宅地開発適地の選定と用地の取得

宅造事業の出発点はこの開発適地の選定にあります。この段階での見通しと判断の適否が、事業の成否を大きく左右していきます。用地買取が可能であるということが前提条件ですが、さらに市場性の問題が検討されなければなりません。民間宅地経営としては、宅地を造成しただけでは落第であり、売れなければなりません。開発地の選定にあたって検討されなければならない一般的要因として、次のような諸要因があげられます。まず社会的要因として、人口の増加、世帯の分離および都市集中の動向はどうであるか、地域的分布状況はどう変化するか、住宅およぴ宅地の需要と供給の動向はどうか、公共施設や公益施設の整備はどのように進められていくか、都市形成の方向はどのように変化するか、土地の利用収益の慣行がどう変わっていくか、などがあげられます。また経済的要因として、今後の財政の動き、特に公共投資はどう変わっていくか、景気の動向はどうか、金融事情はどう変化するか、所得水準および地域的な所得分布はどう変化するか、建設資材の需給関係及び建設費の動向はどうであるか、などがあげられます。さらに行政的要因として、都市計画およびそれに関連する土地利用計画がどのように定められ、あるいはどう変わっていくか、それに伴う規制はどう変わるか、宅地の造成に対する技術的基準あるいは規制等は、どのように変化するか、不動産に関する税制の動向はどうか、さらに大きくは、土地制度、宅地対策はどう変化していくかといった要因があげられます。これら請要因について十分検討し、さらに候補地の物理的条件、法的規制、近隣状況に関するデータ等個別的要因にもとづいて、いつ頃、いくらで売れるか、造成工事費、公共施設費の負担はどのくらいかかるか、どのくらいの資本投下を要し、その予想利回りはどうなるか、それは採算にのるものであるか否かについて判断し、開発適地として選定していかなければなりません。その間、事業法の認可権者あるいは農地転用の許可権者等との事前協議を行なって、事業化の見通しを固めていく必要があります。特に近年は、事業法の規制が厳しく、土地利用上の規制も厳しくなる傾向にあり、一方で地価の上昇も一般的には鈍化する傾向にあると考えられます。したがって、地価の上昇だけに頼って利益を生みだすことを予定したのでは、危険が大きすぎ、どうすれば付加価値を生み出すことができるか、いかにすれば利潤を正当に要求できるか、いかにすればその利潤を確実に実現できるか、そのための条件を創り出していくことを主眼にしなければなりません。

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間取り

民間宅造における用地取得は、所有者との交渉にもとづく任意買収が前提となります。さらに、土地区画整理事業を前提とした買収ならば、全面買取の必要はありませんが、一般の宅地造成においては、関発予定地域内の全面買収が目標となります。しかし、民間事業においては、公的機関と異なり、税制上の優遇措置も、収用権もないので、どうやって相手を説得し、予定した用地を確保するかが、宅造事業において最も重要な仕事であるといえます。
通常、交渉相手である土地所有者は、十数名から、規模が大きくなれば百名を超え、しかも、それぞれの所有者の個性、土地に対する執着度、経済事情等は、千差万別であり、一律に交渉が進展することはまずありえません。こうした交渉をどのように進めるか、類型化することは不可能ですが、例として、地元代表者による開発委員会を組織するとか、まず地元有力者の協力を得るとか、地元の実情に合った方法をとっていかないと、まとまらなかったり、長びいたりすることになります。
現実問題として、少しまとまった用地買収を行なう場合には、買収不能地が出てくることを覚悟してかからなければなりません。それをどのように事業期間、経済性との関連で処理していくかが、重要な問題となってきます。ある場合には、一部の買収不能地のために全体の買収を断念することもあります。ある意味では、買取の労力の大半が、この一部分の土地のために注ぎこまれることになります。
次善の策として代替地を用意して交換するとか、それも不可能な場合には、造成工事だけはさせてもらうとか、地形を修正して残すとかの方法がとられています。このため道路計画、土工量等、開発プランの変更を余儀なくされ、土地の有効利用を妨げられることになり、工事費も割高となることが多い。これに対して、民間事業にも収用権を付与せよという意見もありますが、収用権の法的意義からみて民間宅造事業に一般的に付与することは困難と考えられ、たとえ付与されるとしても、それに伴う処分価格等、事業全体に対する厳しい規制を考えると、民間事業としては必ずしも有利になるとはいえないと思われます。それよりも、組合設立と事業施行に時間のかかりすぎる現行の土地区画整理事業の手法を導入して、換地権、造成工事権といったものを、土地の有効利用と国民経済的見地から、公的機関の裁定によって、民間事業主体に付与できるような制度を設けるべきです。
さらに、開発予定地域内には、民有地ばかりではなく国有地が含まれ、その払下げを受けなければならない場合や、道路、排水路の付替えを行なわなければならない場合が多い。それらの手続きが煩雑すぎ、また長期間を要するため、事業推進の大きな障害となっているのが実情です。

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