設計の個性化と標準化

住宅設計論にあらわれる標準化と個性化は、生産社会の画一化と平行して考えられていくべき計画技術でなければなりません。一般的に住宅における自己主張としてあらわれる順序は、自分の地位を表明できる住宅地域を選ぶ、その社会的評価がわかるような住宅様式、集合住宅よりも独立住宅、建築家の設計であることが明瞭な外観、敷地、住居が劣化してもそれを補う設計、画一的なものを部分的な装飾でおおう、居住空間に自分の家庭生活の豊かさを表現する、自分の生活感覚を表現する等です。これの中には設計諭の中に入らないものもあり、次の室内設計や、装備設計のカテゴリーに入るものもあります。その中から設計の技術の範囲に入るものを整理してすると、次の段階別の方法論として浮かび上がってきます。

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間取り

与えられた敷地と住宅建築との間で、十分の条件整理が行なわれること。土地条件が計画に表現されている指数。独立住宅では、室内側の要求をできるだけ詳細にとらえて空間処理を行ないます。そのためには融通型の設計技術がどのくらい生活を編成できるか、できれば広い空間がとれるかを検討します。居間系列の面積比率、あるいはもっと進んで居間系列の容積の全容債に対する比率を指標として行ないます。工業体系によって編成されているシステムをこわさずに、どのくらい自分の生活に対する好みが表現できるか。自然材料がどのくらい使えるか。あるいは材料の組合せが生活の気分を変えるように設計できるか。この場合は、低加工材料が壁、天井、床に使用されている比率を指標と考えたい。家庭の生活で、家族あるいは個人の趣味を生かすための空間が用意されるか。特殊な用途に用いられる床面積および全面積に対する比率。当然和室の比率もこれと平行して考えてみたいものです。非生産時間であることを表現してくれる非日常的な演出ができる空間形態がとれるか。空間の性質をあらわすための高さと床画積の比率。特殊形態に対する指標化。部分的設計変更ができるような構造体系になっているでしょうか。設計上で構造段階が明確にされているかどうか。以上が標準化に対応しようとする個性化の方法です。現在行なわれている標準化の方向が具体的にはどの程度まで実施されているかを実際の例で考察してみます。
アメリカにおけるトレーラーハウスは言葉の通り、車輪をつけて何処へでも簡単に移動できる住宅です。そのために、路上を運搬できる構造がとられ、幅12ftから20ft、長さはふつう60ftであるため、約1200ft2となります。一つの標準を示す住宅です。
興味深いのは、移動可能という条件のために敷地とは全く無関係に計画されていることで、また、構造的にも自己完結性が強い。平面の変化は標準寸法による居間、会事室、寝室群、寝室付属のクローゼット、バスユニット、台所、設備コア等が組み合わされるようになっているため、徹底した設計の標準化が行なわれています。注目されるのは、外部は金属板、内部は木質系統の材料が多用されており、設備のシステムも大へんコンパクトに造りつけされる設計として完成されています。いわゆる部材組立てが自在に行なわれていることです。
日本のプレハブ住宅は鉄骨メーカー、プラスティックメーカー、家庭電気メーカー、建築材料メーカー等のメーカーが主体となって設計生産されています。この系譜は、日本のプレハブ住宅の性格を強く規定していて、材料の単一的な構成が設計にあらわれています。したがって標準化といっても、住宅産業という広い領域でのアセンブルが行なわれているとはいいにくく、そのために、標準設計の自由な部品交換性に乏しく、関連産業のデザインの成果を十分吸収できません。また日本人の購買傾向が、間取りの自由、仕上げの変化という膨大な部品体系を必要とすることを示しており、これがプレハブ住宅の生産体系を確立することをさまたげています。
以上の二つの例は、アメリカ合衆国と日本の基準化に対する考え方をかなり端的に表現していると思われます。結論的にいえば、日本では輻輳した条件を満足することを個性的表現として意識していると考えられます。それに答える対応策は複雑なものです。

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