住宅生産工業化の方向

住宅生産の工業化は、次第に枯渇する在来的建築技能労働や、天然資材に依存する注文、一品、現場生産から、工業的な生産に移行して生産性を向上し、増大し発展する住宅の需要に対処することと、建築労働の雇用条件、労働環境を安定、安全なものにかえてゆくことで、労働者を守るとともに、労働力を確保すること。巨大な投資額が予想され、経済全体への波及効果も大きい住宅建設活動を効率のよい産業に編成することによって、日本経済全体の構造改善やさらに一層の発展の力とすることなどの理由で要請されています。しかし、忘れてならないのは、高度化する需要の質的要求を実現するために工業化が必要とされることです。大八車は工場で作っても引き合いませんが、自動車は工場でなくては作れないといい、日本の住宅の質的水準が大八車的段階にある間は工業的生産のメリットが出てこないことを指摘してきましたが、今ようやく住宅の質が自動車のボディ位の段階に近づいてきて、さらに思われることは、自動車にはエンジンがなければならないということです。日本の住宅にはエンジンに相当する部分がないといわれています。住宅を快適な生活を円滑に営むための装置と見たときに、日本の住宅はあまりにも殻だけであって機能を持たないということになります。

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雨露をしのぐということから発生した住宅の避難所としての役割は、断熱性、遮音性、防災性などというかたちで科学的な追求も進められ、材料や工法の進歩も蓄積されていますが、様々なサービスを受け入れ処理する装置としての住宅の機能、性能はあまり高まっていません。それは一方に、都市的サービスのレベルが低すぎるからだということにもなります。給湯や暖房が、社会的なシステムとして供給されている国と、日本の実状とを比較すれば、それが住宅の質の低さとして論じられるべきか、都市の質の低さとして考えられるべきか、議論の分かれるところです。いずれに論じるにせよ、低い段階にあることは間違いありません。今後の住宅生産のあり方は、この水準の低さを解消する方向で考えられるべきです。
住宅生産工業化の長期構想で、将来の住宅の持つべき本質的特性として多様性、柔軟性とともに社会性をあげています。住宅が孤立して存在しうるものではなく、常により大きな生活空間の体系の中にあって成立するものであるということですが、今後の社会の発展を考えた場合に、それはただ形態的な面での整合性ということだけではなしに、環境の持つべきサービスのシステムの一環をなすという意味にも重きをおいて理解されなければなりません。高密度社会における、生産流通消費の空間構造の中には、当然高度に発達した諸サービスのシステムが実現しなければなりません。そのシステムとしての住宅が考えられるときに、それは在来的な一品注文生産の技術、体制、技能からは生産しえないものとなっています。そのような時点では、もちろん都市空間の構成も、そのための建設活働も、住宅と同じように工業的生産を基礎とした技術の体系のなかで考えられ実施されているようになっていなければなりません。現在、超高層オフィスビルや、高架高速道路などの場合に、着々と建設の合現化が進められていますが、もっと急激に大規模な都市空間建設が進められるようになると、この面の工業化も急速に進展することとなります。
単に道路や高速道路、地下鉄などの骨格を、その他の都市的サービス供給処理施設と関連なく計画し施工することをもって都市建設と考えているかのような現状からは、ここでいうような生活環境としての総合的なシステムは造り出されません。都市における生活と、そのための生産、流通の場としての環境づくりを、大きなトータルシステムとしてとらえて、これを円滑に実施し、しかも刻々に成長変化する条件に対応して要求を制御しながら充足していくというような柔軟なメカニズムを実現する必要があります。
もしこれと関係ない形で住宅生産の工業化が進められていたとすると、そこで問題が大きく浮び上ってしまいます。住宅を、それがより大きな空間構造とサービスシステムの中に占める位置と、その空間およびサービスをそれぞれの居住者の要求に即して享受するしつらえとにわけて理解する考え方がより深められるべきです。なぜなら、それら二つの局面は技術的にも、経済的にも、制度的にもかなりはっきり分解できるものだからです。
住宅生産の工業化の将来を考えるときに、前者についての生産の工業化か、後者についてのそれかでは大いに内容が異なってきます。前者は大きく都市構造の工業的生産の問題に発展し、後者はインテリア、家具、家庭機器の工業的生産につながっていきます。そのいずれの場合においても技術の革新が発展の具体的な瞬間となるものですが、前者についてはいわゆるシステム的なとらえ方が、後者についてはより分割された、材料や工法などの細かい分野における革新が瞬間としてのより主要な役割を持つことになります。
そして、後者における技術革新は主として個々の企業の努力で進められますが、前者のシステムの開発については、何等かの社会的な力の存在が必要とされるのです。住宅生産工業化の方向も窮極的にはそのような全体としての大きな流れにそって進められなければなりません。

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