住宅の寿命

一般には住宅の寿命といえば、建築物としての耐用年数を考える場合が多く、住宅金融公庫の償還という数字も木造の耐用年数を示しています。たしかに、物理的に何年間保持できるかは設計技術の上でも重要な問題ですが、それとともに、今日では別の要素から寿命が論じられるようになりました。その住宅の中の家族生活そのものの寿命であり、また耐久消費財化された住宅の寿命です。この二つは、お互に絡み合った関係を保ちつつ、これからの住宅の一つの様相を浮き彫りにしはじめています。家族生活で区切られる時期は、結婚、出産育児、子供教育、子供の成人と結婚、親の死亡という家族のライフサイクルの中で、大体5年から7年ぐらいです。昔の住まいの形式では、これらの一つ一つの時期の変動が、住宅という器に影響することは少なかったのは、規模の広さと日本間の融通性、さらに家族制度という人間側の調節によってです。しかし、今日ではもともと近代化された生活に対して規模狭小であり、用途別の部屋の確立といった制約があり、個人主義によって出来上がる家庭像を加えると、5年の周期に応じて器側を訂正していかねばならない状況にあります。

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間取り

子供室の増築、居間の増殖、書斎の誕生、2世帯ゆえの部屋の分離等の増改築ブームは、かつて見られなかった烈しさを示しています。こういう家族の成長や人数の増減ばかりでなく、今日の消費構造のしかも家での生活エンジョイ型の家庭にとって、切りつめた初期の住生活は、わずかな歳月に大きな不満となって現われるために、ますます増改築に拍車を掛けています。家庭電気器具や自動車の大きなモデルチェンジが5年程度であるのと同様なスピードで現われ始めます。そして、こういった生活感情と、一方プレハブなどの住宅生産の企業イメージから住宅そのものが、耐久消費材として扱われる素地は十分に出来上がっています。
この条件のもとで設計における姿勢や手法が現在と異なる方向に向くのは当然です。まず、できる限り長い寿命を保つ家を設計するのがよいのではなく、一定の年限までは完全にもつ保証があればよいという概念に変わることです。そして極端な話が、組立住宅のように、件りやすくて壊しやすいのがよい。また過上な安全度を見るよりも、簡単に増やしたり、改造できる骨組があればよいわけです。この傾向は、一般の住宅設計の方向を指示しています。
それを裏害きするように、現在では新築計画の際にその家庭のライフサイクルを通じて刻々変化する生活内容に、絶えず充足できるものを完全に設計することは稀です。むしろ制約ある現在の状況をいかに将来増改築するかを考えるケースが非常に多く、つまり増改築計画そのものを考えること自体が一つの設計手法ともいえるのです。
今日的な寿命から考えた設計手法の第1は、初期の計画段階で、可能な限り将来の生活の変化を推定して、増改築が可能なように考慮する、いわば住宅を完全な形でまとめ上げず時間とともに増殖や縮小しうる自由度に富んだ手法です。平面的に連結や廷長しやすいように、その接ぎ目をあらかじめ想定して置くこと、また規則的に延長できる架権のルールを作って置くなどが大切です。また立体的に階上に伸ばす場合は、階段の位置や通し柱等に注意が必要です。いずれも屋根の取合せを十分に考慮することが必要です。
第2として、建築物としてまず完全な形に初期からまとめ上げ、将来は、離れ、付属棟として構成させていく方法があります。日本古来から伝わる手法ですが、ここでは別棟の量の推定によった配置計画が練られていかなければなりません。つまり、ある程度の敷地の余裕が必要です。
第3の方法は、特に構造技術や仕上げの手法として、その目的に応じて簡単に変更しうることをモットーにした計画です。これはプレハブ住宅などでは今後盛んに用いられると思われますが、不確定要素の多い将来に対する順応性ある方法で、とくに大架構、可動間仕切り等の工学的な検討が必要です。

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