住宅生産工業化

建築生産工業化は、一般的な動向ですが、そのなかでも住宅においてはその技術革新はすべて工業化に結びついているといっても過言ではありませんが、それは何故なのでしょうか。一般に建築における技術の進歩が、いわゆる省力化に向っていることは確かですが、それは建築需要の伸びが、名目で15%から20%であるのに対して労務供給の方のそれは55%程度でしかないことから来るものとみられます。一方で住宅は建築全般としては小規模工事に属しますがその内容は複雑で、現場においては機械化その他様々な面で制約が多く、個別現場のレベルでは合理化の効果があげにくく、これを解決するためにはどうしても現場以前の段階で手を打つほかなく、ここに工業化の一つの動機があります。

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また、住宅には個人の好みに支配されやすく工業化しにくくはありますが、一方共通する部分、共通化できる部分も多く、他の建築物に比べると量産のシステムにのせやすい面もあります。つまり工業化しやすい側面をもっているのです。その意味では、住宅は建築全体として要請される生産性向上の平均以上を受け持たなくてはなりません。また、この問題を建築の部品生産の面からみると、住宅部品は需要が安定的で効率がよく、また少品種多量生産的でもあり、需要の高級化とともに各方面のメーカーが競ってこの分野に進出を試み、ために外から工業化が促進されている面も強くなっています。
さらに、これは主としてコンクリート系のアパートについてですが、政府の住宅政策、ことに施策住宅に関する工業化推進の努力にも注目すべきです。このほか、在来工法による一戸建より鉄筋コンクリートのアパートの方が、そしてそれよりも工場生産住宅の方が採算経営規模、投資規模ともに大きく、これがより大きな企業の扱うところとなり、一段と合理化が進んだ面もあることも見逃せません。
このほかにも様々な要因、動機がからみあって、住宅生産工業化はいまや開花期を迎えようとしているわけですが、その動機、背景は今後の住宅生産の条件でもあります。
住宅生産の工業化には大きくいって二つのパターンを考えることができます。その一つは、在来工法の中に工業的に生産された部品や材料が流れ込んでゆくパターンで、ステンレスの流しやアルミサッシの進出はその典型的な例になります。この流れは、一般に在来工法の複雑で手の込んだある部分を狙って、そっくり工場でつくって現場に運び込み設置するだけ、というかたちをとります。もちろんうまくはまる場合も、はまらない場合もあり、またこの種の市販部品を各種寄せ集めて一軒の家をつくる。ということもおこりえなくはないわけですが、原則的にはこうした部品は不特定の設計の住宅に対し組み込まれうるようにつくられます。このようなかたちの工業化、部品化はオープンシステムと呼ばれていますが、それは、在来工法を変革することにより、産業的にも徐々にその地図を塗りかえる役割を果たしています。
それに対して、住宅生産工業化のもう一つのパターンは、ある設計の一戸の住宅、一棟のアパートを完全に部品化しようとするもので、もちろんその部品は他の設計の住宅には用いることはできません。このような方式をクローズドシステムといい、現在の日本のプレハブ住宅は殆どこの方式によっています。
これらの二つの方式には、それぞれ一長一短があり、大まかには、前者では在来工法もその対象に含めうるので、浴室や流しとか特定部位に限られるにしろ非常に広汎な影響力をもつことができますが、その一方その汎用的な性格がその合理化を妨げる面もあり、後者はおよそその逆であると考えられます。これを建設企業の立場からみると、前者は他業種による工業生産部品の流入であり、後者は自己の経営分野の全面的な変革を意味し、いずれにしてもそれまでの技術パターンに相応の変化をもたらすものです。

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