建築の部品化と工業化

建築の部分工事別に細部工法をとってみても、その改良には自ずから限度があります。かつてレンガ債み作業について作業のタイムスタディが行なわれ、作業中の無駄な動きを追求して、極力これを排除しようと努められました。いまなお作業分析を行なっている研究者もいますが、結果として合理化といえば労働強化につながるおそれがあります。建築工事の工業化をめざす場合、無駄な作業は排除しなければなりませんが、労働強化になっては職人を集めることはできません。建築工事の合理化は、関連する各部の工事工程を一括して別の工程を案出するか、連続的工程を一括して工法の改良を図る必要があります。現在の下請専門業者による工事別の施工を積み重ねてゆく方法では、工事別に各工法を改良するといってもその余地はきわめて少なく、例えば型枠工事、鉄筋工事、コンクリート工事を各工事別に工法を改良してみても大きな飛躍は望めませんが、これを一括して工場生産に移してはじめて大きな合理化が可能です。さらに断熱材を型枠内に敷き込んでコンクリートを打ち込み、金属性サッシも先き付けし、内装の下地材を取り付けて現場に輸送すれば、現場の工程は大幅に圧縮されます。したがって工業化すべき点を見付けようとするときは、構成材に分割して部品化し、工場生産の過程で工事別工程を圧縮して織り込むことになります。

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工場生産の目的は、連当な生産設備、治具などによって特長ある品質と精度を確保する。現場労務を工場作業に移し、労務者を定着させ、流動的な現場労務者を減少させる。量産による生産性の向上とコストの引下げなどがあります。これらの目標事項のうち、例えば工場生産で得られる程度の品質を必要としない場合は工業化の利点はかなり低下します。
建築工事に使用される材料は一般に重く、材料を運搬するための費用は建築工事費の内でかなりの比重を占めるはずですが、一般に工事費の積算に当っては材料費は現場納入の価格で計算されるので、工場、問屋倉庫、現場間の運搬費は実算面に現われてきません。したがって、部品化工場生産といっても、原材料からの運搬は工場、問屋倉庫、新設工場、現場と1工程だけ多くなるので工事費の低減にはならない場合があります。運搬費の負担は、部品の加工度が低く重量当りの単価が安いほど大きく影響するもので、加工度が大きく製品単価の高いものに運搬費の影響は少なくなります。日本的な大型プレキャストコンクリート板の工場製作などは最も利点の低いものであり、板自体は合理化された工場生産にもかかわらず、工場からの供給範囲が半径30km以内に押えられるような事態を生じます。
部品化された構成材は、組立にあたって作業量の少ないものでなければなりませんが、同一の目的に使用するものでは作業量の多少には寸法精度が大きく影響します。あるいは組み立てが部材の積み重ねによって正確にできあがる装置をもったものでなければ、部品化の意味を失うものもでてきます。日本の初期のプレキャストコンクリート板組み立て建築には、1階分の板を組み立てると、その表面に在来手法によって墨出しをして、その墨を基準として次の階の板を組み立てるものがありましたが、上下の板を正確に作り、その板に位置きめ,高さきめの装置を取り付けて、現場では基準通りに施工すれば正しく組み上る方法へと進んできました。

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