標準設計の生産面での意義

標準設計の生産面における意義は、まず設計労働を節約し、量産を可能ならしめるところにありました。在来的な建築生産方式は、1組の設計と、1件の生産とが対応していますが、標準設計は1組の設計を多量に複製することで、設計と生産との1対1の対応関係を実現しようとします。住宅量産化の方法は建築を部材、部品に分解し、これらを工場で製作して、建築現場で組み立てる方式であり、在来工法では標準詳細図によって施工していた部分が工場加工に移されることによって、現場では詳細図は不要になります。つまり部品化は現場での設計図による施工を不要にし、ただ製品番号や部品番号を指示すればすむことになります。部品製件に当たっては設計を要することはいうまでもありませんが、一旦製品化された後は、設計は単にその製品の形状、寸法、材質をあらわす図面として記録の意味をもつにすぎなくなります。したがって、部品化が進むと標準設計、特に詳細設計は設計としての役割をだんだん失っていきます。

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生産が標準設計に与える影響を考えてみると、建築技術の進歩は生産技術に多くの革新をもたらし、生産者に知識、経験を蓄積させました。生産技術の進歩を最大限に吸収して住宅建設を推進しようとすれば、設計段階に生産技術が生きるようにしなければなりません。具体的にはさしあたり、生産者と設計者との協同の形となります。
在来の設計と生産の関係は両者協力の形態を容易にとらせません。特に公共住宅の場合はむずかしい。設計は発注者側にたつ設計者によって基本設計から実施設計にいたるまで完全に行なわれ、その後、完成された設計図書を基礎にして、発注、契約が行なわれます。完全な設計図書は建設すべき住宅の技術的内容をあますところなく表現しているはずであり、それによって初めて建設に要する費用も計算できます。公共建築においては、後者の意味、つまり設計図書が費用を決定する働きは重要であって、これまで設計者と生産者とを厳しく隔ててきた理由は主にそこにあったといってよい。設計者と生産者とのこの関係は、設計者が意匠、機能、生産のすべてにわたってすぐれた設計をし、それについて、生産者が入札によって価格の競争を行なうという原理にもとづいています。しかしながら、前述したように、生産性の向上を望むとするならば生産者のもつ生産の論理性をも認めなければならなくなります。競争原理は価格のみならず、技術内容に関しても働かせる必要が生じてきます。
住宅公団はプレキャストコンクリート板組立工法による量産住宅を開発し、実用化しています。民間企業に工法によるプラントを保有させて実用化を推進しました。その結果、設立された工場は10以上となり、プラント保有企業の技術能力も高まりました。
これらのプラントはそれぞれに技術的特性が異なっています。したがって、公団側で完成した設計図書で発注しても、細かい部分では、設計がプラントの特性に合わないところが発生します。そこで元の標準設計をそれぞれの技術特性に応じて修正した提案が生産者であるプラント企業から、発注者であり、設計者でもある公団側に申し出られました。例えばA社はジョイント形式、基準線、面積、フロンテージ寸法等、合計約180項目、B社は型枠、ジョイント、先づけ金物についてというように、様々の変更項目が出されています。もしかりに、Aというプラント企業の修正提案を受け入れ、これを発注者側で標準設計化したとするとどうなるでしょうか。いうまでもなく、この標準設計はA社には通用してもB社やC社には通用しません。B社やC社の提案を標準設計にとり入れた場合も同様です。つまり、プラント特性から起こる設計変更内容はその社限りのものであって、標準設計化はできないのです。結局、公団が作成した標準設計を完全な形で運用させることは不可能だということであり、また実際上その必要もありません。ただし、標準設計仕様を申請によって修正を求める方式の利用は、発注者、生産者ともにかなりのエネルギーを要するため、これだけに頼ることもできません。

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