし前者にあっては技術の開発らしいことは殆ど行なわれてこず、それは最近工業化の進行とともに盛んになりはしてきたものの、それはこれまでの住宅生産技術の担い手である職人とは無縁のうちにすすめられています。
第4には後者では、技術的にみた製品、建物の性能には広い幅があり価格は性能とかなりの相関関係にあるのに対し、前者ではその幅はかなりせまく、それを出ることは理屈のうえでは何でもないのに、実現するとなると実際問題としては殆ど不可能であるといった一種の硬直性がみられます。
第5には、さきにも触れたように、住居には費用の基準が在存しないので、そのための費用はある意味では常に最小限度に抑えられる傾向にあり、その限度は収入水準なり生活水準なりが全般的に上昇しないと上昇しない傾向をもっています。その点、費用はいくらでも水準をあげられるというより、水準をあげることが条件のこともあるという商業建築、例えば商店やレストランなどの場合と基本的に異なるところでした。また、その限度が余りにも低いところにあるので、技術的な選択の幅が殆どなかったという面も見逃してはなりません。つまり、ここでは技術は徐々に変ってゆく生活水準、生活様式したがってその容器としての住様式の変化に対応してゆくほかはなかったのです。
生産対象そのものに対する要求が停滞的であったため技術が停滞したのか、技術が停滞的であったため住様式も停滞したのか、それは多少の差はあってもおそらくは相互的であり、それは、戦前の現在に比べればはるかに停滞的な社会、経済の発展にその基礎をおくとみるべきものです。こうした諸点は、これまでの住宅の大多数についての生産技術についてかなり一般的にいえたことですが、いまやそれは社会全般の生産力の向上、生活水準の上昇、そしてなにより住宅生産工業化の進行とともに徐々に解消し、住宅生産技術はまもなく建築生産のトップ技術の座を一部ながら在来工法か奪おうとさえもしているのが現段階であるということがいえます。

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