宅地経営の特質

宅地経営に関する実務を定型的に把えることは難しく、それは、宅地経営が次のような特質をもっているからです。その第1は、土地の地理的位置の固定性と個別性からして、商品として同一のものはありえない点です。したがって、宅地の供給は常に新しい商品開発を意味します。同時に、顧客も通常、1回の購入で脱落していくわけであるため、たえず新規に顧客層を開拓していく必要があります。このため企業として、こうした新製品開発、新規顧客開拓に対し、組織の末端まで積極的意欲を継続していけるか否かが企業発展の重要なポイントとなります。次に開発条件の個別性と変動性がきわめて強いことがあげられます。土地自体に内在する物理的条件のほかに、その土地を取りまく経済的条件、社会的条件、行政的条件は、千差万別であるといえます。しかも、たえず激しく変動しています。このように、事業遂行上様々な形で影響してくる諸条件の変化について、正しい見通しをもち、それにもとづいて、迅速に的確な判断、意志決定を下していかなければなりません。したがって、仕事の流れを標準化し固定化することは、困難であるばかりではなく危険ですらあります。これは、決して仕事の内容を明確にできないという意味ではなく、逆に仕事の内容を明確にし、それぞれの段階で意志決定が遅れることなく、かつ正しく行なわれるような組織づくりが必要であることを意味します。

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次の特質として、開発適地を選定し、用地を取得して商品化し、販売を完了するまでのサイクルが長期にわたることです。同じ規模の開発であっても、先に述べた諸条件の相違によって1年で終わるものもあれば、数年にわたることもあります。よって業務の進行状況が的確に把握され、必要な時点において問題点が解決されていかなければ、次の業務が進まないことになります。
開発が長期にわたる場合が多いだけに、問題点のチェックが遅れ、各部門への必要な情報伝達が遅れて、取り返しのつかないことになる危険を十分にはらんでいます。また、これらの問題点は、許認可にからんだ諸行政官庁との折衝、関係地主との析衝等、社内だけでは解決できない相手側の事情によることが多々あるため、ややもすれば、責任が転嫁され解決が引き延ばされる危険があります。さらに、経営規摸が拡大するに伴って、たえずいくつかの開発が併行して進められることになります。そうした場合、当然、長期にわたる事業計画が立てられることになりますが、一部の変動は、全体に影響を及ぼすことになります。こうした一部の変動が、全体にどのような影響を与え、どう対処すべきかについて、正しい見通しと的確な判断が要求されます。
また、個々の開発の個別性、長期性のゆえに、どうしても期間管理的な面が弱体化する傾向にあり、原価管理が甘くなりがちな点が指摘されます。地価上昇の急激であった時期には、原価の把握よりも業務の拡大に主力がおかれ、採算割れのする物件があっても他の物件によって十分補われ、また、それで可とする考え方がありましたが、企業として長期かつ安定的に宅造事業を進めていくためには、困難ではあっても、原価の正確な把握をしなければなりません。宅造事業のもつ公益性からみても、原価を正確に把握し、利潤は付加価値に見合う適正なものとしていくことが、民間事業として存立していく要件です。

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