私鉄による住宅経営

大手私鉄は交通業のみならず、相当広範囲の分野に多角的に進出しています。そのなかで住宅経営の面からの関連産業を見ると、軸となる交通部門、不動産業はもちろん、ショッピング、レジャー、建設業など、沿線開発の中心的企業をほとんどの私鉄が自社の兼業、もしくは系列会社として、その系列下におさめています。このような私鉄の経営体制は、大規模化する住宅経営には、非常に優れたものをもっています。私鉄による住宅経営の初期段階で必ず先行的に投資される交通システムは、収益性が非常に低く、赤字状態から出発します。また、住宅がそれほど定着していない開発初期のショッピング施設なども、短期間のうちに黒字経営になるものではありません。これらは、土地販売と全く無関係な資本のもとでは、おそらく先行的な没資は行なわれないものと考えられます。しかし住宅経営の最初の段階で、最も高い利潤をあげうる土地販売業を、同一企業のなかで計画しうる私鉄企業は、収益期間の異なるいくつかの事業を組み合わせることによって、すべてのものを成立させることが可能です。したがって、他の住宅経営に携わる企業体より多額な先行投資が見られることが多い。その結果、ある開発区域の開発過程が終わって都市化された場合には、その地域経済の大きな部分を私鉄企業の系列で独占する状態が生じるのです。

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このように、私鉄は住宅経営についての直接的な収益だけでなく、開発地域の総合的な利潤追求を行ないますが、理想的な住宅地域の計画のためには、そのような総合的計画が住民の側からも都市化のピジョンからも必要とされるのです。たとえ住宅地の人工が少ない開発の初期段階であっても、交通やショッピングなどは企業の採算性の有無にかかわらず要求されるものです。まして、都市の発展に即した施設の改善は、施設の内容のみでなく、場合によっては立地条件をも再考しなければならないので、より多くの都市的施設を同一企業のもとで計画されることが望ましいと考えられます。
一般的に大規模団地を開発する手法は、できるだけ法的規制を避ける方法と、法律によるメリットを活かす方法の二つに分類することができます。いずれをとるかを決める基礎となる問題は、主として公共施設の維持、管理と、土地買取の見込みなどによります。公共施設とは、道路、公園、広場など、団地完成後においては地方自治体に移管される本質のものですが、団地開発にあたって、相手方の地方自治体との関係において、それら公共施設を必ずしも早期に移管しなくともよい場合には、法的規制をできるだけ避ける手法が採用される場合が多い。また用地買収が難行して思うに任せない場合には、法律によるメリットを活かして団地開発をする方が得策です。しかし、法的なメリットを採る場合には、それだけ利益規制を義務づけられるのは当然であるため、経営計画の内容によって最終的に、いずれを選ぶかを決定しなければなりません。具体的に法律によるメリットを活用する方法としては、
土地区画整理法によるもの、
都市計画一団地の住宅経営によるもの、 に分けられます。土地区画整理法は、民間企業が開発を計画する場合は、個人または共同施行、組合施行の二つの種類がありますが、街路、公園などの自治体への移管が割合に円滑であるし、それらの公共施設の用地を買収する必要がないことが利点です。また、大規模な団地計画のなかで、自己の土地が点在状態である場合には、換地により団地経営を好転させることも可能です。
民間は住宅経営において、一般的には土地取用法の適用を認められていませんが、ただ倒外として、都市計画事業として、地方自治体の委任を受けたかたちで、一団地の住宅経営をする場合には、これが認められます。したがって、計画予定地域のなかにどうしても買収不能な部分を残して、計画が実施できないような場合には、この形態をとることができます。ただし、この一団地の住宅経営は住宅と公共施設の建設を義務づけられるのみならず、住宅の経営方法をも記載して計可を得なければなりません。

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