家族構成と生活空間

現代家族構成の基本的特徴は、夫婦と未婚の子供から構成される核家族という小単位のもので、その内的構成が極めて単純であることであるといわれています。現代アメリカの理論社会学者T・パーソンズは、現代アメリカの都市家族に最も純粋な形での核家族を認め、核家族という集団は、人間の社会集団としての不偏的特徴を体現した集団として意味のある存在だといっています。核家族は夫であり父である男性が生活の手段を整え、家族すべての生きるための営みのリーダーとして活動をすると妻であり母である女性が温かく情緒的雰囲気のなかで成長の統合を図り、みなの精神的安定の場を盛り上げるという人間の社会が生み出した集団の代表であるとし、子供たちを社会の一人前の成員に仕上げていく基本的な働きと、大人たちのパーソナリティの安定化および男女両性のバランスの調整という不可欠の機能とを果たすものであると主張しています。

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戦後の家族制度や家庭生活の変化は、夫婦と子供からなる小単位家族への急激な変化、つまり核家族化です。核家族世帯の比率は大正9年から昭和35年の40年間に60%から65%へと55%増加したのに対して、35年から40年の5年間に、それを上回る5.45%も増加しました。家庭生活の中心は母親で、母子関係は過保護、放任、過教育型になり、一方通勤、通学難をはじめ、公害など個人の家庭生活機能を害する外部条件が増大してきたため、地域社会で生活協力の姿勢がすうらぎ、核家族はマイホームという自らの殻に閉じこもる傾向が進んでいます。
しかし、家庭生活はあくまで人間性確保、人間形成、生活を築き生活を守る場です。核家族化は老親の扶養を否定することに結びつかないことを再認識しなければなりません。親の核的家族的単位と子の核的家族的単位の自発的協力関係は核家族化の前提です。
夫婦に子供が生まれ小学校から大学までの教育を終えて、子供達が結婚生活に入り、次代の核家族世帯を構成すると、子女の教育が一段落したとき、この夫婦はすでに定年と向老期を辺えており、核家族構成世帯といえどもその結婚生活30年から40年間の家族構成の周期的変化の目まぐるしさを考えるとき、単に夫婦と子供2人の小住宅といった固定的な安易な考え方ではすまされない大きな問題がありそうに思われてなりません。この家族の生活環の拡大縮小の変化に従って伸縮のできる家が最も理想的な住宅というべきです。それは徒来の住宅概念をくつがえすに足りるもので、自由に付け足したり、取り去ったりできる単位をもとにした持家住宅をつくるべきか、あるいは借家方式によって、家族の必要に応じて転居を可能にするとか、すべての住宅を公有にすべしとか様々な主張がでてきます。また技術的にみても、小さな核単位に始まって、一、二世代にわたって成長を続ける住宅とか、工場で部品として買われるような、プレハブに基礎をおいた家とか、政府機関が骨組を造り、個人が残りの部分を完成する共同組織による家とかも考えられます。
野生状態では、哺乳動物、鳥類、魚類などはお互いに間隔をとり合って、各自の種族の生存が保証されるだけの縄張りを保持するものであることが明らかにされています。人間が生活していくためにも、生活に即応したある限度の空間的広がりが必要です。人類学者E・T・ホール博士は、過密人口は非行、異常行為、暴力、犯罪などを引き起こすものであり、人口集中のためにおこる病気の症候は、精神病、神経の緊張に関連した一連の病気となって現われるといっています。
そこで人間は一連の伸縮自在の球形の空間で包まれていると考えられ、その球形というのは、手ざわり、臭い、感じ、見ることなどをふくむ感覚経験の広がりのことです。この球形は人と外界を結ぶと同時に外界から人を保護する働きをするものであり、その球形空間の大きさはその人の教養や人種的な背景によって差があるとされています。北ヨーロッパの中流階層出身の場合についてみると、人間を取り囲む空間は次の四つの部分に分かれています。
親密帯 人間の両腕を伸ばした範囲の空間で、求愛、保護、慰籍などのときの二人の人間の距離に相当します。純然たる第三者をこの親密帯から締め出せないときにストレスを感じます。
個人帯 腕を伸ばした先から、約1.25mまでの空間で、個人的な会話をする距離です。
社交帯 人間の体から3mまでの範囲で、パーティで話をしたり、オフィスで一緒に仕事をしたり、近づいた来訪者に声をかける距離です。
社会帯 人体から35m以上の距離の空間をいいます。
人間にとって、別の人間が自分のすぐそばにいることほど刺激的なことはありません。あまり多数の人が一ケ所に寄せ集められると、人によっては感覚に負担がかかりすぎて苦しくなり、他人に反応することを全くやめてしまうようになります。周囲から余り強い圧迫が加えられたら逃げ出そうとするのは当然で、現実逃避しょうとします。
以上のような、人間が健全な生活を営む上に必要な空間を自然の驚異から区画し、快適で幸福な人間生活を容れるのに適した生活空間をつくり出すのが建築であり、都市であり、最終的にはメガロポリスからエキュメポリスへと拡大してゆくのです。
人間生活における衣食住は人類生存の根本ですが、生計をたてるための業務活動、社会的、文化的な剣造活動、体養娯楽の余暇活用の三分野が、人間生活の内容です。住宅が単に人間の基本的生活の空間に過ぎないものでは、建築としての存在価値はありません。人間がその中で生活し成長し、日々の人格的な欲求や行動欲求を満たすものでなくてはなりません。例えば子供は住宅の中で養育され成長しますが、小学、中学の学校という共有空間での集団生活が生活の主要部分を占めるようになると住宅からの疎外的なものになり、家族という第1次集団にかわって、個人の生活を大きく支配する数々の集団によって家族生活が引き裂かれはじめるに至ります。将来の住宅は、第1次集団としての家族間の結合力を強め、親密化をもたらすもので、住宅は心理的安定の場としての機能を果たすとともに、家族構成員がそれぞれの役割が果たせるような居住空間として設計される必要があります。生活行動の問題解決という観点から、生活時間、生活空間、生活欲求の条件のもとに行動の連続性、一貫性、持続性、重要度、有機性といったことが重要視されなければなりません。

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