住宅建設の費用配分

古くから、日本の住宅建設は、平面積当りの概算工費で取引されていたのは、大工による間取りと工法の標準化が、木割などを代表として完成しており、しかもあくまでも木工事主体であったからです。しかしながら、近年の住宅改革は、工事費についての考え方をかなり変える方向に進んでいます。この原因には、住生活そのものの大変革にはじまって、工法と構造、新建材の生産、都市化現象、設備の充実、さらには生産体系と労働力の問題が大別してあげられます。しかもそれぞれが複雑に影響しあっているので、いわば工費上の変化を長い目で見ると社会的な動向を把握できるともいえるのです。昔の住居の画一的な工法では、工費の高低は、その使用材料の良否に完全に比例していたのに対して、今日ではこの単純な関係が成立しにくくなっています。つまり工費の絶対額よりも、工費の配分計画がその目的とする住居の性格や内容を決定する傾向にあります。そして逆にいえば、住宅の設計方針がむしろ工費配分の数字に表現されるのです。平面債当りの工費が極めて低い場合は、住居としての最小限の性能と設備の設計は不可欠なゆえに、工費配分はほぼ一定値を示し、また逆に、極めて高い場合は、居住者に絶対的満足を与えるために最大限の性能と設備、さらに仕上げの設計を施すために工費配分も定数化される傾向にあります。

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一般の中程度の工費の場合は構造、性能、設備、仕上げ、さらには平面、空間の計画そのものからも、かなり大幅な工費配分の変動を起こします。例えば木造、簡易耐火鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の構造の選択によっては、一定額の工費の中で主体構造費ならびに仮設工事費の占める割合は異なってきます。構造を一定にしても、次に性能として断熱性や遮音性を強めようとすると、それに当たる工事費が異なり、また設備に重点を置くか否かにより、電気、給排水、冷暖房等の設備工事はもとより、それに間接的に影響する性能上の工事費にも高低が現われます。また立地条件の悪さを救うために、高床式、高層化、半地下式、中庭形式の計画を考えたり、高度の住居の快適性や空間の個性化を狙うために、雁行形や多角形などの複雑な平面や、吹抜け、大架構、ピロティなどを利用した特色ある空間を作る等々の、いわば基本的な発想によってそれぞれの工事費の配分にかなりの影響を与えています。あまりデザイン上の特殊な例と極端に劣悪な立地条件を避けて、いわゆる標準の中住宅に限定しても、都市上の規制と都市設備の状況等の強制的な条件による工費への影響が起こっています。また一方、居住者側の要求による今日顕著な傾向として、設備の充実、室内装飾、造り付け家具、家具敷物等の装備に関する工事費の上昇があり、在来の住宅建設費に含まれね項目も増えています。
そこで、住宅設計の際に考えられる工事費の範囲を一度整理すると、住宅に直接掛る費用以外に、敷地造成工事、家具敷物工事、門塀工事、造園工事、外部設備工事までを含めて計画しなければなりません。それに設計でもう一つ大切なことは、これらの適切な工事配分の計画と同時に、経済的に一度にすべてを完成しない場合などでは、特に資金と工事の年次的な将来計画をあらかじめ作ることです。また、これらのいわば建設の初期的な工費以外に、建物補修費、暖冷房等の使用料と維持費などのランニングコストの考慮も必要です。工事費の配分計画に当たって従来の工事費別の費用区分は、単価と数量をチェックし、各職種別の内容を明確化するに役立ちますが、次第に工法や建築材料が変わりつつある今日では、もう一つの区分が考えられます。特にプレハブ住宅のようにいわば現場作業が部品の組立てということになると、仮設、組立工事と部品の費用といった分け方になり、在来の木工事や左官工事に当たる部分が消滅します。そして部品も性能別に、床、壁、天井パネルといったものになり、むしろそれぞれの性能部材別のチェックが必要になります。このように工事費の配分は、複合的なパネル材やユニット部品が多くなる傾向に伴って必然的になってきます。プレハブ住宅の工費算出には、このシステムが適当であり、また設計段階での材料の性能評価や工法上の部位別の算出には、これが重要なチェックの役目を果たしてくれます。
住宅設計上での費用配分計画は、標準的な住宅を作る場合、その料学的な質の分析と、パランスのとれた設計をするために重要であり、経済的な制約により必ずしもバランスのとれた設計の出来にくい場合は、その性格と状況を数量的に確認するための指標になります。あらゆる面での経済性とその耐久消費財としての効果が要求されはじめている住宅産業には、特にこの費用配分計画が設計の内容を決定するともいえるのです。

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