建築材料と施工の機械化

集合住宅の出現以前には、住宅建築は全て一品ごとの注文生産であり、それに使用される建築材料も、近代的工業生産によるものはきわめて少なく、手工業的生産方法によって生産されるものがほとんどでした。手工業的生産材料というよりも天然採取材料といった方がよく、原木から角材、板材などを製材するために工業的製材工場ができましたが、これは単なる加工工場で、寸法通りに裁断する加工作業を行なっているだけで生産といえるものではなく、加工後の製材品も建築に取り付けられるまでにはなお乾燥、集積、運搬、切り刻み、かんな掛けなどの工程を要しました。手工業的手法のはなはだしいものは特注品として驚くべき手間をかけ、銘木の類にいたっては立木のときから手塩にかけて育て、伐り出してからも数多くの加工工程と長いシーゾニングを含むものがあります。これに対して新しい建築材料には当初から工業的生産手法によって工場生産されるものが多く出現してきました。

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木材に代替する繊維系材料として合板、ハードボード、テックス類があります。合板についていえば長尺の単板を作り、これを一定寸法に裁断して、接着剤で貼り合わせたものに過ぎませんが、その製造工程をみると多数の単位工程を含み、それに使用される機械装置も個々の工程に適した単能の設備を組み合わせて構成されます。送り出されるのは規格寸法のホモジニアスな製品で、完全な工業化製品ということができます。これは単なる建築材料として取り扱われてきましたが、このような新材料の使用も建設工事にとっては大規模な工業化手法の採用ということができます。これが新材料として扱われ、建築工事の工業化として取り上げられなかったのは、建築工事に適当な合板の開発が施工者側の要求から出たものではなく、メーカー側の新製品開発の意欲によって作られ、それがたまたま需要にマッチして大いに伸びたためです。これに対して、建築工事における工業化とは建設工程における工業化だとする議論も成立します。現在、工業化の代表とされている大型プレキャストコンクリート板の組立工法にしても、規格形のPC板が市販され、どこでも入手できるようなオープンシステムになれば、施工業者はこれを材料として購入し組み立てるだけで、その部品としての製造工程がどのように工業化されようと、それを使用するだけでは建築工事が工業化されるとはいえません。しかし工業的手段によって生産された新材料も、工場においてさらに建築目的のために加工された場合には建築工事の工業化として評価したいのです。このように考えないと建築物が構成材としての部品に分解されて工場生産され、現場作業としてはきわめて手工業的な組立作業のみが残されるときには、建築工事はついに工業化されないということになります。工業化の意図が設計者または施工者側から志向されようと、メーカー側から志向されようと、建築される住宅にとっては問題ではありません。
同様な意味において、工手間の面で、慣習的な現場工法を変えず、部分的に専用または汎用の機械を導入して能率をあげ、これを工業的手法に組織化している例も多く、工業化という以上ある程度数量的にまとまった作業を連続的にこなすもの、例えばバックホーなどによる土砂の掘削なり、連続的な流れ作業のコンベアシステムやコンクリートのポンプによる打設も工業化手法とされますが、単なる合理化と能率向上の面からみれば、大工が現場で使用する電気かんなによる板削りなどはその最たるものです。人造研出し仕上げのためのデッキサンダーも、水を使う研出しの手作業を極端に縮小しました。
これらの新材料の採用や施工用機械の導入による工手問の節約は建築費の低下に役立っており、労務事情の悪化を糊塗的に救ってきたのですが、これが認められることが少なかったのは、引き下げられたコストが引き続く物価上昇に吸収されたことと、住宅建築が一品生産のため一品ごとの見積が行なわれて、設計段階のコストプラングも完成後のコストアナリシスも完全に行なわれることが少なかったからです。また住宅は個別に流通する商品ではなく土地と時間に制約されて、居住性能までが比較されなかったからということもあります。

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