キュービックシステムの普及

部屋ごとを工場でつくるキュービックシステムは、現在のところはごく限られた、例えば浴室、便所、台所ユニットといった設備中心のものや、比較的小型の独立家屋などです。この立体的なルームユニットを現場に持ち込んで据えるだけというシステムは産業側の圧力よりも、むしろ現場仕上の打開の方向から住宅生産の主流になっています。そのルームユニットですが、これをコンクリートでつくると、どうしても一戸分が30tから100t、一戸3室から6室としても一室は10tを上回ることになり、これは組立上かなりつらい値です。その点、鉄骨、木質系のものはその重量を1/3程度にまでは抑えられるため相当有利です。ただし、その場合遮音性はほぽ壁面の面積あたりの重量で決まるので、いわゆるアパートのようなものではその大半が壁または床一枚で上下左右とも隣戸と接することになるので、多少の考慮を必要とします。また、プラスチックで一戸そっくりを一体のモールドでということは議論としてはよくいわれるところではありますが、その材料の価格と強度の比や耐火上の不利さなどを考えればまだ実用化にはかなりの時間がかかりそうです。

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間取り

仕上げ、室の生産が工場に入るとき、誰がすなわち現在のいかなる産業がその母胎に、したがって技術の担い手になるかは極めて興味深い問題ですが、仕上まで含めた工業化が進んだ場合、住居が画一化して、没個性的となることを憂う声もありますが、間取りや仕上げの多様化、選択組合せ化など、それに対する回答は皆無ではありません。
いずれにしても、住宅生産の技術革新は産業的にはともかく、技術的には華々しくではなく、かなり地道な道を歩むものと思われます。次に、これらの新しい箱の時代の生産技術とその担い手の関係を考えてみると、まず第一には現在の注宅生産年間数兆円の大半の生産を担当している大工がこれを担う立場におかれていないことは、ことの善し悪しは別として、資本、技術その他様々な面からみて明らかです。
次に、これまで住宅を除く建築生産の世界での有力企業であったゼネラルコントラクタを考えてみると、まずその体質、販売網、材料系列などの面からみて相当な自己変革を行なわないかぎりこの部門でそのリーダーシップをとることは困難であり、それは技術面にも通じます。しかし、それではといって現在の製造業が住宅産業の分野に進出すれば万事うまくゆくかというと、それは必ずしもそうとはいえないようです。前者の場合のいわば短所は製造業的な管理、販売体制と材料系列が問題ですが、後者の場合の短所はおそらく末端の現場組立における労務から生じる諸問題ではないかと思われます。そして、これらはいずれにしても、各々の側で企業ないしは産業の成否に決定的な影響力をもっており、逆にその技術もそれに成功できる企業なり産業なりが担うことになります。
つまり、ここで企業の盛衰を支配する技術があるとすれば、それはむしろ商品開発、市場調査、システム技術、生産、商品、外注管理といった、いわゆる建築技術外の支援的ないしは管理的な諸技術になります。
そこでいかなる技術がこれからの住宅生産ないしは住宅産業の盛衰を支配するのでしょうか。それはこの新分野固有の技術といえます。
その第一は、商品開発に関するものです。住宅の場合性能と価格の関係が企業によりさほど大きく変るとは思えません。したがって、通切な費用配分、調和のとれた性能に加えて、商品としての魅力をどうやってつくりだすかが問題です。第二に生産技術面については、個別的ないしは直接的な生産技術面では、若干の大型ですが比較的単純な自動機械を用いる程度でこれといって難しい問題はありませんが、需要とにらみ合わせながら多数の外注部品も含めこれらをまとめてひとつの効率の高い生産の流れとするようなシステム、計画、管理的な技術は極めて重要です。第三は、未端の現場組立での管理技術です。いずれにしても、ことに当面は、住宅は自動車と違って、末端で組み立てて売られることになりますが、一方で販売組織、工場から需要家までの経路はかなり長くなりそコミュニケーションと管理のシステムが必要ですが、その繋がりは末端にゆくほど弱く、また地域的に拡散するのです。この繋がりをいかに高い信頼度で確保してゆくかには、アフターサービスも含めて自動車の場合とは桁違いに難しい問題が控えているに違い有りません。
いずれにしても、住宅生産個有の技術ということになると、まず需要の側では人間の生活の容器をつくるという意味で非常に多様化され、しかも個性的な欲望に対応する売れる商品が必要とされるのであり、それに対する追随性は住宅が個人の城であり、財産であるという意味で、オフィスなどより厳しいものが要求されるのです。また、生産の側では、なんとしても材料生産から部品生産、そしてことに現場での組み立て、とこれまた建築固有の性格もありますが、これらをうまく結びつけ効率のよい生産を行なうための広義の技術システムは、単に規模や部品数から来るもの以上に高度のものでなくてはなりません。この広い意味での生産のためにどのように組み立ててゆくかこそが、これからの住宅生産技術の基本的課題というべきです。

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