工業化とプレハブリケーション

プレハブリケーションは、建築生産ないし住宅生産を工業化していく途上に必要な一つの技術的手段です。では、プレハブリケーションをも含む工業化の目的あるいは必然性はどこにあるかといえば、これは広範な諸問題を含むことであって、簡単に説明し難いことですが、次に述べるような一つの望ましい状態を実現することであるといえます。その状態を三つの側面から眺めてみると、第一には、物としての建築や住宅が長質で安価に生産されるという状態です。第二には、建築産業ないし住宅産業が産業として近代化され、他の先進諸工業部門に劣らない高生産性の生産組織である状態です。第三の面は、これが最も重要であり究極的なものですが、国民全般にとって良い住宅が入手し易いという状態です。
これらは同じ状態を三つの面から見たものであり、相互に依存し合っている不可分のものですが、全く同じことであるかといえば、そうではありません。例えば住宅産業といわれる高生産性の産業部門が出現し繁栄する状態が、そのまま住宅が入手しやすい状態に直結するとは必ずしもいえません。そのあたりが最も重大な問題ではあありますが、工業化ないしプレハブ住宅の領域で扱いうる問題ではありません。

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プレハブリケーションの目的ないし効果として一般にいわれているところを要素に分解すれば次のようになります。工期の短縮、大量の生産、所要労務量の節減、品質の均一化とその予知、性能の向上、コストダウン。
これらは、独立したものではなくて、相互に密接に絡み合っています。特に効果としてとらえる場合にはそうなります。ただし、大量生産は、在来工法によるよりも、同じ1カ年間に大量の住宅を生産供給するという目的あるいはそうできるという効果であって、のちに述べるような、条件としての少品種大量土産とは、一応区別して考えるべきです。目的としては、少品種大量というよりも、単に大量が目的であるのに対して、のちに述べる有利化条件では少品種の、しかも、あらかじめ予測できる計画的な量産でなければ意味がなくなるのです。上記の六つの要素は、いずれも単独で、終局目的でもありえますが、同時に他の終局目的を果たすための手段または中間目的である場合もあります。例えば、労働生産性の向上とのコストダウンとの関係は、企業化ないしプレハブリケーションの主要な目的として、並べて用いられることが多く、確かにある局面では、建設労務の絶対量の切迫のために、労務、特に現場の熟練労務の節滅が、それ時体目的である場合もあります。しかし、建築費の急激な上昇をなんとかして緩和したいという目的から労働節約的な工法を求める場合、労務量節滅は、コストダウンのための手段ないし、中間目的として考えられているわけです。
ここでいうコストダウンは、実現すべき建築の性能水準を所与のものとした場合であって、実際には性能向上と表裏一体の関係にあり、それ故に、以下の議論では、実現すべぎ住宅の性能水準を所与のものとした場合のコストダウンを最大目的とする立場からその効果の原理を説明していきます。このことを表わすのに、総合生産性の向上という言葉を用いますが、その意味は次のようです。例えば労働の生産性とは、投入労働量単位当りの生産量であり、資本生産性とは、投下資本単位当りの生産量です。同様な論法で、プレハブの目的の中の工期の短縮は、時間生産性の向じと理解することもでき、大量生産にもそのような意味を含んでいます。
プレハブリケーションを総合的な生産性を向上させるという目的をもって進める場合には生産性を高めようと意図するプレハブリケーションないし工業化は、生産諸要素の結合関係をめぐって様々の挙動を生起しますが、五つに要約できると考えられます。プレハブリケーションを、素朴に、字義どおりに解釈するときは、第一要素のみで説明できますが、その目的である生産性向上との関係で理解するときは、五つの要素を考慮しなければなりません。そして、このように考えるときは、必然的に建築生産工業化の中で考えることになっていきます。五つの挙動要素によって生じる変化として、第一には,第一要素によって、生産諸要素の投入される場が大部分工場へ移されるとともに、今まで生産量に比例的であった直接労務が固定的になります。第二には、生産諸要素間に量としての代替が起こります。材料量については設計の高密度化等によって削滅の可能性も生じますが、大きくは変動しないと考えられます。主な変動は、第二、第三要素によって、直接労務量が滅り、経費のもととなるような要素量が増えます。ただし、その増え方は生産量に比例するわけではなく、むしろ生産量の大小に関係なく増え、生産方式について一定となります。第四要素は、例えばこれまで型材になった段階の材料を購入していたものが、その前の段階からパネルになるまで一貫製造するような挙動をいい、これによって、プレハブ工場内での仕事量の総量は増え、やはり固定費を増大させます。第五要素は、ソフトな面での挙動ですが、経費や間接費のもとになるような要素量を増大させ、固定費部分を増大させます。
以上は、すべて量としての増減ですが、次にはこれを贅用としての挙動で考えます。その際に一つには生産諸要素の単価の問題が入り、もう一つは生産量の問題が入ってきて、若干複雑となります。つまりこの単価と生産量の条件によって、生産物1個当りの費用は、在来工法に比して増減します。この間の関係を整理すれば、在未工法に比べて、あるいは工業化の遅れた工法に比べて、より工業化の進んだ工法が、経済的に有利となる条件が簡明に説明されます。

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