工業化工法の発展

工業生産による材料、部品の流入はその性格上、現場ではその機械化、合理化のできにくい建築生産における技術革新の一方の基幹をなすものといえます。次ぎに現に住宅生産の分野に流入している主要な工業生産材料、部品の第一はこの方面で最も大きな影響力をもっているとしてよい板状材料であって、木材を一旦ほぐして合成樹脂を混ぜて固めた繊維板、合板、プラスチック板、表面加工を施した金属板、これらの重ね合わせた複合板などと多彩をきわめており、面や仕切りを人手をかけないでつくるという点では大きな力をもっています。また、これは建築をユニット化する場合のパネルの材料としても決定的な意味をもっているものといえます。

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その第二は鉄骨であって、それは高層住宅の柱、梁をつくる大断面のH型鋼と主として1.6mm〜4.5mm程度の鋼板を冷間で曲加工してつくるライトゲージスチールの登場で、後者では住宅に使えるような効率的な小断面の鋼材の生産が可能になると同時に実質上のコスト低下をみて、木材の入手難と相挨ってかなり伸びをみせていたものです。
その第三はプラスチック材料で、それらにはテーブルトップに用いる化粧版などの板、表面化粧材、雨どいに代表されるようなその特性を生かした成形品、暖冷房の普及に伴って重要になってきた断熱のための発泡材、かっては高価でこわれやすかったガラスに代りランプシェードなどをつくる透光材などがあります。
第四の部品というのはこれまで現場に各種の材料を持ち込んでそこでつくり、組み立てていたものを出来合いで、持ち込むもので、かっては木で台をつくり、モルタルを練りタイルを貼って作っていた台所流しや作りつけ浴槽がステンレスやプラスチックスの既製品になったのがその代表例です。またアルミサッシなども同様であり、かっては冷凍機やボイラーを据えて配管を行なっていた冷暖房設備が、パッケージのクーラーやボイラーを据えるだけですむというのもその例です。また木造アパートにおける窓てすりや住宅の門扉など、さほど華々しくない局面での出来合い品の普及も見逃してはなりません。
こうした工業生産材料、部品が、住宅、建築生産の合理化、生産性向上に大きな役割を果たしていることは明白な事実で高く評価されるべきではありますが、一方でこれらの大半はむしろ建築生産の側の意思、要求とはかかわりなく、いわば独自に、他産業で開発され、企業化されて、現場に流入しつつあるという点にも注目しなくてはなりません。
工業生産部品、材料の現場への流人は住宅生産の合理化にかなりの役割を果たすのですが、こうした方法に限界のあることもまた明白です。そこで、次ぎには住宅生産をなるべく最大限に、できればそのおかれる場所との結合以外は工場に入れる、ないしは工業的な方法でつくろうとする考え方が登場します。しかし、技術的には、また企業的にみても先の工業生産材料部品の発展、在来工法における機械化の進行など合理化の進行はそれに極めて有利な素地の一つを準備することになるのであり、むしろ、これらがなければ工業化は考えられないといっても過言ではありません。
次ぎに住宅全体の工場生産化を可能にする基本的技術をまとめてみると次ぎのようになります。
板状材料、部品の開発と企業化
工場生産軸組材料、軽量型鋼、H型型鋼の開発と企業化
部材接合的な構造の設計技術の確立
部材の接合部に用いる接着剤、シール材の開発と企業化
揚重、運搬機器の開発、企業化、普及による揚重、運搬コストの低下
生産管理技術の発展
これらは、外界と居住空間を仕切る物的存在としての住宅を、運搬可能な大きさで、なるべく現場作業を軽減できるかたちに適当に分割、工場生産し、それを現場に運搬、現場で組み立てるというプロセスに固有、不可欠なものです。
これを簡単に具体的に説明すれば、次ぎのようになります。私達の住居は面ないしは箱の集りと考えることができます。したがって、住宅を工場で生産するには、面や箱それからそれらの軸となる骨組を工場で生産する技術がまず必要なことは当然です。この場合パネルや箱はコンクリートのものを除いて木や鉄の枠に様々な板状材料をはりつけてつくるのが普通です。次ぎに、これらを現場で組み立てるにはそれが、地震や風に対して丈夫である。構造学的な裏付けがあることのほかに、雨水や、透間風、音などに対し完全に接合されなくてはならないがそのためには接着やシールの技術は不可欠です。
次に工場で生産された材料を、現場に運んで組み立てる段階ではまず道路と自動車の発展、普及が決定的な役割を果たしています。工場がその生産性向上その他の面でかなり集約的となり、その結果サービスエリアが相当広くならざるをえない以上、これを戦前的輸送水準で実現させることは不可能です。また、組立時における揚重手段、クレーン類の発展で組立労務節減のみならず、部材の大ブロック化による生産性向上の巾も今後ますます大きくなるはずです。
このようにいわば建物をバラバラにして生産し、後で組み立てるとなると、これまでのように建物がかたちを整えてくるにつれてそれに合わせながら、様々なものを切ったり削ったりして取付てゆくのとは、全く異質な問題が生じてきます。この方法では、例えば建物になったとき相接して組み立てられる二つの部分は各々異なった場所で異なった時点に異なった人によりつくられるのが通常であり、それらが支障なく組み合わさるかどうかは、現場でははじめて最終的に確認されるわけですが、万一不都合があればそこで工程はストップしてしまいます。したがって、そのようなことにならないような、時間と空間、距離を克服するような手段、方法が必要であり、それなくしてはこのシステムは成立しません。具体的には取り付け穴の大きさ、位置、色、質感、わずかな寸法の誤差がその例であり、そのあるものは漏水や透間風の原因となり、またあるものはその商品価値を台無しにしてしまいます。その時間、空間を克服し、また均一な品質を常に提供する技術が管理技術、コミニュケーションの技術にほかなりません。
工場生産技術に加えてこうした諸技術を背景にしてはじめて住宅全体を工場でつくることは可能となるのですが、これらの中には製造業的な生産のコントロールの技術に加えて最後の管理技術など、従来の建設業ではあまり経験のない、というよりむしろ不得手なものも含まれており、もし建設業の側からこの分野に進出するとすればその克服はひとつの大きな問題点といえます。

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