建売住宅と分譲住宅

建売住宅と分譲住宅という用語は、現在、ほぼ同義語として使われていますが、その用語が出現した歴史的な経過を振り返り、その本質的な性格を明らかにすると、建売住宅は、発生的には、明治末期にすでに貸家経営向きの建売注宅があらわれ、つづいて大正時代に入って持家向きの建売住宅があらわれました。第1次大戦後、大都市、特に大阪近郊において多くの建売大工が出現し、当時の都市の人口集中と都市の外延的発展により生まれた住宅需要をうけとめた借家経営の盛行とならんで、貸長屋の建売が都市の隣接部に建設されました。建売大工とは、大工が建築敷地を調達して、借地契約をなし、その上に自己の企画によって次々と住宅を建て、建て終わるまでに買取人を捜して竣工と同時に売り払うものであり、当時は大工職人の出世の唯一の望みがここにあることが多くありました。このように、建売住宅という用語は、不特定の需要者を相手に、住宅を既製品という形で住宅市場に供給される事態があってはじめて用いられました。建売という言葉は、この本質を簡明に表現しているといえます。

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間取り

分譲住宅は、明治43年、現在の京阪神急行電鉄の母体となった箕面有馬電気鉄道によって、大阪府下の池田室町で土地、住宅の分譲が行なわれ、当時の金額で、最初に50円を払い込み、残金は毎月24円払いの10カ月月賦という販売方法で売られたことに始まります。その後、大正末期から昭和初期にかけて盛んであった郊外電鉄会社による沿線人口の培養を目的とした宅地、住宅の分譲が多くみられるようになります。このような電鉄会社の経営する土地付住宅が、分譲住宅とよばれるようになりました。
両者の発生から考えてみると、建売住宅と分譲住宅の概念に共通性とニュアンスの違いがあることがわかります。共通性とは次の点であり、これらは両者の経営の本質を示すと考えられます。
1. 不特定の需要層を相手にした持家である。
2. 建物は見込生産され、レディメードの住宅である。
3. 宅地は一定の集団をなしており、効外の住宅地の1区画が造成され、多数の画地に分割されます。
4. 販売方法として、割賦払いの場合が多い。 このような共通性をもつ点で同義語ですが、ニュアンスの違いもあります。建売住宅は、建物は見込生産され、レディメードの住宅を第1の特長とし、借地の場合もありうるし、数戸という小規模の場合でも、建物が見込生産されている場合は建売住宅とよばれます。いいかえれば、建物を売ることに重点をおいています。分譲住宅は、宅地は一定の集団をなしており、効外の住宅地の1区画が造成され、多数の画地に分割されることをを第1の特徴とし、一定規模以上の土地を分割し、まとまった住宅地を形成するものを指します。宅地を売ることに力点がおかれ、建物は宅地販売を促進するためにつけられる性格をもっています。なかでも、電鉄会社の分譲住宅は鉄道沿線人口を増加させるとともに、一定の質を保持した土地付住宅を供給することにより、居住者層を規定するはたらきを持っています。このような販売上の特質は、企画者、供給者の違いとも関係していると考えられます。一般に建売住宅とよばれるものは、多く大工によって企画、供給されるのに対して、分譲住宅とよばれるものは、電鉄会社などに代表される生産者と需要者の間に介在するいわば中間需要者的性格をもつ供給主体によって販売されるものを指す傾向があります。また、両者の立地と住宅、住宅地の質の差異を反映して、建売住宅が相対的にレベルの低い方を、後者が高いレベルのものを意味する慣用語として使われる傾向もあります。これらの諸事象が組み合わさって、建売住宅および分譲住宅という概念が存在しています。
若干の意味の差異はあるにせよ、歴史的、社会的に形成されてきた二つの言葉のもつ本質的に共通した性格は上のように規定されるので、強いて区別をする必要がないと考えられます。

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