賃金の上昇と作業内容の変化

新聞紙上において、建築関係の職人が自主的に何月何日から賃金をいくらにすると発表したという新開記事を見ることがあります。この金額は建設業者が各社ごとに定めている定傭賃金額よりも相当に高くなっています。建設業において労務賃は下請契約した金額の中に含まれていて、総合業者が労務者に直接賃金を支払うことはありません。下請業者が労務者へ賃金を支払う方法は各業種によって異なり、独自の能率給によっているので、総合業者は実際の支払金額、または労務者の実収入を知ることはできません。定傭賃金とは、下請負契約の範囲外の臨時の特別の作業について、下請業者から労務者の提供を受けた場合に総合業者が支払う基準賃金です。定傭賃金が能率給によって得られる平均収入額よりも高いときは、能率給制度の意味がなくなります。このように労務者の賃金を正確に把握することはできませんが、一定の基準のもとに統計をとれば上昇指数を見ることができます。

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賃金の上昇はやむをえないとしても、その賃金内容に見合う生産性をもたなければなりません。一般的な評価によれば職人の腕は落ちたといわれ、特に住宅建設ではその感が深くなっています。さらに件業時間が短縮されているので作業量の縮少は著しい。技能は専門化するほど、作業内容は充実し、生産性は向上します。しかし生産性を測定できるためには相当の作業量がなければなりません。個人住宅建築のような比較的小規模工事にあっては件業量がまとまらないため、多能工的技能を要求されます。一人または数人で全工事をまとめれば各作業間の摩擦がなく、総括的な生産性の向上が上がります。特に新建材の出現は新しい職種を誕生させましたが、これにも多能工的なものが多く、合理化された系列に組み入れやすくなります。
設計図書の一つである仕様書には、設計図面に現わされない建物各部の品質を指定しています。あるいは施工後では十分に品質の判定の困難なものにあっては施工方法を指定します。この品質判定の基準、検査方法が確立されていないので、品質の程度の判断は監理者に任されます。しかも施工業者には格のようなものがあり、ある業者の仕上げ工事には上中下の差別をもっていて、次の格の業者の上中下と程度が同じではありません。同じ工事でも労務費の額に差が出てくることになります。請負金額が同じならば格の上の業者にとっては利潤の薄いものとなります。
建築工事費の大部分は工事が完成すれば建物の形として残ります。工事を進める上では必要ですが完成引渡時には形として残らず、費用を要するものに、仮設工事費、機械損料、運搬費、現場経費などがあります。
仮設工事には仮囲い、やり方、足場および桟橋、材料置場、下小屋、倉庫、現場事務所などが含まれます。整地費、道路橋梁費、借地料なども敷地の状況により必要なものは仮設工事に含まれます。これらは一棟だけの場合は分割の必要はありませんが、二棟以上の場合は直接仮設費と共通仮設費に分けて考えます。
直接仮設費はその建物だけに必要な仮設物の費用で、例えば水盛、やりかた、足場桟橋などです。現場事務所、仮囲いなどは現場として必要なもので共通仮設費とされます。これらの合計は全工事費の6%から7%にも及ぶ場合があります。仮設工事はぜいたくであってはならず、貧弱で能率のあがらないものでも困ります。
仮設工事には各種の法的規則があり、特に建設労務者の作業上の安全を確保するため労働安全衛生規則には組かい規定があります。その第2編安全基準では、第3章通路、階段等、第3章の2型枠支保工、第4章足場、第5章墜落防止、第6章崩壊落下の予防、第8章保護具その他が仮設工事費に大きく影響します。仮設物の費用として発注者に負担をかけるのは新設の費用から残材価格を減額したものです。建築工事のための図面、仕様書が決定すると、施工業者の自由裁量に任されているのは、主として施工計画に関する問題であり、仮設工事や施工用の機械器具です。これらの計画の良否が能率に影響するのは土工事、コンクリート工事のような重量物を移動する工事であり、資材の運搬作業です。施工業者の努力もこの部分に向けられることが多く、請負金額の内訳明細書をつくるとき、材料費は現場渡し価格で取り扱われます。したがって、運送費として計上されるものは仮設材、機械類の運送、支給材の運送に要する費用です。したがって運送費の額も住宅の立地条件によって左右されることが大きく、新しく造成された敷地ではトラックの入場も困難なことがあり、駅からの距離によっても変動すします。
諸経費に含まれる項目には、給料、賃金、法定福利費、厚生費、福利施設費、退職金、労務者募集費、用水費、動力およぴ光熱費、事務用品費、交通費および通信費、地代家賃、租税公課、保険料、交際費、寄付金、祭典料、支払設計料、雑費その他があり、これに一般管理費配布額を加えます。

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