住宅のプレハブ化と工業化

社会一般としてはプレハブ化と建築生産工業化はほぼ同義と受け取られている場合が多いようですが、実はこれら二者は、現象的には共通な面を多分にもっているにもかかわらず、本質的には殆ど無関係とさえ云えるものであることは意外に知られていないようです。プレハブの方は、あらかじめつくられたものを現場に持ちこんで組み立てて家をつくる工法であって、日本語のプレハブは英語でそれを、あらかじめ作るということからきています。一方の工業化の方はというと、一言でいうと各種の工業的な生産の方法、手法を建築物をつくることに導入するということで、その本質は同一生産の反覆、継続にあり、その詳細な定義としては1959年国連ヨーロッパ経済委員会によるものが代表的です。

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つまり、プレハブは建築生産工業化に用いられる多くの手法の一つではありえますが、逆にプレハブ化イコールは必ずしも工業化ということではなく、つまりは工業化の範囲に属さないプレハブ工法もありえるし、また事実多数存在しているのです。少なくともいくらあらかじめ工場で作ろうと、つまりプレハブであろうと同一生産の反覆と継続を伴わないものは工業化工法とはいえないのです。
したがって、例えば昨今のようにますます増大してゆく建築需要に対する供給能力の問題を考えるといった場合には、プレハブであるかどうかはどちらかといえば現象的などうでもよい問題で、一方工業化に値するかどうかこそは本質的で基本的に重要な問題なのです。
一般的にいって、社会全般の工業化が進むと、かっての物ことに工業生産物は高く貴重、人は安くいくらでもいるという物と人との関係が急速に逆転してきますが、建築もまたこの波を免れることはできません。つまり工業化は材料にせよ、生産設備にせよ、いずれにしてもその物を多く使ってもいいから人を滅らすようにして建物をつくるために、建築生産が必然的に移行しなくてはならない過程の一つなのであって、工場で作ること自体はその結果にすぎません。
その意味では、プレハブだから安いとかプレハブなのに高いといった議論も全く意味がありません。マクロにみると建築、ことに住宅は数に多少の増減はあっても万難を排して実現される傾向にありますが、そのかぎりでは限られた労務量で需要を充足できることが第一で、もし工業化二法が安くつくとしても、それは結果にすぎないのです。その点プレハブの方は単発プロジェクトベースで設計とにらみあわせて、なるべく安い工法を捜し、たまたま選ばれた工法というだけのことにすぎません。ただし、どちらかといえば、省力化を主眼にはじまった工業化にも、産業一般では規模の拡大が価格の低下につながっているのに、これまでの建築ではむしろ逆であるという事態をなんとか産業一般のベースにのるようにもってゆきたいとする意図ももちろん含まれてはいます。
両者を若干分析的にみてゆくと工業化ではまずなにより、生産が連続的であるのに加えて、在来工法に比して桁ちがいの設備投資を行ない、逆に労務量は大幅に滅少し、経要営、生産管理面では標準化も含め多分にシステム的である反面、設計面での自由度はある程度の制約をうけ、価格面では絶対値としても安く、また量的拡大は価格低下につながり、加えて、品質的には在来工法によるよりもはるかに均一ですぐれているのに対し、プレハブの方は生産の場所が現場外になるほかは在来工法となんら異なるところのないものまでもが含まれうるのです。

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