建売住宅と分譲住宅の意義

今日の住宅経営活動において、建売住宅、分譲住宅の占める地位はますます高くなっています。在来型の個別的注文による持家建設ではない建売方式による住宅供給のシェアはさらに高まっていくことが予想されます。建売住宅、分議住宅の経営が成立し、広く普及するのは、供給側と需要側の面サイドにメリットが存在するからです。建売住宅、分譲住宅経営の本質を、これら二つの側からみて整理すれば次のようになります。供給側にとっては、建売住宅、分譲住宅経営は、生産者、供給者側に供給の主導権が握られる性格を持ち、したがって仕事の継続性のメリットを持ち、原理的には計向的生産が可能になり、事業の効率化をはかりうります。建売住宅、分譲住宅経営により、企業の主営業種目の戊成績をあげることができます。例えば電鉄会社の場合は沿線人口を増加させ運賃収入を高める作用をし、プレハブメーカーの場合は製品販売高を上げる作用します。長期信用の建設資金の供給が行なわれる可能性を持つ。建売住宅、分譲住宅経営は、このような本質のうえに成立したものです。在来の個別的注文生産ではなく、大量生産、大量販売という近代的産業としての性格を基本的に持つ意味で、持家の住宅供給としては一定の進歩性をもつ供給力式、経営力式です。

スポンサーリンク
間取り

建売住宅、分譲住宅の購入者にとっては、現在の都市では、敷地の入手が個人にとって困難で、かつ高く、また、住宅を建てるに際して必要な種々の手続き、交渉が複雑ですが、建売方式はそれらを容易とします。現金で一時に住宅を購入するには、経済的負担が大きく非常に困難ですが、販売方式として割賦制度が存在することにより、比較的容易に購入できる。この制度の普及は、全体として適切な借家供給が不足している住宅経済の事情と、貨幣価値の低下をもたらしつつある社会情勢のなかで、一段と建売住宅、分譲住宅の顧客を増大させています。住宅における割賦販売の普及は、需要者にとっては、従来の持家、借家の中間的性格を持つ住宅としてむかえられ、新しい需要層を大量に存在させるようになっています。

日本の建売住宅、分譲住宅経営の歴史は、量的発展と質的多様性からみて、次の四つの時期に区分されます。戦前に萌芽期があり、戦後昭和20年代が形成期、30年代が活動期、40年以隆に高原期をむかえています。
戦前は、住宅経営全体として貸家経営が大半であり、そのなかで、民間では電鉄会社の分譲住宅が一定の役割を果たしたことと、小規模な建売住宅の発生がみられたこと、公的な住宅供給において部分的に分譲住宅供給が始められ、それぞれ戦後から最近に至る建売住宅、分譲住宅経営発展の萌芽をなすものでした。
公的な分譲住宅供給としては、大阪市が大正15年から昭和3年の間に合計458戸の市営月賦住宅を経営しています。また、関東においては、関東大震災後の復興住宅建設を目的として、大正13年に設立された同潤会の経営した分譲住宅が、昭和3年から、京浜地方に約1,000戸供給されました。元来、賃貸住宅を供給していた同潤会が、経営上何の危惧もいらない住宅供給方法として分譲住宅を供給するに至った理由を次のように説明しています。
すなわち、空家にならない、家賃の滞納がない、修繕費の節約等で経営費が安くなること、家を持つことで居住者の思想が安定すること、土地の所有権も被分譲者に与えられるので相当の財産価値が持続し、処分に困難をきたさないことによって、分譲住宅経営が、経営側にとっても居住者側にとっても安全であることを分譲住宅が貸家に比べて優る点としてあげています。
戦後の建売住宅、分譲住宅経営は、終戦後の極端な住宅不足の時期にすでに始まります。当時は大工、不動産仲介業者、個人的投資家等が、小規模な土地に小規模な住宅を建てて売りに出していました。零細な経営がほとんどであり、特に金もうけを目当てにするのみで信用を失墜するような質的に低い住宅を売るものの経営は長続きしませんでした。
大阪府では昭和25から28年の間に建売住宅が1,474戸建設され、同時期の着工住宅新設戸数84,284戸のうち17.4%をしめていました。この時期における建売住宅の増加率は持家、貸家給与住宅とくらべて最も高く、特に大阪市部において著しかった。昭和29年に住宅金融公庫融資による分譲および計画建売住宅の建設が各地方自治体、電鉄会社などによって始められました。公庫の融資付建売、分譲住宅は、戦後とくに数多くあらわれた小規模な建売住宅と、電鉄会社の高水準の分譲住宅の中間的な位置を占めていました。昭和30年頃に現在の主な専業者が経営を開始あるいは軌道にのせるようになります。このように、質的にその後の建売、分譲住宅経営が多様的、多層的に展開する基礎が一通り30年すぎ頃につくられ、形成期から活動期へと移っていきます。
活動期は専業者の育成、成長期です。昭和34、35年に、一部の専業的企業が2万から5万坪の土地が集中的に比較的小規模で安い建売住宅、分譲住宅の建設に用いられる経営方式を始めました。その後の中小規模の建売住宅、分譲住宅経営の方向性を示すことになります。たえまなく建設される零細な経営地の建売住宅、分譲住宅Iは個人的、投機的経営の結果、社会的に悪質不法住宅として批判をうけることが多かったが、この頃から建売住宅、分譲住宅の専業者は急速に成長をとげ、やがて、東京、大阪、名古屋の専業者、準専業者が中心になって、昭和37年に日本分譲住宅協会が結成され、この種の企業の活動水準を協同して高める努力が払われるようになりました。
このような建売住宅、分譲住宅経営の活動期の後に、小規模業者の群的存在と、中堅的な専業者の成長、および大資本の新しい投資分野としての建売住宅、分譲住宅経営への参加等にみられる最近の建売住宅、分譲住宅経営の高原期を見出すようになります。特にこの時期の特徴は、大資本の土地、住宅経営部門への進出であり、それは30年代に比べて重化学工業、耐久消費財産業への投資の衰えとともにそれに代わる投資対象として、土地高騰と強い住宅需要の力を背景にして、土地、住宅経営に参加してきた経済的事情があります。また、金融機関の側からも同様の理由で、住宅ローン等の住宅金融制度を急速に拡大し始めました。

間取り
建売住宅と分譲住宅/ 建売住宅と分譲住宅の意義/ 住宅経営と生産機構/ 技術過程と経営過程の特徴/ 鉄筋コンクリート分譲アパート/ 分譲アパート経営の特徴/ 住宅市場/ 民間宅地経営と住宅問題/ 田園都市/ 宅地経営の推移/ 宅地経営の特質/ 宅地開発適地の選定と用地の取得/ 宅地造成と商品化/ 郊外宅地開発/ 住宅経営の特質/ 住宅の特性/ 私鉄による住宅経営/ 大団地の出現/ 都市コミュニティ/ 大団地開発の効果/ 住宅管理の意義/ 近代的住宅管理/ 住宅管理と人間関係/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー