住宅の寸法調整

公団住宅のほかに公営住宅や供給公社住宅等に量産住宅が普及し、一つの生産者が複数の発注者による異なった設計の部材を生産することによって、設計の標準化が発注者間で行なわれる必要がでてきます。ここで、寸法調整の問題が大きく注目されてきます。建築工業化の基礎的な課題としてモデューラー・コーディネーションの研究が始められて以来住宅の標準設計についても、MC研究の初期、公営住宅に適用の試みがなされたことがありますが、その後、実際には使われませんでした。これには、様々な理由があります。与えられた狭い平面を無駄なく使うために、使用上必要な最小限の寸法に刻まれ、基準寸法を通用する余地がなかったこともあり、在来工法によっているかぎり、MCの効果は大きくないということもありますが、根本的にはその必要に迫られなかったからです。

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間取り

公団、公営、公社いずれの住宅にせよ、設計はそれぞれに閉鎖的であり、互いの交流関係はありません。公団内部の型の異なる設計間でさえ、閉鎖的であって、生産上は関係はなかったと言えます。部品が規格化されたことでやっと共通の部分が生じ、さらにそれが公共住宅部品に発展し、広く公共住宅に共通に利用されるようになって、やっと公共住宅はある程度オープン化したのです。量産住宅を建設する発注主体がふえ、一方で、いくつもの発注主体から受注する生産主体が巨額の生産設備を投資するとなると、これまでのように、発注者によってそれぞれ閉鎖した設計によっているわけにはいかなくなります。工業生産のメリットは大きくそがれることになるからです。そこで発注者間の寸法調整、つまり、各種の設計に共通して使用できるようにオープン化するための寸法調整が真剣な問題となってくるのです。寸法調整は使用上および意匠上の立場からとともに、生産の立場からも様々な条件が持ち出されることは上述のごとくです。
標準設計が目的とする生産上の効果は、設計を一定期間固定して、それをくりかえすことによって、労働を減らし、一方でその間に設計努力を限定条件のなかで内部的に蓄積し、設計の質を高めるところにありました。しかし、すでにみてきたように、生産上の効果は生産者の設計への適当な参加によって促進されることは明らかであり、生産面からすると、発注者の立場からなされる標準設計の役割は低くならざるをえません。そして、標準設計に代わって生産上に効果のある生産者の設計への参加形態が問題となってきました。そこで次に設計者と生産者との関係のいくつかの形態について、設計修正提案制度、発注者側で作成された完成設計図書にもとづいて入札するに際して、業者が独自の生産工法によって原設計の修正提案を行ないそれについて入札できるという制度で、1953年以来フランスで行なわれています。この方法のメリットは、業者が得意な独自の工法や設備を保有していれば、その利用に一定の連続性を確保することができる点です。イギリスにおいてもこれと同様な考え方で代案入札の制度が提案されています。日本で公団が量産住宅について採用していまる施工者からの修正提案の受入れも、これと同様の趣旨のものといえます。
段階入札制度はイギリスのカンバーノールド・ニュータウンの建設工事に試験的に開発、利用された契約方式で、競争的協議ともよばれます。その第1段階は概略設計による見積り合せで、代案入札を認め、施工者を選定します。第2段階では選定された施工者との協議によって、完全な設計図書を作成し価格を決定します。価格決定には概略見債りに用いられた数量価格が基準となります。
設計施工競争は発注体が建築の機能や品質を明確に示し、これに対して、建築家と建設業者はコンビとなってチームをつくり、チーム単位でそれぞれ異なった設計を提示して入札します。この方式の特徴は発注条件は性能だけであって、建築家と建設業者からなるチームは、計画、構造、材料について自由に様々なアイディアを提案できるので開発的効果は大きい。性能だけを条件にして発注するので性能発注方式ともよばれています。
システムビルディングとは建築部材があるシステムをなして組み立てられている建築です。実体的にはプレハブ建築と類似ですが、建築があるシステムのもとに構成されているという側面がこの場合重要です。システムの設計者は、個々の建築プロジェクトの設計者とは別個の職能として存在します。システムの開発者は誰であってもかまいませんが、イギリスで開発されているシステムのうち8割までは建設業者と部材製造業者です。つまり、生産者が生産技術や生産経済を最大限に用いてビルディングシステムを開発し、設計者がこれを利用して個々のプロジェクトの設計を行なうわけです。ビルディングシステムは、個別設計の自由をできるだけ許すように工夫されています。システムビルディングには、クローズトとオープンとがあり、前者はシステム間の部材の交換は不可能、後者は可能です。システムビルディングは生産の論理の上に個別プロジェクトの特性を発揮させる方式であるといえます。

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