住宅工業化の歴史

住宅生産の工業化ということは現在では広く材料や部品の生産、流通、それを活用する工法、住宅そのものの生産などの全般が近代化、合理化されて、先進的な工業生産品と同じように、高い生産性と品質の均一性をもって住宅が円滑に生産されるようになることを指しています。このようにひろい概念における工業化が推進されるようになったのは比較的最近のことです。以前は組立住宅や乾式構造という概念で様々な試みがなされていました。プレハブ住宅や量産住宅とかいうとらえ方もその一例です。工業化の推進や実績を論じるには、材料や機械、工具の進歩発達の歴史から始めなければなりませんが、その最も目立つ一面であるプレハブ住宅の歴史を例にします。欧米におけるプレハブ住宅の歴史は19世紀に遡るといわれます。19世紀の中頃に、アメリカで鋳鉄製の組立住宅が建てられたり、木造組立住宅が軍関係などに用いられたといいます。同じ頃フランスでもプレキャストコンクリートの製造が始められています。19世紀の末にドイツで鉄筋コンクリートの耐力壁部材が生産されています。しかし、本格的なプレハブ住宅産業となるのは、1940年代以降です。

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日本でプレハブ住宅、あるいは組立住宅が取り上げられたのは、関東大震災の後の住宅復興のために設立された同潤会が、昭和11年に労働者住宅の大量供給を進めるため木造組立住宅の規格化の研究を行なったことに始まるといえます。その後、同潤会は住宅営団となり、同営団は17年にパネル式の庶民住宅を発表し、19年までに、186戸の建設を行ないました。しかしコストが高く、企業化に至りませんでした。
一方で不燃性の組立住宅については、昭和14年頃から研究がはじめられ、16年には鉄筋コンクリート造の耐震耐火組立住宅が発表されています。第2次大戦後、戦災による住宅の大量滅失に対して、工場生産住宅の大量建設ということが考えられたのは当然のことでした。
各種の不燃性組立住宅の研発開発が進められましたが試作に終って企業化には至りませんでした。
木質系の組立住宅もいろいろ研究され、この方は昭和23年には全業数21社を数えるに至りましたが、本格的産業に発展はせず消滅してしまいました。
昭和20年代においては住宅建設技術の開発が主として、防災建築の方向に向っていたので、壁式鉄筋コンクリート造、補強コンクリートブロック造、薄肉鉄筋コンクリートラーメン造など低廉、簡易なコンクリート造の技術が開発され普及しました。この段階では、まだ工業化の推進という方針が明確に意識されていませんでした。しかし、コンクリート造の建築技術が、これらの工法による公営住宅の建設という事業によって、全国に普及し、全国にそれを実際に施工しうる業者が育っていったということは、住宅の建設に曲がりなりにも企業の形態をとった建設業者が関与するようになったこと、そしてそれらの業者が、多少とも機械を持ち、近代的な建築技術を吸収する方向に踏出したということで、住宅建設工業化の歴史のなかでは、一つの大きな転機であったといます。
昭和20年代の後半以降は、各種の新建材の生産が拡大されました。一方で左官工事が、技能者の不足や値上がりのために困難になり、次第に乾式工法が広がりはじめました。瓦屋根に代って長尺鉄板葺きも普及しはじめ、材料の革新による省力化、コストダウンの気運が高まってきました。
昭和30年代に入って漸く、戦災復興的住宅対策から、経済成長、都市化の歪みに対する住宅の大量建設、供給が住宅政策の主局面になるに至って、工業化推進のねらいも一段と明確になってきました。つまり住宅公団の設立に伴って、鉄筋コンクリート造のアパートの大量建設がはじまり、それまで住宅建設にはあまり関心を示さなかった大建設業者がその受注をするようになりました。これには、当時の経済事情も背景をなしており、その後民間の設備投資が盛んになるに及んで、大手業者は再び公的住宅建設の場から手をひいてしまっています。
この間に住宅公団は、その建設する住宅の構造や工事量としての規摸などから発注の方式を定型化して、中規模建設業者の成長の条件をつくってきました。それと平行して設計の標準化、繰返生産など、住宅を大量に建設供給する安定した事業体であってはじめて可能となる建設合理化の手を打っています。さらに在来工法による建設のなかヘ、できるだけ工場生産のメリットを生かして行なうということで部品の規格化をはかり、大量生産による低廉かつ良品質の部品生産にも着手しています。住宅そのものの工場生産化の発展に戻って見ると、住宅公団が発足した直後に、プレキャストコンクリート造の技術開発がはじめられています。昭和32年には、ティルトアップエ法による二階建て住宅の試作が行なわれていました。大型プレキャスト板工法による建設は次第に軌道にのってその後36年までに2階建ての連続住宅、テラスハウスが約900戸建設され、37年からは4階建てのアパートも建設されるようになりました。一方で公営住宅建設の場においては、薄肉中型プレキャスト板と木質系内装パネルの組合せによるテラスハウスの建設工法が企業と都府県の協力によって開発され、昭和37年以降実用に入っています。一方で昭和30年代に入って間もなく、鋼製軸組をもつ簡易な組立建築が普及しはじめ、一室だけの組立住宅が売り出されましたが、35年を過ぎると木質系、軽量鉄骨系の一戸建てプレハブ住宅が多くの企業によって生産されるようになりました。昭和37年には住宅金融公庫が、軽量鉄骨系の8社について、不燃組立住宅としての優遇措置を講じて、その普及の促進をはかっていました。このように,昭和30年代の後半において、中層共同住宅、低層連続住宅,独立住宅それぞれのプレハブ工法が開発、実用化され、普及の方途もついた形になっています。

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