自動車と住宅

自動車の一般的な著しい普及は、大きな影響を住宅にも与えています。その第1は、狭い敷地、狭い道路という今日の宅地条件に比しては、あまりにも独占的な空間を取る自動車の存在が、住宅の配置計画、平面計画にとってかなりの比重を占めていることです。この自動車による住宅の配置や平面への大きな影響は、まず敷地への車の導入の仕方と居住部分と駐車部分の組合せ方による平画計画の2点です。敷地への車の導入の基本は、敷地が接する道路幅と車の大きさによって、自動的に導入路の幅が決定します。そして導入の位置の選定は、周囲の状況から車の入りやすさ、ならびに交通上の安全性を考慮する一方で住宅そのものの適切な位置との関連において判断されます。敷地が接する道路が2面以上の場合は、比較的配置、平面の自由度が増し、それぞれの道路状況を調査し、いずれが車側、住宅側に有利かを比較検討した上で決定する必要があります。

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間取り

駐車スペース、または車庫の位置と住宅の配置や平面との組合せでは、敷地が比較的余裕のある場合は、駐車スペースと住宅との関連はむしろ全体としての構成、スムーズさといった心理由な問題が中心となります。したがって、カーポートあるいは車庫を、建築物のもっとも適切な場所に一体として組み入れたり、あるいは別棟状に構成させたり、かなりデザイン上の自由さがあります。しかし敷地が住宅の量に比べて狭小な場合は、車のスペースは非常に住宅の平面計画に影響を現わしてきます。玄関への導入部の庇を少し大き目に作り、そこを駐車スペースに考えるポーチ利用型もその一つです。2階建の住宅などでは、1階の一部をピロティとして、自動車の導入に供する方法も多く見られ、また天井高が2m程度で低くすむ駐車スペース用に、その部分を高床式に考え、それをスピリット形式と呼ばれる半階ずつ上がる手法に逆に利用し、ユニークな住宅の平面を作る例もあります。敷地よりも1.5m以上道路が低い場合で比較的建設費に余裕ある場合では、敷地の下に地下式の車庫を埋め込むのも、上部の敷地を完全に利用できる点でも効果的です。これは鉄筋コンクリート造に限られます。いずれにせよ狭い敷地での問題は、いかに車に使われる部分を実質的に最小にし、住宅の機能にとって少しでも支障を滅らすかの工夫といえます。
第2の問題として、直接1戸の住宅設計の手法には関係ありませんが、自動車によって住宅道地の概念や、住宅そのものの概念が変えられつつあるという現象です。自動車という私有化された交通機関を頼ることで、かなり宅地そのものが、在来の電車依存の近郊宅地から距離的に変化しました。それまでは、とうてい考えられなかった交通の不便な土地を宅地化する傾向でこの現象は都市のスプロールにある意味で拍車を掛けています。
また、市街地の高気密な住宅を一種の勤務用の寝るためだけの家といった概念で提え、これと対照的な憩うための家を都心から離れた辺ぴな場所に作って、週末や比較的まとまった体暇をここで過ごす傾向が現われると思われます。ここでは、土地の高騰という現実的な問題と、これからの都市生活者像といったものから十分に推測できるもので、この兆しはもはや現われ始めています。しかも、この住宅の二つの分化、ベッドハウスと別荘の生活を連繁しているものは、ほかならぬ自動車です。二つの住宅の性格をそれぞれ抽出して考えて見ると、都心部のベッドハウスはその名の通り寝室であり、地方の山海の別在は居間に当たります。これらの寝室と居間を結ぶ廊下が自動車の役目です。現実には、二つの住宅という現象は経済から考えても少なく、将来の廊下役である自動車自身が、狭小住宅の居間の代役として扱われていることが多い。それは完全な居間を持たない住宅にとって、週末などの家族の自動車旅行は、実は家族関係回復装置の居間に利用されているのです。それゆえに今日の自動車の内部ほど、インテリアに神経が配られているものはないのです。いずれにせよ、自動車の存在は、直接的、間接的に住宅設計に影響を与えています。

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