一般設計と標準設計

建築設計者は建築主の注文に応じて、その都度設計するのが普通です。建築主が建てようとする建築は、敷地の条件、建築の用途、規模などすべての点において他の建築と異なっているため、設計は自ずからひとつずつ異なった内容にならざるをえません。そのうえ、建築主はその建築が他の建築と区別される独自の表現を持つことを望み、設計者もまた建築主以上にそうしようと努力することによって、建築設計の一品的性格は一層強調されます。建築工事の完了とともに、その建築の設計は使命を終えます。これが一般の建築設計の姿です。

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建築のプロジェクトごとに新たに行なう建築設計はいわば開発的な設計です。設計のたびごとにいつも新しい価値を生みだすという進歩的な側面を持ちますが、一方で開発にともないがちな失敗の危険をも多分にはらんでいます。自動車のモデルチェンジには3年から5年を要するといわれ、その間開発から試作を経て完成に至る長い設計プロセスをたどるのと比べると建築設計は少人数で短期間に済ませてしまいます。いきおい密度の低い粗放な設計とならざるをえません。もちろん、開発的とはいっても1回ごとになにからなにまで開発するというわけではありません。建築設計技術一般を基礎として、そのうえに開発的な内容がつけ加わることによって個別設計は成り立っています。したがって、もし開発に伴う危険性の回避を重視する場合は、これまですでに蓄積されている確実な技術にのみ頼ろうとする保守的な設計態度をとることにもなります。設計者の力量にかなりの個人差があり、また一般的にいって、すぐれた設計者となるのに成功と失敗との長い修練と経験を必要としますが、その理由の一半は建築設計のこうした性質に求められます。もし、単位生産額当りの投入設計量を計算して、他の生産物のそれと比較してみたらどうでしょうか。建築はかなり高い部類に入るはずです。そういう意味では、建築における設計の役割はすこぶる高くなりますが、その半面で、これほど消耗性が高く粗末に扱われている設計も少なかろうと思えます。
建築の中にも、一つのタイプが数多くあるいは繰り返し建設される種類があります。例えば住宅、学校などがそれになります。この種の建築は、1戸、1教室あるいは1棟ごとに、その都度設計する必要はありません。一つの設計を標準として定めて、繰り返し用いることも可能です。そのほうが、1回ごとの設計の手間がはぶけ、建築使用の過程で発見された設計上の欠陥も是正が可能で、設計の質を向上させて行くことができます。建築設計の一般的特性として挙げた一品的性格ではなく、量産される耐久消費財の設計と似た性格をもつことになります。このように、数多くあるいは繰り返し建設される建築に通用することを目的として作成された基準的な設計を標準設計といいます。
この標準設計に二つの種類があります。第1の種類は、特定タイプの建築について、基本設計から詳細設計に至る縦に一貫したフルコースの標準設計であって、小規模で繰返しの多い建築や特種の詳細をもつ建築にふさわしい。第2の種類は、基本設計と部分設計とを切りはなし、前者はタイプの数だけ標準設計を用意しますが、後者はすべてのタイプに共通の標準詳細図に集約するという方式で、適用にあたっては、これら両者を組み合わせて用います。第2の種類のほうが標準化の効果が大きいので、標準設計は一般にこの型の場合が多いようです。

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